この記事をまとめると
■商用車を乗用化することの意味を解説■乗車定員を増やすことなどができる
■1ナンバー車の乗用化はとくにメリットが多い
乗車定員を増やすことができる
トヨタ・ハイエースや日産キャラバンといえば、職人筋に愛される働くクルマの代表格というイメージもあるが、キャンピングカーのベースとしても人気がある。
とくにハイエース、キャラバンともに4ナンバーのグレードは、ボディサイズは乗用車でいう5ナンバーと同等ながら、LLクラスのミニバンよりも室内長に余裕を感じさせるなど乗用ユースでのメリットも多い。
そんなわけで、ハイエースやキャラバンを乗用車に改造してしまうというショップが全国にいくつも存在している。
では、商用1BOXを乗用仕立てにするメリットとは何があるのだろうか。
まず乗車定員を増やすことができるのは大きい。商用車の基準というのは荷室が大きいことだが、4ナンバーから5ナンバーに改造する場合は後席のスペースを広くしたり、なんならキャプテンシート仕様にしたりすることもできる。

車検の期間が延びるというのもメリットだ。車検については初回が3年、以降の継続車検は2年ごととなっているのが当たり前と思っているかもしれないが、それは乗用車の規定であって、商用車は最初が2年で、以降は毎年車検となる。コスト的には12カ月点検をしっかりやっているのとさほど変わらないかもしれないが、パーソナルユースでそれほどタフな使い方をしていないというのであれば、車検期間が2年になるというのはメリットと感じるだろう。
もっとも、自動車税については5ナンバーのほうが高くなってしまう。具体的にハイエースのガソリン車(2.0リッター)でいうと、4ナンバーであれば自動車税は年間1万6000円であるが、5ナンバーになると3万9500円となってしまうのはデメリットといえるだろう。

乗用化のメリットが大きいのはワイドボディのほうだ。
1ナンバー車の乗用化はメリットが大きい!
ハイエースのワイドボディ版の全幅は1880mmとなり、ガソリンエンジンの排気量は2.7リッターとなる。当然、商用車としては1ナンバーをつけることになる。
1ナンバーのデメリットとしてオーナーが嘆くのは高速道路の料金が高いこと。同じようなボディサイズであっても3ナンバーのミニバンであれば高速道路での分類は「普通車」となるが、1ナンバー商用車は「中型車」となってしまう。
たとえば東名高速で東京から浜松まで向かった場合、「普通車」の基本料金は5630円なのに対して、「中型車」は6720円となってしまうのだ。ロングドライブが多いユーザーであれば、こうした違いはじわじわと財布に影響することは確実だ。

逆にいえば、1ナンバーの商用1BOXを、乗用仕様に改造して3ナンバー化すれば高速道路の料金は「普通車」扱いになるわけで、それはコスト面でのメリットとなるわけだ。もちろん4ナンバーと同様に車検期間が延びるのもうれしいポイントとなるだろう。
商用1BOXを乗用仕様にするのは、けっして安くはないコストがかかる。ランニングコストの差をメリットとしてとらえるよりも、たとえば4ナンバーの5ナンバー化であれば「取りまわしやすいボディと3ナンバーミニバンを超える空間」というアドバンテージを評価するほうが建設的かつ健康的な判断といえるだろう。
筆者個人として、コストをかける価値がもっとも感じられるのはハイエースコミューター(14人乗り)を10人乗りとして普通免許で運転できるように改造するプログラムだ。

もともとハイエースには10人乗りのワゴン仕様(3ナンバー)があるが、ハイエースワゴンは2.7リッターガソリンエンジンだけのラインアップとなる。対して、ハイエースコミューターには2.8リッターディーゼルの設定があるが、通常では14人乗りということで2ナンバーであり、普通免許では運転できず、限定条件のない中型免許以上が必要となる。
つまり、多くの人が持っている普通免許ではハイエースコミューターは運転できない。

2.8リッターディーゼルのハイエースコミューターを、10人乗りのワゴン仕様に改造すれば、中型免許を取得したり、限定解除をしたりする手間が省ける。当然ながら、3ナンバーにしておけば家族に普通免許を持っている人が複数いれば、運転を交代することも可能になる。
ディーゼルのハイエースワゴンに乗りたいというのであれば、こうした改造は検討する価値があるといえるかもしれない。