この記事をまとめると
■韓国・ソウルにて路線バスを観察■多くのBEV路線バスが走っていることに驚いた
■現在の日本の状況を海外から来た人が見たら違和感を抱くかもしれない
ソウルで路線バスウォッチング!
以前知り合いから、韓国の首都ソウル市内には地元韓国だけでなく、中国メーカーなど多彩なBEV(バッテリー電気自動車)路線バスが走っているという話を聞いており、大変興味を持っていた。そんな折、たまたまソウルを訪れる機会を得たのでさっそく街角路線バスウォッチングをすることにした。
海外出張の折りには訪れた都市にあるバスターミナルの場所を調べ、そこでバスウォッチングしているのだが、調べてみるとソウルでは鉄道のソウル中央駅前にバスターミナルがあるようなので、さっそくバスだけでなく地下鉄などでも利用できる交通系ICカードを地下鉄の駅で購入し、宿泊先からソウル中央駅へ向かった。
日本国内でも『乗りバス(バスに乗って楽しむ/筆者はとくに路線バスが大好き)』を日々欠かさない筆者は、海外出張先でも乗りバスをして楽しんでいる。最近ではBEV路線バスを探しては積極的に乗りバスをするようにしている。

複数の路線が走る幹線道路でバスに乗り(本数が多いから)ソウル中央駅から一定距離離れたバス停との間を往復するコースを設定してさっそくBEV路線バスに乗車した。最初はエジソンモータースの車両。車内中扉すぐ近くに座ったのだが、インバーターと思われる音などが、やや目立っていたのが印象的であった。続いて中国系メーカーの車両に乗った。意外と言うのもなんだが、エジソンモータースの車両よりは加速もスムースであり、車内でのメカニカルノイズも少なく感じた。そして最後はヒョンデのエレクシティ。加速イメージや車内の静粛性など、やはりエレクシティが一番好印象を持った。
多種多彩なBEV路線バスがソウル市内を走っていた
見た目はBEV路線バスで統一されているようで、いずれも日本のトヨタ自動車のFCEV路線バスとなる「SORA」にイメージが似ている。車内は日本の路線バスと大きく変わることはなく違和感はなかった。前扉乗車となり、乗車時にICカードをタッチし、中扉からの降車時にもタッチしていたので筆者もそれに従った。第一次韓流ブームのころにソウルを訪れた時には、ソウル市内の路線バスといえば扉も締めずに暴走という表現が似合うほどの勢いで走っていたのを記憶している。しかし、いまは運転士さんも親切で外国人でも安心して乗ることができたのは驚きであった。

とにかく一番驚いたのは、乗り比べができるほど多種多彩なBEV路線バスがソウル市内では当たり前のように走っていたこと。もちろん、まだまだ従来の内燃エンジンを搭載する車両のほうが目立つが、これも代替時にはBEVやFCEVになるのは容易に察しがつく。
日本の若者の間では、「韓国のほうが日本より先進国」と感じる人が多いと聞く。それがなんだという人もいるかもしれないが、世界とまではいかないものの、自国だけでなく中国メーカーのBEV路線バスまで、多くのメーカーのBEV路線バスが街を走る姿を見ると、韓国のほうが先進的に見えるというのも納得してしまう。

東京都内は、パラパラとFCEV路線バスが走っているだけで、あとはCNG(液化天然ガス)ではなくディーゼルエンジンバス(しかもハイブリッドでもない)が新車としても入れ替えられているのが現状。

いまのソウル市のような風景が見られるまでには、まだ時間がかかりそうなのは確かであり、筆者の経験では、インドネシアの首都ジャカルタや台湾の台北あたりでもBEV路線バスが多く走っていることを目の当たりにしており、東京をはじめ日本のいまのディーゼルバスばかりの風景を見て訪日外国人のなかで、先進性云々を抜きにしても違和感を覚える人が少なくないのではないかと筆者は考えている。
