この記事をまとめると
■同じ車種と程度でもボディカラーによって売却時の価格に差がでる■この記事ではその仕組みを紹介
■車種によっても高く売れるボディカラーは異なる
同一車種でも流通台数が多ければ値引き拡大も期待できる
かつて新車購入商談は、ひととおり値引き交渉がまとまり、注文書作成となった段階で、セールススタッフから「色はどうしますか?」と聞かれるパターンが多かった。しかし、最近は最初から希望のボディカラーを聞かれることが多い。
これは、日本での新車販売は、販売店が受注したのち、メーカーに生産を発注する〝受注生産〞を原則とする一方、現在はメーカーがあらかじめ、売れ筋グレードに装着頻度の高いオプションを装着、人気の高いボディカラーの車種の生産比率をアップ。
そのため、同一車種でも人気グレードなら流通台数が多いぶん値引きの拡大が期待できるが、グレードやオプション、ボディカラーにこだわって納期に時間がかかると、大きな差はなくても、販売条件=値引きで無理が効きにくいといったことが生じやすくなる。
ただし、現在は納期遅延が続いている異常な状況。とくに登場したばかりの人気車では、納期優先で、リセールバリューに有利なボディカラーをあれこれ考えて選ぶような余裕はなく、そうそう贅沢は言っていられないかもしれない。ちなみに、従来同様、メーカーを問わず、2トーンカラーが納車に時間がかかることに変わりはないようだ。
定番はホワイトとブラック間違いのない選択ならパール系
そもそも、なぜクルマに塗装が必要なのかといえば、ボディの防錆などの保護が目的。本来、その役割は〝下地〞が担っているのだが、その上にさまざまな〝色〞をつけることで、個性を競うようになっている。
現在人気のボディカラーは全般的にホワイトもしくはブラック。さらに、リセールバリューをより有利にしたいならパール系は間違いのない選択と言える。パール系のボディカラーはどのメーカーでもオプション、つまり有料色となるが、その追加料金分は必ず戻ってくるとされている。そして、「営業車みたい」とか「個性がない」などといわれるソリッドのホワイトも意外にも不動の人気色だったりする。
ブラックは人気が高い半面、とくにソリッド系は、洗車傷や雨ジミなどが目立ってしまうため、デリケートな扱いと手入れが必要。傷やシミなどが目立てば、下取りや買い取り査定では減額の対象になることが多く、購入にはそれなりの覚悟が必要だ。
過去にはシルバーメタリックが、汚れや傷が目立ちにくく、手入れのラクな無難な色として人気があり、リセールバリューでとくに有利にならなくても、平均的な査定値をキープしやすい色とされていたが、いまでは"中の下"、つまり車種によっては多少マイナスに働くこともあるようだ。

コンパクトカー、軽自動車ならポップなボディカラーも悪影響なし
かつては、「メタリック色が定番」とされていたドイツ車も、現在はホワイトが人気色となっており、シルバーメタリックはマイナス要因になるケースもあると聞く。輸入車については、一定台数以上を販売しているドイツブランドについては、ボディカラーをあれこれ検討できるが、そのほかの輸入車では絶対的な流通台数が少ないうえ、趣味性が非常に高く、それぞれで傾向がまちまち。購入を検討している人はそのあたりは熟知しているだろう。
赤や黄色、ピンクといった派手めの色は、日本では「葬儀などの仏事に乗って行きにくい」などを理由に敬遠されやすい半面、女性が好む傾向。そのため女性ユーザーが多い軽自動車やコンパクトカーは、中古車市場でも需要があるため選んでも問題ないようだが、セダン系などは大幅にマイナスに働く傾向が強いので注意したほうがいいかもしれない。 どうしても派手めのボディカラーを選びたいなら、新型車としてデビューしてマイナーチェンジを実施するまでの〝前期モデル〞のうちに購入したほうがいい。なぜなら、大半の車種はマイナーチェンジの際にボディカラーの設定の見直しが行われ、とくに赤系のボディカラーは廃番となるケースが多いからだ。

6年以上乗り続けるつもりならリセールを意識する必要なし
現在は、多様性を重んじる世の中になっているため、販売現場では、「昔ほど人気色・不人気色を決めつけることができなくなってきている」という話も聞いた。
とはいえ、ミニバン系で、「パールホワイト、あるいはブラックパール以外を選ぶと痛い目に遭う」というのは、もはや常識。たしかに、街中で見かけるアルファード(/ヴェルファイア)はパールホワイトか黒系のボディ色ばかり。しかし、カタログには、この2色以外にもボディカラーは存在する。
ただ、人気色を外すとリセールバリューに致命的な影響が出るかといえば、前述のミニバンやクラウンなどの高級セダン以外はあまり気にしなくていいかもしれない。6年以上乗るつもりなら減価償却しているため、(ごく一部の車種を除いて)そもそもリセールバリューを意識する必要はない。自分の好きなボディカラーを選べばいい。リセールバリューを意識してボディカラーを慎重に選んだほうがいいのは、初回(新車から3年後)の車検、もしくは2回目の車検(同5年後)までにクルマを乗り換える人だけだろう。

ディーラーでの査定値の差はわずか中古車相場が大きく影響する買取店
コンパクトカーをはじめとしたカテゴリーで、カラーバリエーションが増えている。たとえばヤリスは、さまざまなボディカラーを街中で見かける。日本の社会も多様化が進んでいるため、同一車種でボディカラーによって将来的な価値に差が生じやすいというのは、限定的なものになりつつあるのかもしれない。
ディーラーの下取りも、買い取り専業店の買い取りでも、基本的には中古車の相場を意識した査定(値付け)を行なっているのだが、下取りは新車の値引き支援という側面もあるため、新車の値引き額の不足を査定額に上乗せするのは常套手段。そのため、人気色のほうが「無理が効きやすい」といった程度。決定的な差ではない。
ともあれ、ボディカラーで迷ったら自分ひとりで悩まず、好みの色合いを基本に、セールススタッフのアドバイスを参考にしながら選べば、それが最良の選択になるはずだ。

高級・高額車は人気色と不人気色で100万円近い査定値の差も当たり前
高級車、とくにセダンでは、派手めの色調が選ばれることは少なく、黒や白、そしてシルバー、グレーといった無難なカラーが定番となっている。カタログにはレッドやブルーといったカラーも設定されているが、中古車市場での需要はイマイチ。
実際、筆者が知人から聞いた話では、BMWの5シリーズ(セダン)で、赤系のメタリック色を下取り出したところ、予想より大幅に低い査定額を提示されたという。当該店の担当者いわく「人気色の白か黒でしたら、80万円高く買い取れたのですが……」。この手の話はほかにもいくらでもあり、元々の新車価格が高額なだけに減額は途方もなく大きくなる。
中古車市場では、展示してすぐ買い手がつく車両が、展示中の管理コストなどもかからず利幅も大きい。だから需要が高く高額で買い取れるのだ。外観や内装などの程度よりなによりも、まずボディカラーが優先されるのは間違いない。
■小型/普通乗車 おすすめのボディカラーはコレ!
●トヨタ・ヤリス
①スーパーホワイトⅡ
②ホワイトパールクリスタルシャイン
③ブラックボディカラーは意外なほどバラついている。そのなかでも有償色となるが、ホワイトパールは選んでおいて損はない。スポーティに決めたいならブラックも悪くない。
トヨタ・ヤリスのフロントスタイリング
●トヨタ・カローラ クロス
①アティチュードブラックマイカ
②プラチナホワイトパールマイカ
③スパークリングブラックパールクリスタルシャイン選択肢は意外に少ない。
プラチナホワイトパールマイカ、あるいはスパークリングパールクリスタルシャインが無難な選択。黒/白系色以外は再販価値低下のリスクが高い。
カローラ・クロスのフロントスタイリング
●トヨタ・アクア
①プラチナホワイトパールマイカ
②ブラックマイカ
③シルバーメタリックイメージカラーのクリアベージュメタリックは少々リスクが高いので注意。人気色はパールホワイト、シルバー、ブラックと無難な色に集中しているのでこのなかから選ぼう。
アクアのフロントスタイリング
●トヨタGR86
①クリスタルブラックシリカ
②マグネタイトグレーメタリック
③スパークレッド一般的に赤系はリスクが高いが、クルマのキャラクターや有償色であることを考えるとスパークレッドも再販価値が期待できる。グレーメタリックも再販時の人気が見込める。
86のフロントスタイリング
●日産ノート
①ピュアホワイトパール
②スーパーブラック
③ブリリアントシルバー標準車はオーナーの年齢層が高いためか無難な色が人気(オーロラフレアブルーパールまで踏み込んでもいいかも)。“オーラ”はパールホワイト×ブラックの2トーンがおすすめ。
ノートのフロントスタイリング
●ホンダ・ヴェゼル
①プラチナホワイト・パール
②クリスタルブラック・パール
③メテオロイドグレー・メタリックパールホワイト系が2色設定されており、これ以外はリセールバリューを考えるとリスクが高い。プレミアムサンライトホワイトパール×ブラックの2トーンが狙い目だ。
ヴェゼルのフロントスタイリング
●トヨタ・アルファード
①ブラック
②グラファイトメタリック
③ホワイトパールクリスタルシャインパールホワイト、黒系以外のリセールバリューは期待薄。“エグゼクティブラウンジ”はもっとも値落ちが早く、S CパッケージかSタイプゴールドⅡから選びたい。
アルファードのフロントスタイリング
●トヨタ・ノア
①アティチュードブラックマイカ
②スパークリングブラックパールクリスタルシャイン
③メタルストリームメタリックエアロ系の人気が高いので、標準色のアティチュードブラックマイカが1番人気だが、ボディコーティングが必須となる。ホワイトパールは人気色から外れている。
ノアのフロントスタイリング
●トヨタ・ヴォクシー
①アティチュードブラックマイカ
②グリッターブラックガラスフレーク
③ホワイトパールクリスタルシャインエアロ系一本なので、白&黒系に人気が集中している。予算に余裕があれば有償色のグリッターブラックガラスフレークを選べば、リセールバリューアップは確実と思われる。
ヴォクシーのフロントスタイリング
●ホンダ・フリード
①ホワイトオーキッド・パール
②コバルトブルー・パール
③モダンスティール・メタリック赤系さえ選ばなければ、リセールバリューへの影響は小さいだろう。黒系は手入れが大変なのでボディコーティングを忘れずに。白系やシルバーが無難な色というモデルではない。
フリードのフロントスタイリング※1 代表車種を抜粋しました
※2 人気カラーTOP3はメーカー発表のものです
■軽自動車 おすすめのボディカラーはコレ!
●ホンダ N-BOX
①プラチナホワイト・パールII
②クリスタルブラック・パール
③モーニングミストブルー・メタリック人気はカスタム系に集中しており、ボディカラーはパールホワイト系2色かブラックパール系を選んでおけばリセールバリューは十分期待できる。標準仕様では極端な差はない。
N-BOXカスタムのフロントスタイリング
●ダイハツ・タント
①ブラックマイカメタリック
②シャイニングホワイトパール
③ファイアークォーツレッドメタリックカスタム系はパールホワイトもしくは黒系から選んでほしい。標準車のパステルカラー系はリスクが高いが、赤系は手入れを確実に行っていれば人気も高まるので狙い目。
タントのフロントスタイリング
●ダイハツ・ムーヴ
①ブライトシルバーメタリック
②パールホワイトⅢ
③ファイアークォーツレッドメタリック標準のムーヴはパステル系さえ選ばなければ大きな差はないだろう。
“キャンバス”は単色ではなく、有償色となるが2トーンカラーを選んだほうがリセールが期待できる。
ムーヴのフロントスタイリング
●スズキ・スペーシア
①ピュアホワイトパール
②ブルーイッシュブラックパール3
③オフブルーメタリックカスタム系はパールホワイトかブラックパールのどちらかにしておけば問題なし。“ギア”はイエローとガンメタリックの2トーンでもいい。標準シリーズはとくに大きな差はない。
スペーシアのフロントスタイリング
●スズキ・ワゴンR
①ピュアホワイトパール
②ブルーイッシュブラックパール3
③アーバンブラウンパールメタリック“スティングレー”はパールホワイトかブラックパール。“スマイル”は単一色より2トーンがおすすめ。標準シリーズは黄色を敬遠したいところだが、とくに大きな差は出ない。
ワゴンRのフロントスタイリング
●スズキ・アルト
①ピュアホワイトパール
②シルキーシルバーメタリック
③ブルーイッシュブラックパール3メインカラーはブルー×ホワイトの2トーンだが、売れ筋は中間グレード以下になるので、ベーシックカーとしての中古車ニーズを考えると2トーンを選ばなくてもいいだろう。
アルトのフロントスタイリング
●日産ルークス
①ブラック
②ホワイトパール
③スターリングシルバー“ハイウェイスター”、標準車ともに2トーンが在庫車で目立つが、ハイウェイスターでは黒もしくはホワイトパールを選びたい。標準車で2トーンを無理して選ぶ必要はない。
ルークスのフロントスタイリング●日産デイズ
①ホワイトパール
②ブラック
③スターリングシルバー“ハイウェイスター”はリセールバリューを考えれば、黒もしくはパールホワイトとなる。標準グレードについては、ボディカラーによって大きく差が出ることはないだろう。
デイズのフロントスタイリング●スズキ・ハスラー
①バーミリオンオレンジ ガンメタリック*2トーン
②アクティブイエロー ホワイト*2トーン
③フェニックスレッドパール ガンメタリック*2トーン2トーンカラーが充実している。ただし、単一色でカーキ色が用意されており、現在の動向を見ても人気が高まりそうだ。車両のキャラクターを考えると個性的な色も悪くない。
ハスラーのフロントスタイリング
●ダイハツ・ミラ
①スカイブルーメタリック
②スプラッシュブルーメタリック
③パールホワイトⅢ“イース”は黄色系を外せば問題はないだろう。“トコット”はメインのセラミックグリーンメタリックの印象が強いが、無難な色以外を選んでも逆に人気が期待できるかもしれない。
ミライースのフロントスタイリング※1 代表車種を抜粋しました
※2 人気カラーTOP3はメーカー発表のものです
※本記事は雑誌CARトップの記事を再構成して掲載しております