この記事をまとめると
■2024年度末までに運転免許証とマイナンバーカードの一体化が開始される



■一体化にたいしてさまざまな懸念が噴出している



■まずはマイナンバーカードの信頼回復が何よりも重要なのではないだろうか



免許証をマイナンバーカードと一本化することで何が変わる?

運転免許証とマイナンバーカードの一体化が、昨年閣議決定され、2024年度末(2025年3月末)までの少しでも早い時期で運用を開始するとなっている。マイナンバーカードのICチップに、運転免許証の交付年月日、有効期間、免許の種類、免許番号などが記録されることにより、免許証の機能を果たすようになる。



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これに対し、「万一、マイナンバーカードを紛失した際の運転はどうなるのか?」といった懸念がある。

というのも、マイナンバーカードの再発行には1か月ほどかかるとされているからだ。実際、新規の申し込みをしても、自宅にカードが届くまでには日数がかかっている。その間にクルマを運転し、何らかの必要があって免許証の有無を警察などにより確認を求められた際にどのような扱いとなるのか?



それらの気になる点について、運転免許証を引き続き併用することも認められるようだが、ならばなぜ、マイナンバーカードと一本化するのかという疑問は残る。



他人の情報と紐付けとか信頼性の低い「マイナンバーカード」! 運転免許との一本化は「不安しかない」けど大丈夫か?
運転免許証のサンプル



一方で、引っ越しなどで住まいが変わった際には、住民票の登録などを行う自治体の役所で手続きが同時にできるため、いわゆるワンストップサービスの対象になる。諸手続きのため、役所や警察署など複数の事務手続きに時間を取られる面倒が減るというわけだ。



まずは地に落ちているマイナンバーカードの信頼回復が急務

それでも、更新の際に行われている講習などはどのように実施されるのか、国際免許証はどのように発行されるのかなどなど、具体的な個々の点で定かでない内容もある。更新時の講習については、オンラインで済ませるという考えもあるようだ。



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国際運転免許証のサンプル



そもそもマイナンバーカードの一体化でさまざまな不安や疑問が生じる背景にあるのは、マイナンバーカードそのものに対する信頼度が低いためだろう。健康保険証を廃止して、マイナンバーカードと一体化するに際しても、他の人の情報と紐づけされているなどの問題が頻発し、デジタル庁で対応をしているが、そもそもマイナンバーカード登録でなぜそのような間違いが全国的に広がってしまうのか。



つまり、入力の仕方がわかりにくかったり、手続きで錯覚を起こしやすい誘導があったりするからではないのか。民間のサービス業では、それが収益や銘柄への信頼を左右するので、かなり慎重に手順が考察されているはずだ。一方、役所の手続きは、役所の都合で決められている可能性があり、人々が安心して導入できる仕組みになっていないのではないか。



システム設計を外注するのはよいとしても、その内容を確認してから実施しているかどうかは不明だ。そうした根本が見直されない限り、健康保険証にしても運転免許証にしても、マイナンバーカードとの一体化は進まないし、広がりにくいだろう。



マイナンバーカードの信頼度を高めることが先決だ。そのうえで、役所の手間を省くことではなく、不慣れな人でも自在に扱いやすい手順の構築が必要で、それによって間違いが減ることでようやく信頼を得、普及につながり、そうなれば、健康保険証も運転免許証も一体化したほうがラクだという話になるのだと思う。



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マイナンバーカードのサンプル



また、関連付けようとする機能を管轄する省庁が多岐に及ぶ点も、責任の所在を不明瞭にし、適正な解決が進まないという、いわゆるお役所仕事的な側面もあるかもしれない。



一本化ありきではなく、一本化を目指した信頼の回復が、各種証明や許可証の制度を変更する以前に、まず成されるべきだろう。

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