この記事をまとめると
■運転免許の取得は学科試験を受験して9割以上の点数を取る必要がある■運転免許統計(令和4年版)によると同年中の平均合格率は78.7%だった
■第一種免許で合格率ワーストを並べると小型特殊と原付がダントツで低い
すべての運転免許試験の合格率は78.7%だった
運転免許といえば、社会人にとっては資格として、また顔写真付きのIDカードとしても必須アイテムといえる。後者の役割についてはマイナンバーカードに代替されつつもあるが、金融機関などで運転免許証を見せることで本人確認に利用したという経験を持つ人は多いだろう。
そんな運転免許の取得時には、いくつかのハードルがある。
ここ数年をみても、毎年100万人以上が新規に取得している普通四輪免許については、おそらく自動車学校(教習所)に入校しているケースが圧倒的多数派だろう。その場合、自動車学校で実技や学科を学びながら、仮免許を取得。路上教習を経て本免許の卒業検定をクリアしたうえで、免許センターなどで学科試験を受験、9割以上の点数をとる必要がある。そうして晴れて運転免許証を手に入れることができるのだ。
では、そんな免許試験の合格率はどうなっているのだろうか。
警察庁が発表している運転免許統計(令和4年版)によると、同年中における運転免許試験すべての平均合格率は78.7%となっている。
普通四輪に限って数字を追いかけてみると、延べで157万8541人が受験して、合格したのは117万6433人。合格率は74.5%だ。さらに、AT限定に絞った数字をみると115万7054人が受験して、合格者は85万7153人。合格率は74.1%となっている。

運転免許の学科試験には、少なからず「ひっかけ問題」的な難問奇問が含まれていることは知られているが、それにしても自動車学校で学んだ割には意外なほど低い合格率といえるのではないだろうか。
しかも、この統計における受験者数は前述したように延べ人数であるので、一度落ちた人が再受験した分も含まれている。
最難関の免許試験は第二種牽引で合格率21.7%
それはともかく、同統計における合格率をワーストで並べると意外な事実が浮かびあがってきた。
●第一種免許 合格率ワースト5
小型特殊:60.6%(1728人)
原付:61.4%(16万5197人)
小型二輪AT限定:71.8%(4万385人)
大型二輪AT限定:73.7%(247人)
普通四輪AT限定:74.1%(85万7153人)
※()内は受験者数
大型二輪AT限定については母数が247人と他の免許よりも格段に少ないため、統計的には横並びで比較するのは適切といえないかもしれないが、いずれにしてもAT限定免許は合格率が低い傾向にあるようだ。なお、小型二輪は全体としても74.0%と合格率が低いが、それは小型二輪の試験受験者の8割程度がAT限定である影響といえる。
それにしても驚くのは、小型特殊や原付の合格率の低さ。以下の合格率ベスト5で示すように中大型免許では軒並み100%近い合格率となっていることを考えると、原付や小型特殊の6割程度の合格率というのは衝撃的だ。

●第一種免許 合格率ベスト5
中型:99.2%(19万6880人)
大型:95.0%(6万7752人)
準中型:90.4%(12万5010人)
大型二輪:89.4%(10万8306人)
大型特殊:86.7%(7万480人)
※()内は受験者数
もっとも、小型特殊や原付の合格率が低いのは、いずれも自動車学校などに通うことなく、問題集などを自主勉強して受験に臨むことが多いからであって、取得のハードル自体が高いというわけではない。むしろ運転免許としては簡単な部類であって、ある意味"なめてかかっている"受験者が多いゆえの低合格率といえるだろう。

本当に運転免許のなかで難しいといえるのは、お金をもらって人を運ぶ「旅客運送」のために必要な二種免許だ。
●二種免許合格率ワースト5
牽引:21.7%(1800人)
大型特殊:33.7%(1286人)
普通四輪:54.1%(2万4436人)
大型:63.6%(1万324人)
中型:79.3%(1472人)
※()内は受験者数
こちらの合格率は、全体の平均で55.4%。その中でも合格率が低いのは牽引二種の21.7%だ。平均的にいって5回受験してようやく受かることができるという最難関免許なのである。