この記事をまとめると
■クルマの左右でドアの数が異なる「ワンツードア」を採用した4台を紹介■かつてはワゴン型の軽自動車の先駆けやミニバンブームの人気車種に採用されていた
■ワンツードアは使い勝手にビハインドがあり1代限りで消えている場合が多い
かつてはスライドドアがあるのは左側だけだった
クルマのドアは、右側と左側に同じ数だけついていることが多いのですが、稀に左右でドアの数が非対称となっているタイプがあり、「ワンツードア」と呼ばれています。使い勝手の面から見ると、ドアが多いほうが使いやすいという人が大多数になるとは思うのですが、なぜワンツードアにするのか。そのクルマによってさまざまな理由がありますが、主にデザイン性の都合、軽量化、衝突安全性のためなどが挙げられます。
1台目は、バブルが弾けた1993年に彗星のごとく現れた、軽自動車のスーパーハイトワゴンブームの火付け役となった、初代ワゴンR。当時はまだ、全高が高い軽自動車というのは商用バンのようなタイプしかなく、しっかりボンネットがあるデザインで全高が高いスタイルは新鮮だったものです。
二重フロア構造で、運転席に座るとアップライトな視点となるのも新鮮。後席もゆったりと広く、広大な室内空間を実現していたことも魅力的でした。
そしてここに、自然吸気エンジンに加えてパワフルなターボエンジンを搭載したワゴンRエアロRSという、存在感抜群のグレードが設定されていたのが功を奏しました。それまではどこか「軽自動車は女性が乗るもの」というイメージがあったのですが、このワゴンRのおかげで男性も堂々と軽自動車をファーストカーとして乗ることができるようになったのです。

※写真は標準グレードのターボエンジン搭載車
右側に1ドア、左側に2ドアとしたワンツードアのみで登場しましたが、1996年に右側も2ドアとなった5ドアモデルが追加されました。
2台目は、いまでも人気Mクラスミニバン御三家の1台としてロングセラーモデルとなっている、ホンダ・ステップワゴン。1996年に登場した初代モデルは、ワンツードアを採用していました。ホンダは当時、「クリエイティブムーバー(生活創造車)」に力を入れており、第一弾がオデッセイ、第二弾がCR-V、そして第三弾としてファミリームーバーという位置付けて登場したのがステップワゴンでした。

5ナンバーサイズで、ボディは四角いお弁当箱のようなボックス型。
ドアは右側には運転席のヒンジドアのみで、左側は後ろがスライドドアというワンツータイプ。

2列目、3列目シートの乗り降りをすべて左側からこなすというのが、やはりちょっと面倒という意見はあったものの、大ヒットモデルとなったのでした。
世にも珍しいスライドドアではないワンツードアもあった
3台目は、かつてトヨタが「ユニバーサルデザイン」に力を入れていた頃、ラウムに続く第二弾として2004年に登場したポルテの、2012年にフルモデルチェンジした2代目モデルです。

5ナンバーサイズのトールワゴンで、初代は右側は運転席のヒンジドアのみ、左側は大開口のスライドドアのみという、左右非対称ドアを採用していたのですが、2代目は右側が前後ともヒンジドア、左側がスライドドアのみというワンツードアタイプになりました。
このタイプはなかなか珍しく、後席がふかふかのソファのようなベンチタイプで、座面が跳ね上げて格納できるようになっていたのがポイント。そのため、コンパクトなボディでもスライドドアから自転車が積み込めるなど、人だけでなく荷物がたっぷり積めるのも魅力的でした。
2代目には兄弟車として、ちょっとカスタムされた外観の「スペイド」もありました。

4台目は、BMWが手がけるようになって初めて登場したMINIクラブマン。クラシックMINIの時代のワゴンタイプのクラブマンへのオマージュが込められたデザインで、バックドアが観音開きになっているのが大きな特徴です。

そのドアもユニークで、右側は前後のドアが観音開きでガバっと開き、左側はヒンジドアがひとつのみというワンツードアタイプ。
これは、猟犬をともなって狩りに出かけていた貴族が乗っていたという、シューティングブレークをコンセプトとしていたからで、愛犬を後席に乗せやすくしたり、ドアを開けたときに飛び出しにくいようになっているという話。

ということで、ワンツードアはほとんどが1代こっきりで消えているところを見ると、やはり使い勝手の面では左右対称のドアがいいということになりそうですが、デザイナーのこだわりやメーカーの想いが込められていることが感じられるポイントのひとつではないでしょうか。これからも語り継がれていってほしいです。