この記事をまとめると
■F1コンストラクターのブラバムが2018年にコンペティションモデル「BT62」を発売



■ブラバムはBT62の公道仕様としてハイパーカーの「BT62R」をついに発表した



■BT62Rにはサーキット走行用のトラックパックも用意されている



過去のブラバム車から続く「62」の開発コードを持つ

かつてF1ドライバーとしても活躍したデビッド・ブラバム氏が率いるブラバム・オートモーティブ社が、2018年に発表したコンペティションモデルが「BT62」と呼ばれる驚異のマシンだった。ちなみに車名のBTとは、デビッドの父であり、F1の世界ではさらに高い知名度を誇る、サー・ジャック・ブラバムと、エンジニアのロン・トーナラックのイニシャル、BとTを意味するもので、それに続く62という数字は、過去のブラバム車から続く開発コードにほかならない。



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ブラバム・オートモーティブは、2018年の段階では70台のBT62を生産する計画を発表していたが、そのなかにはコンペティション仕様とともに、オンロード仕様の生産計画もあったことから、世界のハイパーカーファンは、その計画の行方に熱い視線を送っていた。



その第一号車は、やはりコンペティション仕様として製作され、ブリッドカー耐久選手権への参戦のため、イギリスのホースパワーレーシングにデリバリーされた。そのミッドには700馬力の最高出力と667Nmの最大トルクを誇る5.7リッターのV型8気筒自然吸気エンジンが搭載され、これに6速のシーケンシャルギヤボックスを組み合わせるのがパワーユニットの構成。



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ブラバムBT62のエンジン



発表時点では加速性能や最高速に関する発表はなかったが、そのいかにも挑戦的なボディフォルム、そしてエアロデバイスの数々を見れば、それが相当なハイパフォーマンスを誇るモデルであることは容易に想像することができた。



フロントのスプリッターやアンダーパネル、リヤデフューザー、リヤウイングなどから得られるダウンフォースは、最大で1200kg。これは現在の第一線に並ぶハイパーカーの多くがアナウンスするスペックを明らかに超える数字だ。



軽量化についてのこだわりも徹底している。その主要構造体はカーボン製のモノコックであることは間違いなく、それによって車重は972kgを実現。キャビンにはニーサポートも一体化されたフルバケットシートのほか、視認性に優れるデジタルメーターや独特な形状のステアリングホイールが装備され、このステアリングホイール上にはいくつものスイッチ類が整然と配置されているのが分かる。



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ブラバムBT62のインテリア



キャビンもカーボンとアルカンターラによる、じつにスパルタンで機能的な空間に仕上げられていたのだった。



レーシングカーを公道仕様にしたBT62Rがついにデビュー

そしてこのBT62のロードバージョンがついに誕生した。車名は新たにロードを意味するRを加えた「BT62R」となり、価格は装備の内容にもよるが200万ドル(約2億9000万円)に達するという。



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ブラバムBT62Rのフロントスタイリング



BT62Rには公道やサーキットでの使用に対応した可変車高設定、各国の規制を満たすための、より静かな排気システム、再設計されたシート、エアコンやヒーテッドウインドウスクリーンなどの装備が追加され、18Kゴールドのロゴとバッジも追加された。



ミッドに搭載されるエンジンは、コンペティション仕様と同様に、700馬力の最高出力を発揮する5.7リッターのV型8気筒だが、それが自然吸気であることに多くのファンは熱い視線を送る。



ブラバム・オートモーティブによると、フォード・レーシングが起源とされる最高回転数で8000rpmを誇るこのエンジンは、自然吸気ならではの、ほかに類を見ない直感的なドライビング体験を約束するという。エンジンマッピングは公道走行用に適したものに調節されており、6速のミッションもギヤ比を変更することで公道上での扱いやすさを高めているとのことだ。ステアリングホイールにはパドルシフトも備わっている。



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ブラバムBT62Rの走行シーン



BT62Rにはシグネチャーシリーズとセレブレーションシリーズがあり、後者は35台の限定。ブラバムF1マシンが達成した35のF1GPでの勝利にオマージュを捧げた35色のユニークなカラーで提供されることになるという。



さらに興味深いのは、サーキット走行に対応したエアロパーツなどからなるトラックパックの存在。サーキットからオンロードへと飛び出したブラバムのハイパーカーには、再びサーキットへと戻るためのエクイップメントが与えられているのだ。



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ブラバムBT62Rセレブレーションシリーズのフロントスタイリング



オーストラリアの地から世界各国へとデリバリーされるBT62R。そのステアリングを握ることができるオーナーは、どれだけ幸せだろうか。

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