この記事をまとめると
■トラックには乗用車とは違う表示やステッカーが貼られている



■トラックには掲出しないと法律に触れるステッカーも存在する



■トラックならではのステッカーや表示の意味を解説



掲出しないと罰則を受けるものもある

クルマやバイクには、表示することが義務付けられているステッカーがいくつもある。クルマのフロントウインドウには車検の有効期限が分かる検査証票や法定点検の丸いステッカー、原付バイクなら自賠責保険の有効期限のステッカーをナンバープレートに貼る必要がある。法定点検のステッカーを除き、これらのステッカーは貼って表示していないと道路運送車両法に抵触してしまう(ただし、法定点検のステッカーは古いモノを貼ったままにしているのは厳密には法令違反だが、実際には取り締まりに遭ったという話は聞いたことがない)。



トラックの場合、乗用車で義務付けられたステッカー以外にも、さまざまなステッカーや表示を見つけることができる。それらのほとんどはもちろん意味があるものだ。もっとも代表的なのは、ボディ後端に貼られた最大積載量の表示だろう。これはステッカーではなく塗料で描き込むのもOKだが、必ず表示しなければならない。そのトラックの軸重から適切な積載量の上限が算出されており、それによって道路上の安全を確保するためだ。



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「最大積載量積めるだけ~」というパロディステッカーは見ている分には楽しいが、実際には最大積載量の表示がキチンとされていなければ車検は合格しないし、走行中に重量計測(通称カンカン)の検問による取り締まりに遭ったときには、必ずチェックされるので、トラックで貼っていない車両はまず見かけない。



ちなみに冒頭の画像にある「危」の表示は、積載物が危険物(消防法で定められた石油系や酸やアルカリなどの薬品の危険物)であることを表示しており、他にも「毒」(毒物=毒性のある薬品など)などもあるが、これはステッカーではなく標識で大きさが決まっており、運搬する際には表示することが義務つけられている。



違反すると最悪の場合、危険物取扱者の免許が取り消しとなり、罰金や勾留される可能性もある。



罰則はなくても貼っていないと面倒なことになるものも!

黄色い丸型の「速度抑制装置付」ステッカーも、ボディ後端に貼られていることが多い。これは大型車の高速道路における速度制限に対応したスピードリミッターが取り付けられていることを示すものだ。大型トラックがスピードを出せないことを後続のドライバーにも理解してもらうために貼っているもので、貼られていなくても罰則はないが、リミッターを不正に解除すると不正改造となって処罰の対象になる。



乗用車とは違うモノが多数! トラックならではの「ステッカー」「表示」は義務? 罰則はある?
タンクローリーのバンパーに貼られた速度抑制装置付のステッカー



タンクローリーのバンパーに貼られた速度抑制装置付のステッカー。

2024年からの物流危機対策として、速度制限の緩和が検討されているが、実施されればこの表示も変わるか。



丸型の青いステッカーに「九都県市」と「適合車」の文字が入っているステッカーを車体後部や側面に見かけることもある。これはこの地域のディーゼル排ガス規制に関する条例に適合していることを示しているもので、不適合では該当地域での使用や乗り入れが認められない。もし不適合車両で乗り入れた場合、検挙されれば50万円以下の罰金が課せられることになる。



乗用車とは違うモノが多数! トラックならではの「ステッカー」「表示」は義務? 罰則はある?
大型トラックに貼られた適合車のステッカー



※写真は八都府県の適合車ステッカー



水色の楕円のステッカーは国の自動車NOx・PM法に適合していることを示すもので、これも都市部での使用を制限するものだ。猶予期間が過ぎてもクルマを使用したことが発覚した場合、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられる可能性がある。



緑の楕円型のステッカーは、燃費基準への達成度合いを表示したもので、年度により基準が変わっており、その達成度合いによって減税などの恩恵が受けられるが、ステッカー自体には表示の義務や罰則などはない。速度抑制装置や九都県市適合車、自動車NOx・PM法もステッカー自体は貼っていないことによる罰則はないが、貼っていないと規制をクリアしているか外観からはわからないため、停止を求められて車検証などを確認される羽目にもなりかねない。



乗用車とは違うモノが多数! トラックならではの「ステッカー」「表示」は義務? 罰則はある?
複数の大型トラックが走行している写真



トラックは業務で使用しているため、取り締まりなどに遭えばその時間的損失は大きい。このように罰則がないステッカーでもきちんと表示しているのは、効率よく業務をこなすための対策でもあるのだ。

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