この記事をまとめると
■新車販売店でスタッフがクルマを誘導してくれるのは訪問客に関する情報収集のため



■集められた情報は担当セールススタッフへ引き継がれため交渉をスムースに進めるのに役に立つ



■お見送りは次にどこかの店に入るかもしれないと店を出た後の動きを確認していることもある



店舗に入る前から情報収集されている

新車ディーラーを訪れ、駐車場にクルマを停めているといつの間にかディーラースタッフが誘導してくれていることはよくあること。このようなことが行われるおもな理由はCS(顧客満足度)向上、つまりサービスの一貫なのだが、じつはそれだけではないのである。



最近は“コンシェルジュ”的な役割を担っていたりもする女性スタッフが対応することも多いが、過去には若手を中心にセールススタッフが行うのが当たり前であった。



「お出迎え」も「お見送り」も単なる「おもてなし」じゃなかった...の画像はこちら >>



その最大の理由が、訪問客に関する情報収集である、つまり乗ってきたクルマの様子を探るのである。フロントガラスに貼ってあるステッカーを見れば“車検満了月”がわかるし、クルマの様子(年式や内外装の状況など)はわかるし、さりげなく車内をのぞき込みカタログが入っている(いまは電子化も進んでいるが)と思われるライバルディーラーの書類袋などの有無(ほかのディーラーをまわっているかの確認)などもさりげなく行っているのである。



「お出迎え」も「お見送り」も単なる「おもてなし」じゃなかった! 新車ディーラーマンの行動に隠れた驚きの真実
フロントウインドウの車検証ステッカー



最近は販売職以外の女性スタッフが応対するケースが多いと前述したが、筆者が経験したかぎりでは、女性スタッフがこの“情報収集”を行い担当セールススタッフへ情報を引き継いでいるケースも多いようだ。事務所から出てきたセールススタッフにいきなり、「おクルマは●●●ですよね」と言われたこともあるので、筆者は情報が引き継がれるケースもあるなと考えている。



新車の販売の裏には高度な情報戦が繰り広げられている

それほど“個人情報”というものが重視されていなかったころの話では、ディーラーで下取り査定をする際に、当該車両の車検証に業界人でしかわからない“マーキング”をセールススタッフがしていたとも聞いたことがある。



「お出迎え」も「お見送り」も単なる「おもてなし」じゃなかった! 新車ディーラーマンの行動に隠れた驚きの真実
クルマの車検証



下取り査定時には車検証の内容を転記する必要があるので、その際に何かしらのマーキングをしておくと、次に下取り査定を行うディーラーのセールススタッフは「このお客はほかの店でも検討しているな」とわかったというのである。



筆者は下取り査定をお願いする時には、意図的にライバルディーラーの書類袋に入ったカタログなどをわかりやすく車内に置いておき、逆に「ほかも見ていますよ」とセールススタッフにプレッシャーをかけるのも有効などとアドバイスしていたこともある。



レクサスディーラーではディーラー敷地内に入るときにナンバープレートで識別しているようだが、その店で販売した車両か否か、そして誰が販売した車両なのかを識別することで、担当セールススタッフがお出迎えするようなシステムを採用しているという話を聞いたことがあり、実際、トヨタブランド車で某レクサス店を訪れたときにはそのようなシステムがあるのだなと感じた。



「お出迎え」も「お見送り」も単なる「おもてなし」じゃなかった! 新車ディーラーマンの行動に隠れた驚きの真実
レクサスのディーラー



用事が済んでディーラーをあとにするときに見送りされることもよくあること。交通量のかなり多いバイパス沿いの店舗では、店舗によっては誘導による事故発生リスクを考慮してあえて見送りをしないところもあるようだが、たいていの店舗では行っている。



そのとき、見えなくなるまでセールススタッフが見送っているときがあるが、これも意味を持っていることもあるようだ。さまざまなメーカー系ディーラーが道沿いに集まる“ディーラー街”では、次にどこかの店に入るかもしれないなど、店を出たあとの動きを確認していることもあるようだ。



ちなみに、筆者は客を装ってディーラーを訪れて情報収集することがあるのだが、あるディーラーでは、“怪しい”と思われたようでディーラーを出たあとしばらく尾行された経験がある(途中でまいた)。

編集部おすすめ