この記事をまとめると
■モータースポーツには時にアンバランスとも思えるようなマシンが投入されることもある



■かつてニュルブルクリンク24時間レースには「トヨタC-HRレーシング」が参戦した



■ほかにもベントレー・ベンテイガやスバル・レヴォーグ、トヨタハイエースなどがレースに投入された



シャコタンのC-HRはもはやSUVには見えない

レーシングカーと言えば、フォーミュラカーを思い浮かべる人もいれば、2ドアのスポーツカーをベースとしたGTカー、あるいは4ドアのツーリングカーを思い浮かべる人もいるだろう。しかし、時としてモータースポーツにはアンバランスと思えるようなマシンがメジャーなイベントに登場することも少なくはない。



筆者が最初に「?」と思ったマシンが、トヨタのコンパクトSUV「C-HR」だ。

2016年のニュルブルクリンク24時間レースにトヨタGAZOOレーシングが発売前の開発モデル「トヨタC-HRレーシング」を投入。



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車高が低く、リヤウイングを筆頭に大きなエアロパーツを備えていたことから、ぱっと見はコンパクトハッチのような雰囲気だったが、それでも、スーパーカーやピュアスポーツカーが集うニュルブルクリンク24時間レースの会場では独特なシルエットが異彩を放っていた。



とはいえ、その走りはスポーティで、1200ccターボの小排気量エンジンながら、リズミカルなフットワークを披露。



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2016年のニュルブルクリンク24時間レースに投入されたトヨタC-HRレーシング



途中、ガス欠でストップするシーンも見られたが、ほぼノントラブルで過酷な24時間を走破し、総合84位、SP2Tクラスで3位入賞を果たした。



素晴らしいコーナリングを見せてくれるハイエースがあった

SUVでモータースポーツ……という部分では、2018年のパイクスピーク・インタナーナショナル・ヒルクライムでもアンバランスな一台が注目を集めていた。同年のパイクスピークといえば、フォルクスワーゲンがコースレコードを塗り替えるべく、EVレーシングカーの「I.D.Rパイクスピーク」を投入。筆者も同モデルを取材すべく、現地を訪れており、7分57秒148という史上初の8分切りを果たした瞬間を見届けていたのだが、その十数分後に頂上へ駆け抜けてきたマシンにも軽い衝撃を受けていた。



同大会にはベントレーが6000ccのW12エンジンを搭載したSUV「ベンテイガ」を投入しており、リース・ミレンがほぼノーマル状態の同モデルで10分49秒9をマーク。市販SUV車の記録を更新することに成功していた。



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2018年のパイクスピークヒルクライムに参戦したベントレー・ベンテイガ



2400kgを上まわる超重量級のマシンとなっていることから、そのフットワークにキビキビとした瞬発力はなかったが、それでも600馬力オーバーのパワーを持つことから迫力満点で、シャッターを切りながら、ベンテイガの走りに感心していた。



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2018年のパイクスピークヒルクライムに参戦したベントレー・ベンテイガ



また、イギリスの人気ツーリングカーレース、BTCCでは、2016年から2019年にかけてスバルのスポーツワゴン「レヴォーグGT」が活躍。



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2016年から2019年のBTCCに参戦していたスバル・レヴォーグGT



筆者はラストイヤーの2019年に同モデルを取材していたのだが、FRにレイアウトを変更した同モデルは安定した走りを披露。

空力の開発には苦労を強いられていたようだが、ボクサーエンジンが心地よいサウンドを響かせながら、抜群のコーナリングを披露していた。



そして、モータースポーツに不釣り合いなマシンの代表と言えるのが、商用車としても人気のトヨタのワンボックスカー「ハイエース」だと言えるだろう。CASTレーシングが2021年より全日本ラリー選手権に2台のハイエースを投入。



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2021年より全日本ラリー選手権に参戦しているトヨタ・ハイエース



同モデルは2000ccのガソリンエンジン搭載車ゆえに、パワー不足は否めないが、それでも巨体に似合わず、素晴らしいコーナリングを披露するだけに、あまりのアンバランス感から、初めて見た時は脳みそが軽くバグるほどの衝撃を受けていた。



しかも、同モデルはターマックだけでなく、グラベルでも活躍しているから面白い。残念ながらハイエースは現在の車両規定およびクラス区分に当てはまらないことから、オープンクラスでの参戦となっているが、もはや全日本ラリーの名物車両のような存在となっているのである。

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