この記事をまとめると
■日本では考えられないような道路事情に中国では出くわすことがある■「眠気防止七色ビーム」を備えた高速道路や世界最長の高速道路などはいかにも中国らしい
■重慶の黄桷湾立体交差橋はまるで巨大迷路のような複雑さ
日本の常識が通用しない中国の「道」
かの司馬遼太郎氏に言わせると「中国のような巨大すぎる大陸国家は人類が考えたどのような近代国家の原理や運営方法もあてはめにくい」とのこと。平たくいうと、デカすぎて常識が通用しないという感じでしょうか。そんな桁外れな中国ですが、我々クルマ好きが思わず頬を緩めたり、頭の上にクエスチョンマークがいくつも浮かぶニュースが届きました。
ところで、運転中の眠気防止とか、眠気覚ましというと、たいていは「ガムを噛む」「コーヒーを飲む」あるいは「窓を全開にして大声で歌う」といったソリューションを選びがち。最善の策は無理をせずクルマを止めて休むことでしょうが、広い中国でそんなことしていたらいつまでたっても目的地には到達できません!
そこで、中国の山東省が高速道路に導入したのが「眠気防止七色ビーム」。七色に輝くレーザービームを、夜空に向かってブワっと照射する様子は、あたかもパリピが集うフェス会場のノリ(笑)。これ、知っていれば「ああ、きたきた。きれいだねー」なんて言えるのでしょうが、初見で空いっぱいにレーザーが見えたら確かにビックリして眠気も覚めるはず。
効果のほどは報道されていないのですが(笑)、このレーザービームをひと目見よう、スマホに録画してSNSにアップしよう、という野次馬たちが大挙して山東省を訪れたため、にわかに現場は大渋滞を引き起こしたとのこと。わちゃわちゃしていることで、たしかに眠気は消えそうですが、間が抜けたアイデアというか、とにかく微笑ましいニュースではあります。
一方で、ゴビ砂漠を貫通する世界最長の高速道路(京新高速道路)というのも同じく中国のもの。さすが、万里の長城を構築しちゃった国だけに、スケールが日本とは段違いです。

北京とウイグルを結ぶ総延長距離2822kmは、日本の高速道路が総延長で9800kmほどですから、砂漠越えだけでその3分の1程度をクリアしているわけです。ここで驚くべきポイントは、途中500kmはガチで砂漠のなかとなるため、サービスエリアやGSなんて一か所もないということ。
むろん、周囲に人家などありませんから、ガス欠にでもなったらそれこそ命取り。
新たな中国のハチャメチャ道路事情のニュースが楽しみ
中国で高速道路といえば、8年の月日をかけて完成した重慶の黄桷湾立体交差橋も大きな話題となりました。とにかくランプの分岐点が15か所もあり、そこからさらに8方向に道路が伸びているという状況。これは運転手泣かせというか、ナビがあっても苦労しそうなレベルでしょう。
立体交差といっても5層にわたる構造で、もっとも高い場所は地上37mと、マンションでいえば11階建てに相当するもの。なるほど、8年の歳月もかかりそうなものですが、重慶の役所は「市の中心部と空港や、各高速道路を結ぶと複雑にならざるを得なかった」とのこと。現地では「分岐をひとつ間違えれば、重慶に着くのが1日遅れる」とか「カーナビがバグった」などと、評判は芳しくないようです。

そんなハチャメチャな中国の高速道路事情ですが、浙江省では高速道路のど真んなかに個人の家が建っています(笑)。実際の様子を見れば、お家が中央分離帯というかシケインのようなことになっていて、誰もが二度見すること間違いなし。さらに、道路が開通した後も家主はそのまま住み続けていたのも驚きです。
家主のLuo Baogen氏は、道路の建設によって立ち退きを要請されていたのですが、「政府の示した条件に納得できなかった」と拒否。日本では到底考えづらいことですが、中国政府は「ならば、これでどうだ」とばかりに工事を強行してしまい、現在のようなビックリドッキリな状況というわけ。

もっとも、Luoさんに言わせると「毎朝、高速道路を走るクルマの音で目が覚めて、忙しそうにしているのを眺めていると、それそれで気分がいい」とのこと。中国政府もあんまりですが、それを受け止めているLuoさんも相当なものです(笑)。
そんなLuo氏(中国表記:羅宝源)は60万元の価値があると言って退去に応じなかったものの、最終的には26万元と転居費用をもって退去に応じ、2012年に12月1日に取り壊されてしまいました。

このように取り残された家のことを中国では1本だけ刺さった釘のように見えることから「钉子户(釘の家)」と呼ぶようになりました。
他人事に聞こえるかもしれませんが、中国にはこのままハチャメチャ道路事情をぜひ続けてもらいたいもの。どんなニュースが飛び込んでくるのか、楽しみでなりませんよね!