この記事をまとめると
■中国メーカーのBYDと韓国メーカーのヒョンデの日本市場での動向を探った



■それぞれ現在展開する車種は少ない



■BYDのアット3は日本車の驚異となる売れ行きだといえる



日本の電気自動車の市場規模から考えるとBYDは売れている

今、輸入車で注目されている新興ブランドは、中国のBYDと韓国のヒョンデだ。BYDは1995年にバッテリーメーカーとして創業され、自動車の製造は2000年以降に開始した。手掛けるのは電気自動車だ。



ヒョンデはかつて日本で乗用車の販売を行った時期もあるが、ピークの2000年代前半で、1カ月平均登録台数は200台程度に留まった。そのために2010年以降は、事実上撤退していたが、再び取り扱いを開始した。以前のヒョンデはエンジン車を輸入したが、現在販売されているのは電気自動車のアイオニック5とコナ、燃料電池車のネクソだ。



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BYDは、前述のとおり電気自動車のアット3とドルフィンを扱う。アット3は2023年1月に発売され、コンパクトSUVのドルフィンは9月に投入された。果たしてこれらの新興車種は、どの程度販売されているのか。



中・韓メーカー「BYDとヒョンデ」は成功してる? 現在の状況を調べたら「ヒョンデはこれから」「BYDはかなり驚異」だった
BYDドルフィンの走行画像



BYDの直近の登録台数を見ると、2023年7月が78台、8月は89台、9月は189台に増えた。ほかの輸入車ブランドに比べると、アルファロメオなどと同程度で、ジャガーやシボレーよりは多い。ドルフィンの発売は2023年9月だから、上記の3カ月間は、大半がアット3の登録台数で占められる。



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BYD ATTO3のフロントスタイリング



ちなみに国産の電気自動車は、リーフの1カ月平均登録台数が400台前後で、ソルテラは50台程度、bZ4Xはリース専用車で40台くらいだ。日本で電気自動車が苦戦する状況を考えると、従来型からの乗り替え需要がないにもかかわらず、BYDの売れ行きはおおむね堅調といえる。9月に登録台数が189台に急増するあたり、販売状況に偏りは見られるが、日本の電気自動車市場は前述の通り小規模だから、足場を築くチャンスでもある。



ヒョンデはフリート販売に力を入れていく

どのような人達がBYDアット3を買っているのか、販売店に尋ねると以下のように返答された。「アット3の在庫は十分に用意され、約1カ月で納車できる。好みに合った仕様がなくても、納期は長くて3カ月程度だ。お客様は年齢層を含めて幅が広く、下取り車も電気自動車のリーフからフォルクスワーゲンゴルフまでさまざまだ。以前の電気自動車は、一戸建てのお客様が圧倒的に多かったが、アット3ではマンションに住んで公共施設などの急速充電器を使うケースもある。価格の安さが決め手になっている」。



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BYD ATTO3の走行画像



BYDアット3は、全長が4455mm、全幅は1875mmのミドルサイズハッチバックで、駆動用リチウムイオン電池の総電力量は58.56kWhだ。1回の充電により、WLTCモードで470kmを走行できる。価格は440万円だが、申請を行うと経済産業省による85万円の補助金が交付される。この金額を差し引いた実質価格は355万円だ。



ちなみにリーフは、ボディサイズがアット3に近い。60kWhのリチウムイオン電池を搭載するe+Xの価格は525万3600円で、補助金交付額の85万円を差し引くと約440万円になる。

つまりアット3は、リーフe+Xよりも実質的に約85万円安く、装備は逆に充実する。この買い得度の強さがアット3の決め手だ。



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BYD ATTO3のリヤスタイリング



一方、ヒョンデの登録台数は、2023年7月が15台、8月が20台、9月が36台とされる。今の登録台数は少ないが、販売店では「エニカのカーシェアやレンタカーを含めて、販売に力を入れる」と言う。



中・韓メーカー「BYDとヒョンデ」は成功してる? 現在の状況を調べたら「ヒョンデはこれから」「BYDはかなり驚異」だった
ヒョンデIONIC5のフロントスタイリング



アイオニック5の標準仕様は、58kWhのリチウムイオン電池を搭載して、WLTCモードにより498kmを走行できる。価格は479万円で、経済産業省による補助金交付額は65万円だ。補助金を差し引いた実質価格は414万円になる。これもリーフに比べて安いが、BYDアット3の実質価格が355万円に収まるのは、やはり説得力が強い。



中・韓メーカー「BYDとヒョンデ」は成功してる? 現在の状況を調べたら「ヒョンデはこれから」「BYDはかなり驚異」だった
ヒョンデIONIC5のリヤスタイリング

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