この記事をまとめると
マツダが「ジャパンモビリティショー2023」で公開した「ICONIC SP」はひときわ注目を集めた



■マツダはこれまでも注目度の高いコンセプトカーを数多く発表している



■マツダのデザイン思想は新しいコンセプトカーや市販車に確実に受け継がれている



マツダの歴代コンセプトカーはどれも美しい

2023年10月末から11月上旬にかけて、4年ぶりに開催された東京モーターショー、いや名称改め「ジャパンモビリティショー2023」の会場で、ひときわ注目を集めていたのがマツダのブース。そこには「ICONIC SP」を名乗るコンセプトカーが展示され、マツダファンはもちろん、多くの来場者の注目を集めていた。



何しろ、VIOLA RED(ヴィオラレッド)と呼ばれる鮮烈な赤のボディカラーもさることながら、翼を広げるように開くドア、2ローターRotary-EVシステムの採用、ミッドシップレイアウト、前後50:50の重量配分など、カーボンニュートラルの時代にフィットしたマツダのスポーツカー像を表したものだった。



マツダのデザインって凄すぎないか!? 過去のコンセプトカーを...の画像はこちら >>



スペックが発表されているのも大きな特徴で、全長4180×全幅1850×全高1150mm。370馬力、車重1450kgでパワーウエイトレシオは3.9と発表されている。



そもそもマツダは過去から現在にかけて、多くの注目を集めるコンセプトカーを披露してきた歴史がある。そしてそれは、やがて市販車へと、その一部にしても、引き継がれてきたのであった。



そんなマツダの記憶に残る過去のコンセプトカーの一部を紹介すると、まずは1999年の東京モーターショーで発表された「RX-EVOLV」がある。RX-8を思わせる観音開きの4ドアスポーツクーペで、パワーユニットはRENESISと呼ばれるロータリーエンジンで、654cc×2ローター、280馬力、23.0kg-mが目標値とされていた。



マツダのデザインって凄すぎないか!? 過去のコンセプトカーを振り返ってみたらドレもコレも衝撃のカッコよさだった
マツダのコンセプトカー「RX-EVOLV」



その後、マツダは日本の自動車メーカーとして、漢字一文字を冠したコンセプトカーを続々と登場させる。



2006年にマツダの北米スタジオがデザインしたのが「鏑」(かぶら)。RX-8を思わせるスポーツクーペであるものの、リヤドアはなんとスライドドアだった。



マツダのデザインって凄すぎないか!? 過去のコンセプトカーを振り返ってみたらドレもコレも衝撃のカッコよさだった
マツダのコンセプトカー「鏑(かぶら)」



つまり、後席を重視したクーペで、助手席が前寄りにセットされ、後席乗降性にもこだわっていたのが特徴だった。日本国内では2008年、マツダの本拠地、広島のイベントにも登場している。



また、2006年のロサンゼルスオートショーのマツダのブースを飾った1台が、「流」(ながれ)という、NAGAREシリーズの第1弾となるいかにもコンセプトモデルなクルマだった。



マツダのデザインって凄すぎないか!? 過去のコンセプトカーを振り返ってみたらドレもコレも衝撃のカッコよさだった
マツダのコンセプトカー「流(ながれ)」



マツダ北米デザインスタジオの作品で、ネーミングどおり、流れるような面構成のスタイリングで、なんといってもセンター配置ステアリングの前席ひとり乗り、後席3人乗りのパッケージが斬新。ドアはガルウイングドアである。



魂動デザインは市販車にも受け継がれる

2007年の北米国際自動車ショーで発表されたのが「流雅」(りゅうが)。NAGAREシリーズの第2弾であり、マツダの日米デザインチームの合作。



マツダのデザインって凄すぎないか!? 過去のコンセプトカーを振り返ってみたらドレもコレも衝撃のカッコよさだった
マツダのコンセプトカー「流雅(りゅうが)」



前部はRX-8、後部はロードスターのプラットフォームが用いられているとされ、パワーユニットは2.5リッターで駆動方式はFF。若者向けのコンパクトスポーツながら、実用的な4人乗りというところが、当時の若者のクルマに対する考え方を反映している。



同年、2007年の東京モーターショーでは「流」、「流雅」、「葉風」に次ぐNAGAREシリーズ第4弾となる「大気」(たいき)をコンセプトカーとして公開。



マツダのデザインって凄すぎないか!? 過去のコンセプトカーを振り返ってみたらドレもコレも衝撃のカッコよさだった
マツダのコンセプトカー「大気(たいき)」



止まっていても動いているかのように見せるデザイン表現がポイントで、CD値0.25の空力ボディ、マツダのコンセプトカーとしてはおなじみになったガルウイングドア、新世代ロータリーエンジン(800cc×2ローター)の搭載が注目点。



2008年には、パリモーターショーで「清」が発表されている。マツダの日米欧のデザイナーによる合作作品で、若者向け2ドアコンパクトクーペのコンセプトカーという位置づけ。パワーユニットは1.3リッター、全長3770×全幅1685×全高1350mm。ミッションはMTベースの6速ATとされる。



マツダのデザインって凄すぎないか!? 過去のコンセプトカーを振り返ってみたらドレもコレも衝撃のカッコよさだった
マツダのコンセプトカー「清(きよら)」



最大の特徴は2枚のガルウイングドアで、この時代からマツダのデザイナーがガルウイングドアを好んでいたことがわかる1台だ。ちなみに国産コンパクトカーにガルウイングドアを採用したトヨタ・セラは1990年にすでに市販化されている。



2010年のロサンゼルスオートショーでマツダがお披露目したのが「靭」(しなり)であった。大型で優雅な4ドアクーペで、「清」に続いてマツダの日米欧のデザイナーによる合作で、マツダのコンセプトカーとして初めて「魂動デザイン」が採用されている。



マツダのデザインって凄すぎないか!? 過去のコンセプトカーを振り返ってみたらドレもコレも衝撃のカッコよさだった
マツダのコンセプトカー「靭(しなり)」



この「靭」のコンセプトはマツダ6に受け継がれている、とも言えそうだ。



話は2015年に飛び、同年の東京モーターショーで世界初公開されたマツダのコンセプトカーが「RX-VISION」。マツダが考える美しいFRスポーツカーがコンセプトで、翌2016年にはフランスで開催された国際自動車フェスティバルにて、もっとも美しいコンセプトカー「MOST BEAUTIFUL CONCEPTCAR OF THE YEAR」に輝いている。



マツダのデザインって凄すぎないか!? 過去のコンセプトカーを振り返ってみたらドレもコレも衝撃のカッコよさだった
マツダのコンセプトカー「RX-VISON」



2017年にマツダの次世代デザインとして発表されたコンセプトカー、4ドアクーペの「VISION COUPE」は当時のマツダの次世代デザインを象徴する作品。2018年、世界でもっとも美しいクルマを選ぶスイス・ジュネーブでのCar Design News主催「第11回 Car Design Night」にて、コンセプトカー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。



マツダのデザインって凄すぎないか!? 過去のコンセプトカーを振り返ってみたらドレもコレも衝撃のカッコよさだった
マツダのコンセプトカー「VISON COUPE」



伸びやかな4ドアクーペで、性能の高さを感じさせるシルエット、日本の美意識を感じさせる引き算の美学、エレガンスを追求。魂動デザインの極みであった。



と、マツダのコンセプトカーを振り返れば、限りがないのだが、それはマツダのコンセプトカーの最新作である「ICONIC SP」に引き継がれていることは間違いない。

現在のマツダ3に代表される、凝りに凝ったエクステリアデザイン、ソウルレッドクリスタルメタリックといった美しいボディカラーも、そうしたコンセプトカーからインスパイアされていることはもちろんだ。マツダのデザインにこれからも期待である。

編集部おすすめ