この記事をまとめると
■ジャパンモビリティショーには数多くのコンセプトカーが出展されていた■クルマのデザインを専門とするライターが会期中に注目したボディカラーを紹介
■時代の流行りを取り入れた色やブランドのアイコンとなりつつカラーを多く取り入れていた
デザインだけでなく”色”にも注目してみた
11月5日、好評のうちに幕を閉じた「ジャパンモビリティショー2023」。各メーカーから多くのコンセプトカーが出品され、先進的なデザインが話題となりました。ここではちょっと視点をズラして、そんなコンセプトカーのなかから魅力的なボディカラー5台を振り返ってみたいと思います。
●日本らしい和のモダンを表す色を模索する
まず最初は、「これって次期エルグランド?」と話題の日産「ハイパーツアラー」を取り上げます。今回の日産の出展車はどれも過激なほどのシャープさを持っていましたが、デザイン的には同社が掲げる「タイムレス ジャパニーズ フューチャリズム」に沿ったもの。
その普遍的な日本=和の表現として提示されたのが、ハイパーツアラーのカッパーゴールドです。ご存知の通り、カッパーはすでにBEVのアリアやサクラの内外装で使われていますが、これをサテン調に進化させ、さらにマット仕上げにすることで新しさと落ち着きを両立させました。
デジタル展示の「アドベンチャー」や「アーバン」では、ブルーやグリーン系での日本的表現を打ち出しましたが、大きなボディのミニバンとしては、このカッパーゴールドが先進的かつ現実的と言えそうです。
●自分なりのアレンジのベースとなる色を
2台目に取り上げるのは、トヨタ車体から出品された「X-VAN GEAR CONCEPT」。いわゆるZ世代のファミリーをターゲットとし、ミニバンの大空間とSUVのアクティブさを両立させた新提案モビリティです。

そのアクティブさを表現したのがブルーグレーの渋いボディ。機能的であることと、シンプルな道具としての存在をじつに上手く提示しています。もちろん、多用されたブラックの樹脂素材との組み合わせも巧みで、文字通り道具感満載。

デザイン担当者の話では、Z世代はよりシンプルなモノを指向し、そこへ自分なりのアレンジを施す傾向があるそう。このブルーグレーは、その意味でもさまざまな使い方の「ベース」としてピッタリな色だと思えます。
コンセプトカーとの調和が美しい
●自社の歴史を彩ったボディ色を進化させる
3台目は、マツダブースで話題騒然となった「MAZDA ICONIC SP」。「クルマが好き」「純粋にクルを楽しみたい」というユーザーに向けた、新ジャンルのコンパクトスポーツコンセプトです。

ロータリーEVシステムとともに話題となったのが、「VIOLA RED(ヴィオラ・レッド)」のボディカラー。
魂動など、ストイックにデザインを追求するマツダですが、それがボディカラーにも及んでいる点が「らしい」ところです。
●スローな散歩気分を盛り上げる空色
4台目は、ダイハツブースから「OSANPO(オサンポ)」を取り上げます。となりに展示された「VISION COPEN」が走りを標榜しているのに対し、お散歩気分で身近な自然をスローに楽しむことを掲げた2シーターオープンです。

シンプルな素材色のバンパーに組み合わされたのが、爽やかな「エアブルー」のボディ。空をイメージしたこの色は、一見ホワイトに見えるほどの淡いブルーですが、過度な主張を抑えた点がキモ。さらに、ドライバーの視線の先にやさしい色を置きたいとした、ボンネットのベージュもまた魅力的です。
このあたり「Light you up アクション」として、地域密着プロジェクトなどを推進する同社らしいアプローチではないでしょうか。
●迷走デザインを打破する超クリアボディ
最後は輸入車ブースから、BMWの「Vision Neue Klasse(ヴィジョン・ノイエ・クラッセ)」。同社の次世代EVのコンセプトとして9月に世界初公開されましたが、同時に新しいデザイン言語を示した点でも注目の1台です。

一般的にデザインを主張するコンセプトカーは、先進性や陰影の表現などを踏まえてシルバーのボディにすることが多いのですが、同車は広い室内空間とシンプルでクリアな面をより強く打ち出すため、ホワイトをベースにした点がユニーク。
さらに、インテリアと合わせて黄色をわずかに加えることで独特の質感を与えたのも秀逸です。

新しいデザイン言語は、巨大グリルなど迷走気味のBMWデザインとしてはじつに明るいニュースと言えそうです。
さて、今回のコンセプトカー5台のボディカラーはいかがでしたか? 日本市場では相変わらず白や黒などの無彩色が人気ですが、せっかくのカーライフを豊かな色で飾りたいものですね。