この記事をまとめると
■風の強さを可視化するためのシンプルなツールが「吹き流し」だ



■高速道路に設置されている吹き流しは水平に近い状態でたなびいているときの風速の目安は10m/秒以上



■吹き流しが水平にたなびいているときは強風でクルマの挙動が変わるという前提で心の準備をしておきたい



高速道路の横風を測る重要な安全装備

高速道路を走っていると、吹き流しがはためていることに気付くだろう。構造としてはシンプルな模様の鯉のぼりのように見えるが、はたして吹き流しが設置されている目的とはなんだろうか?



結論をいえば、横風の強さを可視化して、安全運転に活用するためのツールといえる。その構造は単純で、風がなければダランと垂れ下がり、風が強くなると真横(水平方向)にたなびくようになる。



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吹き流しの構造によっても異なるが、高速道路に設置されているタイプでいえば、ほぼ水平にたなびいているときの風速の目安は10m/秒以上。これは大抵のクルマにおいて、まっすぐ走らせることが難しいと感じる風速といえる。



一般論でいえば、トレッドが狭くて、全高の高いクルマは横風の影響を受けやすい。わかりやすい例でいえば、軽スーパーハイトワゴンのようなプロポーションは横風に弱いといえる。こうしたクルマに乗っているときは、吹き流しが斜め下にたなびいているくらいの風速であっても、強い横風と感じることもあるだろう。



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ちなみに、高速道路に設置されている吹き流しであれば、斜めにたなびいている状態では3~5m/秒くらいの風が吹いている目安として判断できる。



また、吹き流しで判断できるのは風の強さだけではない。風向きも気にすべきポイントだ。どちらから風が吹いているかで、クルマが風にあおられたときの挙動も変わってくるからだ。



吹き流しが水平にたなびいている時は細心の注意を持って運転を

では、吹き流しが激しく水平にたなびいている状況だとして、ドライバーはどのような対応をすべきなのだろうか。



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風に煽られている吹き流しのイメージ写真



机上の空論的にいえば、「風にあおられた瞬間にカウンターステアを当てて、車両姿勢を安定させる」というのが模範解答になるかもしれないが、風の強さと、それによって生じるヨーモーメント(クルマを回転させる力)が正確にわからないなかで、事前に姿勢を作ったり、適切なカウンターステアを当てたりするというアプローチは難しい。



基本的には、強風で挙動が変わるという前提で心の準備をしておき、修正舵を当てるというよりも、ハンドルをとられないように意識しておくことを優先したい。



急なハンドル操作をすると最悪のケースでは横転につながってしまうこともある。とにかくクルマの挙動がマイルドになるよう意識すべきだ。



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急ハンドルのイメージ写真



最終的に修正舵を当てるにしても、その難易度を下げるために速度を抑えておくといいだろう。この場合でも横風にあおられてから慌ててブレーキを踏むと挙動を乱しやすいので、吹き流しの状態から判断して、あらかじめアクセルを抜いておくといったアプローチのほうが賢明だ。



横風が強いときにも、急ハンドル・急ブレーキといった運転はNGということは覚えておきたい。



安全運転で大事なのは予測すること、というのはよく言われるが、高速道路の吹き流しは、まさに予測をサポートしてくれるツールである。



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高速道路上の吹き流しのイメージ写真



そもそも、設置されている箇所というのは横風による影響が大きい場所という意味でもある。吹き流しを有効活用することも、安全運転につながるというわけだ。

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