この記事をまとめると
■12月13日に今年で25回目となる「オートカラーアウォード2023」が発表された



■二輪・四輪合わせて9社、12のカラーデザインがノミネートされている



■グランプリにはホンダN-BOXのファッションスタイルが輝いた



今年1年で登場したクルマやバイクのデザインを評価!

12月13日、東京国際交流館プラザ平成(江東区)にて「オートカラーアウォード2023」のグランプリ発表と表彰式が開催されました。ここでは日本のカラーデザインの向上を支える本イベントの概要と、本年度グランプリ受賞者の声をお届けしたいと思います。



●日本のカラーデザイン全体の向上を掲げる

「オートカラーアウォード」は、自動車やオートバイなどモビリティのカラーデザインの企画や美しさを評価する顕彰制度。日本のカラーデザイン全体の向上を目的に、一般社団法人日本流行色協会(JAFCA)が主催、1998年から実施され、今回で25回目を迎えました。



ここで言うカラーデザインとは、エクステリアのボディカラーだけでなく、インテリアのパネルやシートなどのカラー、さらにテキスタイルなども含まれます。いわゆるCMF(カラー、マテリアル、フィニッシュ)デザインと呼ばれる領域です。



販売台数だけじゃなくてボディカラーでも無双ってN-BOXは無...の画像はこちら >>



本年度は二輪・四輪合わせて9社、12のカラーデザインがノミネート。審査は前日に行われた各社の担当者によるプレゼンテーションを受け、「市場に影響を与えたか」「従来にない色域に挑戦して成果をあげているか」など6項目を基準に行われました。



●グランプリはホンダのN-BOXが受賞!

審査委員3名のほか、各メーカーのCMFデザイナーで構成されるJAFCA自動車色彩分科会代表者による審査の結果、今回のグランプリはホンダのN-BOXが受賞しました。標準車に設定されたファッションスタイルから、エクステリアの「オータムイエロー・パール」、インテリアの「グレージュ×グレー」の組み合わせです。



販売台数だけじゃなくてボディカラーでも無双ってN-BOXは無敵かよ! 「オートカラーアウォード2023」でCMF担当者を直撃した
ホンダN-BOX オータムイエロー・パール



審査委員の講評では「少し間違うと濁ってしまう難しいイエローに挑み、気持ちが暖まるような色となった」「本来差し色に使われる黄色をホワイト系のカラーを混ぜることでチャーミングに仕立てた」「汚れが目立たず、使い勝手のよい内装色を実現した」「徹底したリサーチ力による明快なペルソナ設定が突出していた」といった声が聞かれました。



インテリアやボディカラーは新たな視点で企画

では、同車を担当したe-モビリティデザイン開発室の松村美月さんに会場でお話を伺ったので、ここでその声をご紹介したいと思います。



●CMFにはユーザーの気持ちを後押しする力がある

──では最初に。受賞車は「ファッションスタイル」というグレードですが、そもそもなぜN-BOXにこのカジュアルなバージョンを設けたのでしょう?



「以前から設定されている「コーディネイトスタイル」は華やかに飾るイメージですが、少し視点を変えて、より生活に密着し、目立ち過ぎずに自分の所有感を満たしてくれる世界観を作りたかった。内外装含めてリズムよく日常を過ごすイメージですね」。



──黄色を提案するにあたって、どのような色域にしようと考えましたか?



「じつは、当初はパッションを感じる方向で考えていたのですが、それだとN-ONE・RSのスポーティさやN-VANの道具感のようになってしまい、今回のペルソナとズレてしまう。そこで、自分が住んでいる街や持ち物とマッチするようなイメージで仕切り直しました。この「オータムイエロー・パール」は、ソリッドに比べて陰影をしっかり出しつつ、優しいハイライトが特徴なんです」



販売台数だけじゃなくてボディカラーでも無双ってN-BOXは無敵かよ! 「オートカラーアウォード2023」でCMF担当者を直撃した
e-モビリティデザイン開発室の松村美月さん(右)



──インテリアは濃淡2色のグレーですが、一般的な淡いグレーだけではダメでしたか?



「はい。濃いグレーを水平貴重に配することで室内が広く見えることと、もちろん汚れが目立ちにくいという面もあります。

また、グレーのみでは寒々しくなりがちですが、シートの素材が柔らかで温かい触感を持っていますし、パネル類に施した新しいシボは樹脂でありながら柔らかさを感じさせるんです」。



販売台数だけじゃなくてボディカラーでも無双ってN-BOXは無敵かよ! 「オートカラーアウォード2023」でCMF担当者を直撃した
ホンダN-BOXのインパネ



──では最後に。CMFデザインはエクステリアデザインに比べると若干脇役的なイメージがありますが、松村さんはCMFの可能性についてどう感じていますか?



「そうですね。ユーザー様が行動したい、前を向きたいと心の奥に秘めている気持ちを後押しし、活性化する力がCMFにはあると思っています。毎日何気なく眺めてホッとしたり、ストレスのない使い勝手に心地よくなったりするような力ですね。もちろん、エクステリアデザインと合わさることでよりパワーアップします!」。



──なるほど、本日はグランプリ受賞おめでとうございました。



●もっと注目されるべきCMFデザイン

先のとおり、カーデザインにおいてCMFが前面に出る機会はそう多くなく、やはりエクステリアデザインが話題の中心になりがちです。しかし、ボディカラーや塗料の開発に始まり、テキスタイルや樹脂類の素材研究など、CMFはじつに幅広い領域に渡る総合デザインです。



その意味で、この「オートカラーアウォード」の存在は極めて意義深いと言えます。あとは、たとえばイヤー・カー制度にCMFデザイン部門などができるとさらにいいかもしれませんね。



【オートカラーアウォード2023ノミネート車(概要)】



【二輪】
ヤマハ発動機 YZF-R7 ※特別賞受賞車両
カワサキモータース Ninja 7 Hybrid他
本田技術研究所 Dax125



販売台数だけじゃなくてボディカラーでも無双ってN-BOXは無敵かよ! 「オートカラーアウォード2023」でCMF担当者を直撃した
ヤマハ発動機 YZF-R7 ※特別賞受賞車両



【四輪】
ヤンマーホールディングス YT5114R
三菱自動車 DERICA MINI
トヨタ自動車 ランドクルーザー250
本田技術研究所 N-BOX
日産自動車 SERENA
SUBARU CROSSTREK
マツダ MAZDA 2 MAZDA CX-3



編集部おすすめ