この記事をまとめると
■交通量が多いところで目にする広告宣伝車■トラックを利用したものは宣伝トラック、アドトラックなどと呼ばれる
■今後、広告宣伝車の規制が厳しくなる可能性がある
視線を集めて広告を見てもらうことが目的
都心の繁華街、人もクルマも交通量が多いところに現れるのが広告宣伝車だ。トラックを利用したものは、宣伝トラック、アドトラックなどと呼ばれる。本来は荷物を運ぶためのスペースを看板として利用することで、クルマの乗員や通行人の視線を集めて広告を見てもらうことを目的としている。
なかには荷台スペースに看板を設置しただけの、荷物を運ぶ機能を省略してしまったアドトラックも見かけることがある。他にも路線バスを改装したラッピングバス風の広告宣伝車なども見かける。こうなると、看板以外も異様なルックスになるため、さらに注目を浴びることで宣伝効果を発揮するのだ。
じつは東京都では、このアドトラックの通行に関する規制を2011年に設けている。これは広告の内容や方法について審査して通行許可を与えるものだ。公序良俗に反していないか、刺激が強い表示方法ではないかなどチェックを受けるのである。
しかし、現在も水商売や風俗嬢の募集などのド派手なアドトラックは都心を走りまわっている。東京都が規制できるのは都内で登録された車両だけなのだ。したがって、通常では表示が規制されている風俗関係の募集など、際どい案件も県外ナンバーであればならまだ通行可能なため、過激な広告の県外ナンバーのアドトラックが現在でも走りまわっている、というわけだ。
そこで2023年4月には、東京都と神奈川、埼玉、千葉の知事、さらに政令指定都市の市長が集まった会議で、小池都知事は広告宣伝車の規制を1都3県、5つの政令指定都市に広げる考えを示した。
ちなみにビル屋上の看板などは、状況に応じて地方税が課せられている。
クルマに出す広告はこの先広まっていく可能性も
こうした規制の盲点を突いたやり方は、そう長くは続けられないことが多い。短期間に荒稼ぎしてしまおうというのが通常のパターンだが、アドトラックについては比較的長期に活躍している印象だ。

2025年度には、何らかの条例で9都県市を走ることが規制されるのかもしれないが、さらに遠くからトラックで走ってくればいいのであれば、抜け道はありそうだ。
最近は荷物を運ぶ普通のトラックのボディに広告を貼り付けた、いわばハイブリッド型のアドトラックを見かけることもある。乗用車にも大きなステッカーを貼って走りまわることで収益を得るサービスもあるが、より大きく目立つトラックでもそんなサービスが登場している。こちらは健全な広告に限られる(現在のところ屋外広告の規制に対応している)のだろうが、今後はどういう風に進化していくか、見守っていきたいところだ。
バイクや自転車、歩行者でも広告を背負ったもの、タクシーだけでなく一般のクルマにも広告を表示するサービスがあるだけに、街を走る車両が広告で埋め尽くされる時代がやってくるのかもしれない。