この記事をまとめると
■2023年1月にBYDの高級車ブランドYangWangから「U9」が発表された■4モーター搭載の1287馬力で0-100km/h加速2秒という実力を達成している
■日本市場への導入は不明ながら、もし導入されれば大きな話題となることは間違いない
BYDが立ち上げた高級ブランド「YangWang」の目玉モデル
昨2023年1月に、中国の大手自動車メーカーBYDが新たに立ち上げた高級車ブランドYangWang(ヤンワン)。そのファーストモデルとして発表されたのはPHEVオフロードSUVの「U8」と、BEVスーパーカーの「U9」だった。
いずれも世界的にトレンドカテゴリーとなっているモデルだけに、そのメカニズムやパフォーマンスは気になるところだが、とりわけ「Gate of Time and Space」(時間と空間のゲート)をコンセプトとするデザインを採用したU9に、世界のカーマニアから集まる視線は熱い。
アルティメット、すなわち究極を意味するUの頭文字をそのネーミングに掲げるU9は、独自の研究開発によって設計されたカーボンファイバーモノコックを基本構造体とするスーパースポーツだ。
リン酸鉄リチウムの熱安定性とブレード構造の設計により、搭載されるブレードバッテリーはもっとも厳しい安全基準を満たすことを実現。同時に長寿命を達成することに成功したという。バッテリーの搭載量は100kWhと発表されており、搭載位置はモノコックタブのフロア下だ。
同社のYi SIfangプラットフォームをベースに、さらに最高のテクノロジーを凝縮したハイエンドのブレードバッテリーは、重心高の低下にも大きく貢献し、それは当然のことながらスーパースポーツとしての走りの魅力を大きく高めることになる。

エレクトリックモーターは4輪の各々に組み合わされる、いわゆる4モーター形式。こちらもその詳細はまだ明らかにはなっていないが、YangWangによれば、U9の加速性能は0-100km/hで2秒を達成するという。
同じ4モーター形式のスーパースポーツとしては、スロバキアのリマック・ネヴェーラがシステム出力で2000馬力を達成し、それによってこのU9と同レベルの加速性能を実現しているが、U9の最高出力は1287馬力と上海モーターショーではアナウンスされていた。

ただし、その価格は日本円に換算して2000万円を若干上まわる程度。コストパフォーマンスの高さはかなりのものだ。参考までに同時に発表されたアルティメットSUVのU8は、最高出力が1100馬力以上で、0-100km/h加速は3.6秒。
スーパーカーも作ってしまう中国車の進化に驚き
改めてU9のエクステリアデザインを見る。そのフォルムはやはりエアロダイアミクスを強く意識したもので、フロントマスクやリヤエンドの処理には、U9の個性が強く反映されている。左右のドアはディヘドラルドア。これもまたスーパースポーツにとっては欠かせない演出のひとつといえる。

ボディサイドのデザインは、エッジの効いたじつにシャープな造形だ。一方のインテリアは、左右対称を意識したデザインで、助手席側にも大型のLEDモニターがレイアウトされている。

インテリジェント・ドライバー・アシスタンス・システムも最新のハードウェアアーキテクチャーを搭載し、強大なチップコンピューティングパワーを提供。その運転支援システムはYi Sifangテクノロジープラットフォームや、これも独自のサスペンションシステム「Disus」などにリンクし、常に走行中の安全を確保してくれる仕組みだ。
ちなみにこのDisusには複数の仕様が用意されており、そのなかには最大で200mm車高を上下させ、しかも各輪で独立しての制御も可能だというDisus Xも含まれている。
U9がどの仕様のDisusを採用するのかは不明だが、スタンダードではダンパーのソノレイドバルブを制御して減衰力を調整するDisus C、さらにほかのオプションとしてエアサス仕様のDisus A、そして世界初のインテリジェントボディコントロールシステムとされる油圧調整式ダンパーを備えるDisus Pなどの選択が可能になるようだ。

日本市場への本格的な進出を果たし、2024年にはさらなる飛躍が期待されるBYD。
我々がわずかに目を離している間に、中国車は驚くほどに大きな進化を果たしてしまったようだ。