この記事をまとめると
■シーケンシャルウインカーが新車採用でも増えている



■カスタムする際の手法は大きく分けて3種類存在する



■玉切れや点灯不良などがあると車検をパスできない場合もある



シーケンシャルウインカーに改造したい場合に気をつけること

通常のウインカーは、バルブ(電球)を電子リレーでオンオフして点滅させているので、オレンジの発光部分は一斉に点灯して一斉に消えます。しかし、2014年に行われた「道路運送車両法」の「保安基準」の改正によって、動きのあるウインカーの使用が認められたことで、流れるウインカー=シーケンシャルウインカーを採用する市販車が、ヨーロッパ車を皮切りに採用数を増やしています。



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日本で最初にシーケンシャルウインカーを発売したのはアウディです。

それまではカスタム車両やトラックなどのごく一部の車両でDIYらしき例を見かけるのみでしたが、アウディの採用を皮切りに、「あの流れる動きがカッコイイ!」や「アウディが採用しているなら正式に認可されているということなので自分のクルマにも導入したい」と考える人が増加して、いまでは社外のシーケンシャルウインカー・キットも多く販売されています。



ここでは、シーケンシャルウインカーや、マツダの「ディミングターンシグナル」などの動きのあるウインカーを導入するときの注意点を紹介していきましょう。



■ウインカーに関する保安基準は?

ウインカーは法規上は「方向指示器」といい、交通の流れを円滑に進めるため、そして交通事故を防ぐ安全のための重要な装置として位置付けられています。そのため、公道で車両を運行するためのルールを定めた「保安基準」にもしっかり規定が定められています。



最近また増えつつある「流れるウインカー」! 自作改造もできるけど手段と違法にならないための注意点とは
ウインカーのイメージ



保安基準の項目をザッと挙げると以下のようになります。



・色はオレンジ系統以外はNGです。



・明るさは、「昼間に100m離れた距離から視認できて、他の交通の妨げにならない」となっています。具体的には(白熱灯で)15W以上60W以下となっています。



・ウインカー発光部ひとつあたりの面積は20cm2以上です。



・装着位置は表示面の上辺が地面から35cm以上210cm以下の範囲にあること。そして左右の表示部の間が60cm以上空いていなければなりません。



・点滅のスピードは一分間に60~120回の間に収まっていること。



シーケンシャルウインカーに関しても、まずはこの基準を満たしていないとなりません。

そして、2014年の規制緩和で動きのあるウインカーがOKになりましたが、こちらも手放しでOKというわけではなく、新たにシーケンシャル(連鎖式点灯)ウインカーの動きに関する規定が設けられました。



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シーケンシャルウインカーのイメージ



・動きは内から外のみ。形状に関わらず基本的に車体の内から外への動き、または円形の場合は円の中心から放射状に外への動きでなくてはなりません。



・点灯のパターンは、一度点灯した最内部分は最外が点くまでは消灯してはならない。また、消灯する際はすべて一気に消灯すること。



・流れる動きは一定の速度であること。



・点滅のサイクルは毎分60~120回であること。シーケンシャルの場合は内側の球と外側の球で点灯時間が異なりますが、1球目が点いてから次に点くまでのサイクルが適用されます。これは ディミングターンシグナルでも同様です。



・すべてのウインカーユニットが同期していること。そして左右の動きが車両の中心から見て対象であること。とありますので、リヤだけシーケンシャルにという場合は点滅周期を合わせないとなりません。



・ハザードランプの点灯パターンもウインカー作動時と同じであること。



大まかですが、以上のような決まりがあるので、公道上で作動させる際にはこれらの各項目にも適合させなければなりません。



カスタムした際は車検に要注意

■社外のシーケンシャルウインカー・キットを導入する際の注意点

全点灯の通常のウインカーをシーケンシャルウインカーに変更するにはいくつかの方法があります。



・ヘッドライト/テールライトのコンビネーションランプのユニットごと社外品に交換する。



・純正のウインカーバルブを、社外のシーケンシャルウインカーキットに置き換える。



・シーケンシャル作動のLEDテープを追加する。



まずもっとも見栄えよくカンタンに実現できるのが、ユニットごと交換してしまう方法です。とくにテールランプは独自の発光パターンのデザインになっていたりする製品も多いので、イメージチェンジやほかと被りたくないという人にはうってつけの方法です。



ユニットごと交換するため、内張りを外したりという作業が必要にはなりますが、ネジを付け外しして電源のカプラーを刺し替えるだけと作業の手間は少なくできます。DIYで加工する余地がないので、作業が苦手という人でもハードルはそれほど高くないといえるでしょう。



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シーケンシャルウインカー採用のヘッドライト



デメリットは価格が高いという点です。シーケンシャルの回路を始め、LEDのバルブやカプラーなどが丸ごとユニットに装着されている状態のため、値が張るのは仕方ないでしょう。



続いて、DIYが得意という人、あるいは外観はできるだけ純正から変えずにウインカーだけシーケンシャル動作に変更したいという人に向いているのが、LED(あるいは白熱球)のバルブを社外のシーケンシャルウインカー・キットに置き換える方法です。



これはヘッドライトやテールライトのユニットを加工する必要が出てくるので、中上級車向けの方法になります。カンタンにいってしまうと、まず純正のバルブを撤去して、シーケンシャル作動対応のLEDバルブキットを用意、または製作して装着します。そこにシーケンシャルの回路を備えたリレーを配線し、純正のカプラーに接続します。



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シーケンシャルウインカー用のバルブ



作業の内容はそれほど難しいものではありませんが、配線を繋げる工程や、LEDのバルブをユニットに固定する工程に専門的な知識が必要になります。



手間はかかりますが、価格はユニット交換の方法に比べるとだいぶ安く抑えられるでしょう。



最後はお試し、あるいはちょっとした手間でカンタンに実現したいという人に向いた方法です。このLEDテープを装着する方法は、手軽にでき、車両の加工を最小で済ませられますが、その分、仕上がりはそれなりのものになります。



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LEDテープのイメージ



その方法は、シーケンシャル作動するLEDテープを購入して、それを車体のライトユニットまわりの空いたスペースに装着し、純正の配線に割り込ませるだけです。ヘッドライトやテールライトの上下の縁に装着するケースが多いようです。



もっとも安上がりで手間も最少で済みますが、貼る場所や固定の方法、防水処理をしなくてはならない場合があるなど、これはこれでDIYの経験と電気の知識が要るケースがあるかもしれません。



■車検に通るかの確認は自己責任で

シーケンシャルウインカー化でもっとも気になるのは「車検に通るのかどうか」についてでしょう。



基本的には上記の保安基準に適応していれば大丈夫なのですが、同期や明るさ、色、装着位置など、社外品を使うにあたっては、確実に適合しているかはしっかりと確認する必要があります。



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シーケンシャルウインカーのイメージ



ユニットを購入する際には、まずそれが車検対応品なのかを確認しましょう。そして、LEDの球がひとつでも欠けていると車検で弾かれますので、購入してすぐに点灯確認は行ったほうがいいでしょう。



LSDバルブのDIYやLEDテープを使う場合は、その明るさと色味なども確認しておきましょう。「黄色っぽく見えるかな?」と感じたら車検の検査官に指摘される可能性は高いでしょう。配線が外部に露出しているケースもNGの可能性が高いです。



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検査のイメージ



また、トータルでワット数が増える場合は、純正のウインカーリレーの仕様によっては点滅速度が速まってしまうこともあるので注意が必要です。



車検の現場で不合格となって再検査をする羽目にならないように、事前に確認できることはやっておきましょう。

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