この記事をまとめると
■新車購入検討時に渡される見積もりは「新車購入プラン」と称される■この「新車購入プラン」には「メンテナンスパック」が含まれているケースが多い
■最近は整備士不足の問題で、「半年おきの任意点検」が受けられない事態が増えている
見積りに含まれるリフレッシュプランの裏事情とは
新車購入を検討する際に参考となるのが、一般的に見積書と呼ばれるもの。しかし、一般客に渡されるものは、よく見ると新車購入プランなどというものとなっていることがほとんど。正式な見積書の書式は別にあり、一般的に渡されるものはあくまでも、税金などの諸費用もコミコミにした支払総額を示したプランの一例となっているが、一般的にはこれが見積書と呼ばれているので、ここでも見積書と呼ぶことにする。
その見積書だが、セールスマンが端末上で作成してプリントアウトしたものを見ると、たいていメンテナンスパックなどと呼ばれるものが計上されている。
このメンテナンスパックは、一定期間内の法定点検とパックならではともいえる半年おきの任意点検にかかる作業工賃やエンジンオイルなど、定められた消耗品の交換料金を前払いすることで格安になるというもの。これは、街の格安車検場など、外部へ流れずに自社の整備工場でメンテナンスを続けてもらうための囲い込みが主たる目的で用意されている。

残価設定ローンを利用しての新車購入が多くなり、3年や5年後にディーラーが当該車を引き取るということも多くなってきている。引き取って再販することになるので、可能な限りコンディションよく乗り続けてもらうために、ディーラー側で管理をしていきたいという狙いもあるようだ。
人手不足でメンテナンスパックが使えない!?
見積書に勝手に計上されるほどディーラーとしては積極的に売り込んでいるのだが、最近は法定点検を別として、半年おきの任意での点検については、「点検ができない」といったことをいわれることが目立っているそう。
新車ディーラーもご多聞に漏れず十分なスタッフを確保できていないなか、店舗運営が行われている。そして、そのような働き手不足はセールスマンよりも、点検・整備作業を行うメカニックのほうが重たくなっているのだ。

日々ギチギチに点検や整備などの作業スケジュールが入り、まさに休憩できるのは昼休みぐらいしかない状況となっている。働き手不足だけではなく、残業も厳しく管理されていることも、状況をより悪化させているようだ(就労時間内に作業予定が詰め込まれる)。そのため、メカニックの離職はセールスマンよりも目立っているとも聞いている。
スケジュールがギッシリながらも、現場では日々なんとか作業をこなしているのだが、リコールがメーカーから国土交通省に届けられ、その改修作業をディーラーの整備工場で行うようになると、作業が捌ききれない量に達してしまい、結果的に「任意のメンテナンスパックの点検はできない」といった話がディーラーからくるそうだ。

「そもそもメンテナンスパックに積極的に加入するのは、普段あまり乗らず走行距離が伸び悩む傾向にある人のほうが目立つともいわれています。ディーラーの手前勝手な話にもなりますが、メンテナンスパックに加入している車両はそれほど任意の点検・整備は必要としていないともいえます(事情通)」。
とはいっても、ちょっとでもイレギュラーな作業が入ると、定例の作業を制限しなければならいほど、販売現場の働き手不足も深刻なものとなっているようである。もちろん、お願いであるので、「予定通り点検をお願いします」と返答することは可能となっている。
ちなみに料金を前払いしているので、メンテナンスパック加入期間終了時に未実施分については清算され返金されるとのことである。