この記事をまとめると
■道路の陥没、標識の損傷、信号機の故障などのトラブルは身近に発生している



■道路のトラブルに起因する事故が発生したら、道路の管理者を訴えることが可能だ



■事故を未然に防ぐ意味で、道路上のトラブルを発見したら管理者に連絡する必要がある



道路のトラブルで事故が発生したら誰の責任?

道路が部分的に陥没していたり穴ぼこが空いていたりするのを見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。また、信号機の故障や標識の損壊などを目にすることもあります。



もし、道路のトラブルによって事故が発生した場合、道路の管理者は補償してくれるのでしょうか。

今回は、道路のトラブルと補償について解説します。



道路に穴が! 標識が破損してて! 道路のトラブルで事故が起こ...の画像はこちら >>



道路におけるトラブルは意外にも身近にある!

道路の陥没や穴ぼこ、段差やひび割れなど、頻繁に通る道をよく見ると、損壊したままの状態になっている箇所を見つけることができるでしょう。また、道路標識が壊れていたり、カーブミラーが変な方向を向いていたり、信号機が正しく機能していなかったりすることを見ることもあります。



このように、道路におけるトラブルは数多くあるだけでなく、すぐ近くにあります。



道路に穴が! 標識が破損してて! 道路のトラブルで事故が起こったら原則道路の管理者が補償してくれるハズ……が現実は?
損傷した状態の道路標識



道路環境による事故は道路の管理者が補償してくれる場合がある

道路におけるトラブルは、道路を管理している管理者の維持・修繕などの管理に問題がある可能性があります。道路法第42条には、「道路の維持又は修繕」について定められており、次のように明記されています。



道路法第42条「道路管理者は、道路を常時良好な状態に保つように維持し、修繕し、もつて一般交通に支障を及ぼさないように努めなければならない」



つまり、道路の管理者は、一般交通に影響を及ぼさないよう、維持・修繕・管理し、道路を良好な状態に保ち続けなければならないということです。そのため、道路の維持・修繕・管理不足が原因となる事故の場合には、道路の管理者を訴えることができます。



道路の管理者は誰?

道路の管理者の多くは、国・都道府県・市町村です。そのため、道路のトラブルによって発生した事故で道路の管理者を訴える場合、国を相手に訴えることとなります。



そもそも、国・都道府県・市町村は補償をしてくれるのでしょうか。



国家賠償法第2条には



道路、河川その他の公の営造物の設置または管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国または公共団体は、これを賠償する責に任ずる



と明記されているため、裁判で道路の維持・修繕・管理不足や欠陥が認められれば、補償してくれるということになります。



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公共団体のイメージ



事故が発生する前にまずは管理者に連絡する

実際の判例はどうなってる?

実際に、道路におけるトラブルによって被害を受け、国・都道府県・市町村を相手に裁判を起こした判例があります。さまざまな判例を見ると、「一般交通に危険は生じない」や「道路利用者の注意によって避けることができた」などの理由で管理者側に責任が生じないという判例が多いようです。



道路に穴が! 標識が破損してて! 道路のトラブルで事故が起こったら原則道路の管理者が補償してくれるハズ……が現実は?
裁判所のイメージ



そのため、法律上では道路管理者を訴えて責任を負わせることができるようになっているものの、実際に道路管理者に責任を負わせるのは非常に難しいといえるでしょう。



道路のトラブルを見つけたら管理者に連絡しよう

ここまで解説したように、道路の維持・修繕・管理不足によるトラブルが起きても、「一般交通に影響はない」や「運転者の注意不足」という判決になる場合が多く、道路トラブルに起因する事故を起こしても単独事故(自損事故)として片付けられてしまう可能性が非常に高いといえるでしょう。



実際の判例からも道路の管理者が補償してくれる可能性は低いため、道路におけるトラブルを見つけたら道路の管理者に連絡し、修繕してもらうよう依頼し、事故を未然に防ぐことが有効な方法といわざるを得ません。



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連絡している人のイメージ



また、運転するときは道路の危険にいち早く気づくために、車間距離を長めにとって運転するのも事故を防ぐのに効果的といえるでしょう。