この記事をまとめると
■交通に関連した用語のなかには由来がわからない言葉がいくつか存在する



■道路の見た目や提言した関係者の名前から名付けられた俗語があった



■フランス語やドイツ語が語源になった技術用語がいくつかある



交通にまつわる「専門用語」が面白い

交通に関連するさまざまな「用語」を、我々ドライバーは教習所においてしっかりと学んだ。それらのうちの一部は忘れてしまったりもするが、まぁドライバー生活を通して再び思い出したり、新たに知るなどして、主要な交通関連用語はおおむね理解しているという人がほとんどだろう。



だが、世のなかには一部のコミュニティ内でのみ用いられている俗語や、専門的な技術用語あるいはお役所用語を含め、「……何それ? まったく知らないんですけど!」といいたくなる交通関連用語も多数存在している。



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本稿では、そんな知られざる(?)交通関連用語の数々をご紹介する。なお各見出し語の後ろには、俗語を意味する【俗】、専門的な技術用語を意味する【技】、官公庁などが作った言葉であることを意味する【公】を付けることで、それぞれの用語のポジションを分類している。



イカの耳【俗】

主に高速道路のジャンクションで希に見られる、新線の接続を見越してあらかじめ造った分岐予定部の、未使用部分。開通済みの本線部分がイカの胴体 (本線)に見え、未使用の分岐部分がイカの耳(エンペラ)に見えることから、俗にそう呼ばれている。



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高速道路の「イカの耳」



猪瀬ポール【俗】

新東名および新名神高速道路において、片側3車線設計のトンネルをわざわざ2車線に狭めるために設置されていたラバーポール(車線分離標)の俗称。道路関係四公団民営化推進委員会委員だった猪瀬直樹氏の提言から生まれたとされるため「猪瀬ポール」と呼ばれたが、猪瀬氏本人は「俺はそんなもの知らない。俺が付けさせたわけでもない」といっている。



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東名高速の道路拡張工事のイメージ



おだんご(ダンゴ)【俗】

「国道番号」や「都道府県道番号」などの交通標識が、支柱に複数「串刺し」になっている様子のこと。



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国道の道路標識が3つ連なっている様子



おにぎり【俗】

「国道標識」の俗称。その形状が「おにぎり」に似ていることに由来する。



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国道の道路標識



見かけたら使いたくなるユニークな名前たち

クルドサック【技】

字面だけを見ると「メリケンサックを拳にはめたクルド人」などの物騒な事態をイメージするが、そうではなく、クルマの方向転換ができるよう、行き止まりの奥がロータリーなどになっている袋小路のこと。「袋小路」を意味するフランス語『cul-de-sac』に由来し、主に大規模な分譲地やニュータウンなどで採用されている。



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住宅街のクルドサック方式の道路



下剋上【俗】

複数個の道路標識がある箇所において、本来なら下に設置されるべき標識が、上に設置されている状態のこと。複数の国道標識が縦に配置される場合、「国道番号の数字が小さいほう」が上に配置されるのが原則だが、福井県敦賀市の岡山町1丁目交差点では、R27の標識がR8よりも上に設置されている。



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「下剋上」が起きている道路標識



こっちだヨウ平【公】

毎年8月10日を「道の日」として制定するにあたり、建設省(現在の国土交通省)が1986年に作った道路のイメージキャラクター。なぜか「ニワハンミョウ」という昆虫がモチーフだが、現在では見かける機会もほとんどない。



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国土交通省のキャラクター「こっちだヨウ平」



パッチング【技】

「パッチング」と聞くと、もしかすると関西のほうは「必死になること」あるいは「ズボン下を履くこと」などをイメージする可能性もあるかもしれない。だがそうではなくパッチングとは、道路のポットホール(くぼみやへこみ)あるいは段差、局所的なひび割れなどに、アスファルト混合物を使って応急で填充すること。



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道路上の穴ぼこ



ラーメン橋【技】

字面からは「その向こう側に人気ラーメン店が群雄割拠している橋の俗称」にも思えるが、そうではなく、主桁と橋脚・橋台を剛結構造とした橋梁形式橋のこと。建設業界では門のような形の骨組みを「ラーメン」というそうで、ドイツ語のRahmen(額縁)からきた言葉であるとのこと。鹿島建設の公式サイトによれば、ラーメン橋は山間部谷間の橋梁や高架構造によく用いられており、また「連続ラーメン構造」は耐震性が高いため、地震の多い日本ではよく使用されているらしい。



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ラーメン橋構造のイメージ



ラチス【技】

「拉致」あるいは「ネオナチ」などの物騒な言葉を想起させるため、ラチスと聞くと、つい「我、昨日地元のネオナチ集団に入団せり。入団早々、不逞の輩1名の拉致に成功す」などの構文が頭に浮かんでしまう。だが「ラチス」とはもちろんそんな話ではなく、トラス構造(部品や部材などを三角形の形状につなぎ合わせて、節点をピンなどで接合した構造)において、斜めに設けられた補強材のことだ。



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ラチス構造のイメージ



ランチタイムプロナード【公・俗】

1980年代前半に竹内まりやか泰葉がそんな歌を唄っていたような気もするが、それは気のせいで、「ランチタイムプロムナード」とは、昼食時間帯に街路をいわゆる歩行者天国にして、道路を人々の憩いの場として提供する交通規制のこと。最近では「ランチタイムプロムナード」という規制名称を耳にする機会も少ないが。



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昼間の歩行者天国の様子

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