この記事をまとめると
■スズキの新型SUV・フロンクスの受注が好調■充実装備と抑えた価格によるお買い得感だけでなくデザインも人気の要因だ
■堂々とした存在感と個性あふれるスタイリングがポイントだ
ユニークかつ迫力あるデザインが好評!
10月16日の発売時点で、先行予約が9000台に達したというスズキの新型フロンクス。流行のコンパクトSUVとして「お買い得感」も満載のようですが、好評の理由は堂々としたスタイリングにもあるようです。そこで、ここでは特徴的なエクステリアデザインについて注目ポイントをチェックしてみたいと思います。
●サイズを感じさせない堂々としたスタイリング
フロンクスは、日本では発売されなかった2代目バレーノの後継にあたりますが、「扱いやすいクーペスタイルSUV」という商品コンセプトが示しているとおり、コンパクト+SUV+クーペという売れ筋ド真んなかの要素を加味しての登場となりました。
また、もうひとつの特徴は、サイズ以上に堂々とした佇まいです。全長3995mm×全幅1765mm×全高1550mmのボディは、トヨタのヤリクロスよりひとまわり小さく、全幅を除けばダイハツのロッキーとほぼ同等(高さは70mmも低い!)という意外さ。では、サイズ以上に感じる理由は一体どこにあるのでしょう?
まず、バレーノと比べて随分と大きくなったグリルをもつフロントがあります。フロンクスは、インドの「NEXAチャンネル」で発売されるため、ここで扱われるグランド・ビターラやXL6などと統一感のあるスタイリングが図られており、6角形の大型グリルもその一環。太いメッキパーツも含めた「立派さ」を演出しています。
さらに、上下2段構造のランプもまた迫力を感じさせる要素。三菱車のダイナミック・シールドが好例ですが、これは最近のトレンドでもあります。フロンクスの製品資料には「ユニーク」という言葉が頻出しますが、コンパクトSUVの後発組として、ひとクセある存在感を狙ったモノといえるでしょう。
ユニークさがヒットの秘訣か
●スズキが考える「ユニーク」なデザインとは?
堂々とした佇まいについては、やはり特徴的な前後のフェンダーに触れなくてはいけません。フロントでは、ヘッドライトへ向けてまわり込む大きなカタマリがそれ。アウトランダーなど、先述の三菱車がフロント部で完結しているのに対し、フェンダーと一体化させたのははなかなか大胆です。
そして、リヤでは話題の「ダブルフェンダー」が迫力満点です。
ただ、その煩雑さはどうやら織り込み済みで、スズキは「100m先からフロンクスとわかる」スタイリングを目指したとし、これは開発を主導したインドのマルチデザイン特有のエネルギッシュさを反映した造形だとします。
さらに、同じことは微妙に交差する2本のキャラクターラインにもいえます。一見わかりにくいのですが、ラインをあえて「ズラす」ことにより、見る角度によって表情が変化する面構成になっているのです。ここも、先の「ユニーク」が反映されている部分でしょう。
それでもボディ全体に「過剰さ」を感じないのは、たとえば真っ当にシンプルなドア面の存在があります。多くの要素に挟まれながらも、1本の軸が通ったドア面が全体を落ち着かせているのです。
こうして新型のスタイリングを見てみると、流行のクーペタイプSUVボディをベースに、わかりやすい特徴、それによる堂々とした佇まいなど、ヒットの要素が満載なことに気付きます。個人的にはもう少しシンプルなデザインが好みですが、こうした「戦略」もアリだとは思います。