この記事をまとめると
■トヨタ・カローラには兄弟車「スプリンター」がラインアップされていた



■1972年3月にカローラレビンの兄弟車として「スプリンタートレノ」が追加された



■スプリンターカリブやスプリンターシエロなどの専用モデルも登場した



当初は2ドアのみのスポーティなラインアップ

トヨタが世界に誇る大衆車として、圧倒的な知名度を誇っているカローラ。現在はカローラシリーズとして、基本形のセダンだけでなく、ステーションワゴン、ハッチバック、SUV、そしてホッテストモデルのGRと幅広く展開しているのはご存じのとおり。



そんなカローラの兄弟車として存在していたのが「スプリンター」で、カローラ店で販売されるカローラに対して、トヨタオート店、のちのネッツ店向けに用意されたものだった。



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晩年のスプリンターは完全にカローラの兄弟車となっていたが、1968年に初めてスプリンターの名前が使われたモデルは、「カローラスプリンター」というカローラの派生車種といった扱いで、2ドアモデルのみのラインアップでありフロアシフトが標準となるなど、スポーティなモデルという位置づけとなっていた。



1970年5月にカローラとともにフルモデルチェンジを果たし、車名が単に「スプリンター」となった2代目モデルでもそのキャラクターわけは継続されており、4ドアセダンをラインアップするカローラに対し、スプリンターは2ドアクーペのみでスタート(1971年8月にセダンを追加)。



そして1972年3月にはクーペのホットモデルとして、スプリンタートレノがカローラレビンの兄弟車として登場している。



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スプリンター・トレノのフロントスタイリング



1974年4月に登場した3代目モデルではその差別化がさらに顕著となり、車両型式も30系を名乗るカローラに対してスプリンターは40系と型式上でも異なるモデルとなっていた。



セダンはカローラと多くを共有していたが、2ドアはハードトップタイプだったカローラに対してスプリンターはピラーを備えるクーペとなっており、クーペには1.2リッターモデルが存在しないといった差別化が図られていたのだ。



カローラのスポーティ版という個性は徐々に消えた

しかし、1979年に登場した4代目モデルからは再び同型式をもつ完全な兄弟車となり、デザインや装備、価格に差異をもつ程度の差別化となっていた。



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トヨタ・スプリンター(4代目)の走行写真



ただ、1982年8月には新たにスプリンターカリブというスプリンターの名前を冠したモデルを追加。これはカローラには設定されなかったもので、ステーションワゴンのボディに全車4WDの駆動方式を備えるいまでいうクロスオーバーモデルだった。



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トヨタ・スプリンターカリブのフロントまわり



なお、スプリンターカリブの初代モデルはじつはカローラではなくターセル系のメカニズムを共有していたが、1987年に登場した2代目モデルではカローラ系のものに変更。1995年に登場した3代目は日本仕様のカローラワゴンには存在しないAE110系のワゴンモデルとなっており、欧州で販売されていた丸目ライトをもった仕様が「スプリンターカリブロッソ」として日本で販売されたことも記憶に新しいところだ。



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トヨタ・スプリンターカリブ ロッソのフロントまわり



その後、スプリンターのみに設定されたモデルは1987年に登場した6代目スプリンターをベースとしたシエロが知られるところ。



このシエロは5ドアリフトバックタイプのボディをもつモデルで、先代モデルにラインナップされていた5ドアハッチバックの後継車種といえるもので、カローラには2BOXタイプのFXが存在していたため、傾斜したリヤゲートをもつモデルはスプリンターにのみ設定されていた。



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トヨタ・スプリンターシエロのフロントまわり



結局、そのあとは前述のスプリンターカリブ以外はスプリンター独自のモデルは登場せず、2000年8月に新世代のカローラが登場したタイミングでセダンやトレノの生産を終了。2002年夏には旧型となる100系を継続生産していたバンとビジネスワゴン、そしてカリブも終売となり、34年の長きに渡ったスプリンターの名前が消滅することとなったのだった。

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