この記事をまとめると
■スーパーGTで戦うドライバーにトレーニング内容を直撃■シミュレーターを生かしたトレーニングは効果的だと語る
■動体視力を鍛えるトレーニングを実践するドライバーも多い
GTドライバーのトレーニング内容に迫る
最新鋭のレーシングマシンを武器に素晴らしいパフォーマンスを披露するレーシングドライバー。彼らは常日頃からさまざまなマシンでテスト走行を実施するなど、普通の人たちより圧倒的にドライビングの機会が多いほか、フィジカルトレーニングも行っていると聞く。では、それ以外だとどのような練習を行なっているのだろうか?
近年はレーシングシミュレーターや反射神経トレーニングなど、ハイテク機器を活用したものも多いと聞くが、実際にそれらはどの程度、有効なのだろう?
というわけで、2024年のスーパーGTの実質的な最終戦として、12月7~8日に鈴鹿サーキットで開催された第5戦「SUZUKA GT 300KM RACE GRAND FINAL」の会場で、数名のドライバーを直撃。
まず、最初に直撃したのが、TGR TEAM au TOM’Sの36号車「au TOM’S GR Supra」を武器にGT500クラスでチャンピオンに輝いたほか、スーパーフォーミュラでもチャンピオンに輝いた坪井 翔選手。
「フィジカル以外だと、やっぱりシミュレーターはやっていますね。スーパーGTに関してはGT500クラス用のシミュレーターがあるので、各チームがそれを活用しながらドライビングの練習をしたり、もち込みのセットアップを行うこともあります。月2回ぐらいの頻度でやっています」とのこと。

さらに「いまのシミュレーターはバカにできない。運転技術の向上の一環にもなるし、初めて走るサーキットにはかなり効果的です。2025年のスーパーGTは、セパンでも開催されますが、おそらく、そんなに走れる機会はないと思いますので、シミュレーターの活用が不可欠になってくると思います」と坪井選手は語る。
そのうえで坪井選手は、「でもシミュレーターは賛否両論あって、“ゲームだ”という人もいます。けど僕はシミュレーターに頼っている部分が多い。もちろん、リアルな走行と違って、“G”は感じられないし、流れる景色やクルマの動き方やタイヤの使い方も実車のようにはいかないけれど、シミュレーターの特性を知った上で切りわけて生かしています」と解説してくれた。
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ちなみに反射神経トレーニングについても坪井選手は行っているようで「フォーナインズさん(注:眼鏡の制作を行うフォーナインズが手がけるビジョントレーニング施設、フォーナインズビジョンラボ)にサポートしていただいているので、シーズンオフにそういったトレーニングもやっています。

一方、GT300クラスに参戦するドライバーもレーシングシミュレーターを活用しているようで、R&D SPORTで61号車「SUBARU BRZ R&D SPORT」のステアリングを握る山内英輝選手は、「レースウイークの直前はシミュレーターは使っていますよ。どうすれば速く走れるのか……といった部分を探す作業においてはシミュレーターもレーシングカーも同じですからね。けど、シミュレーターだから、突っ込むまで無理をするみたいな走りをするのではなく、速く走るためにコントロールするところを勉強していますし、身になると思ってます。今のスーパーGTは走り始めが土曜日の午前中で午後には予選と、圧倒的に走行時間が短いので、シミュレーターは効果的ですね」と語っている。

さらに坪井選手と同様に山内選手も目と反射神経のトレーニングを行っているようで、「目で見てから、身体で動くまでの反射神経の動きをトレーニングしています。これもシーズン中も行っていて、2週間に1回のペースで実践してます」とのことだ。
このように、プロのレーシングドライバーは実車での走行やフィジカル以外にもさまざまなトレーニングを行っており、それらの努力の末に、素晴らしいパフォーマンスを披露しているのである。
