この記事をまとめると
■日産が「東京オートサロン2025」で展示するキャラバンのカスタムカーを公開



■キャラバンカスタムカー第5弾「ディザスターサポートスペック」は災害支援車両



■今後の市場展開を見据えて3つのプランを考えている



東京オートサロン恒例のキャラバンのカスタムカーシリーズ最新作

来年2025年1月10日(金)から12日(日)までの3日間、幕張メッセで開催されるカスタムカーショー「東京オートサロン2025」。



西ホール2~3にブースを構える日産は、最新モデルのカスタムカーを中心に計10車種を展示する。そのなかから今回、キャラバンをベースにしたカスタムカー第5弾「DISASTER SUPPORT SPEC.(ディザスターサポートスペック)」の詳細が明らかになったのでお伝えしたい。



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このモデルは今年2024年1月のオートサロンで初公開された「Disaster Support Mobile-Hub(ディザスターサポートモバイルハブ)」=「災害支援車両」のコンセプトモデルがその前身にあたる。



企画を担当した日産自動車グローバルアフターセールス商品開発&エンジニアリング事業本部の越川智輝(こしかわともき)さんによれば、「その後自治体や企業から問い合わせが多く寄せられ、視察にも訪れた。また日産銀座ギャラリーに展示したところ、防災意識の高い個人ユーザーからもさまざまなご意見をいただいた」ことが、より現実的に今後の市場展開を見据えた今回の「ディザスターサポートスペック」を開発する契機になったようだ。



災害時だけのために導入はちょっと……だったらこのキャラバン! 日常使いもアレコレ便利な「災害支援車」驚きの中身【東京オートサロン2025】
グローバルアフターセールス商品開発&エンジニアリング事業本部の越川智輝さんと開発担当の鏡味大介さん



そうして得られた声のなかでも「とくに大きかったのは、『ディザスターサポートモバイルハブ』は災害支援“専用”車。“専用”となると、災害が訪れなければ使えないので、そうなると導入のハードルが高い」こと。加えて架装の規模が大きいことも、導入を検討するうえでの懸念材料となったようだ。



そこで「ディザスターサポートスペック」では、必要な機能に絞り込みつつ、既存の市販品や日産純正アクセサリーを最大限活用。現時点で市販品が存在しないものは「DIYレベルで作れるもの」(越川さん)に留め、「ボディも追加の穴開け加工を行わず既存の穴を活用」(開発担当の鏡味大介[かがみだいすけ]さん)することで、架装コストを大幅に低減した。またラックやテーブルなどを脱着や展開・格納ができる設計として、日常時にも使用できるよう配慮している。



災害時だけのために導入はちょっと……だったらこのキャラバン! 日常使いもアレコレ便利な「災害支援車」驚きの中身【東京オートサロン2025】
日産キャラバン・ディザスターサポートスペックのインテリア



市販化を見据えて3つのプランを用意

例えば2列目の座席部には、車外に引き出せ「ポータブルバッテリー from LEAF」などを複数収納できるスライド棚を設けたほか、車両部品のパーティションパイプを利用した折りたたみテーブルを設置。移動オフィスとして活用することができる。



災害時だけのために導入はちょっと……だったらこのキャラバン! 日常使いもアレコレ便利な「災害支援車」驚きの中身【東京オートサロン2025】
日産キャラバン・ディザスターサポートスペックのポータブルバッテリーを備えたスライド棚



荷室には重い荷物を動かしやすいよう床面に低抵抗素材を採用したほか、助手席側に棚を設置。

その天板は展開して幅を広げられるよう二枚板になっており、その上にマットレスを敷けば、就寝用のベッドとして使用できる。なお、純正の「ルーフインナーバー」を使ってカーテンを室内中央にかければ、就寝中のプライバシーを高めることも可能だ。



災害時だけのために導入はちょっと……だったらこのキャラバン! 日常使いもアレコレ便利な「災害支援車」驚きの中身【東京オートサロン2025】
日産キャラバン・ディザスターサポートスペックのインテリア



外装に目を移すと、ルーフには純正の「ヘビーデューティーラック」を装着しているが、その上に角度調整可能なソーラーパネルおよびStarlink通信アンテナの固定具を追加し、ソーラーパネルとStarlink通信アンテナも設置。



災害時だけのために導入はちょっと……だったらこのキャラバン! 日常使いもアレコレ便利な「災害支援車」驚きの中身【東京オートサロン2025】
日産キャラバン・ディザスターサポートスペックのルーフ



さらに、助手席側リヤスライドドアのガラスに情報発信用のサイネージモニターを装着したほか、着替え用の折り畳み個室も設けており、平時から災害時まで幅広い用途に対応できる優れものだ。



災害時だけのために導入はちょっと……だったらこのキャラバン! 日常使いもアレコレ便利な「災害支援車」驚きの中身【東京オートサロン2025】
日産キャラバン・ディザスターサポートスペックの着替え用折りたたみ個室



具体的な想定シーンとしては、都心にある全国規模の会社が、地方の拠点で被災した際、本社スタッフが必要な機材を積み込んで訪問。本社スタッフは車内で衣食住しながら、現地での復旧作業に従事し、現地で電源や通信が得られない状況でも本社との通信手段を確保する……というものを描いているそうだが、この「ディザスターサポートスペック」なら、十分に実現できるように感じられた。



災害時だけのために導入はちょっと……だったらこのキャラバン! 日常使いもアレコレ便利な「災害支援車」驚きの中身【東京オートサロン2025】
日産キャラバン・ディザスターサポートスペックのリヤスタイリング



さて、この「ディザスターサポートスペック」、果たしていつどのように市販化されるのかが気になるところだが、それを越川さんに率直に聞くと、「松竹梅の3プランを考えている」とのこと。



最初の「梅」の段階ではまず「災害とその備えに必要となるパーツを商品化」し、「竹」の段階では「もう少しある程度できることが増える」架装内容に。そして「松」の段階では、今回の「ディザスターサポートスペック」と同等の車両を市販化することを目指しているそうだ。



これらのステップが着実に進んでいくことを楽しみに待ちたい。

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