この記事をまとめると
■マレーシアではプロドゥアとプロトンの2社が国民的自動車ブランドとして君臨している■プロドゥアはダイハツと提携しておりマイビィというブーンベースのモデルが人気だ
■マイビィをトヨタのパッソ風にカスタムしたり車庫証明ステッカーを貼るのが流行中だ
マレーシアにはブーンとパッソが溢れている
マレーシアには自国量販ブランドであり、「国民車」として愛されているプロドゥアとプロトンというふたつのブランドがある。このふたつのブランドのマレーシア国内での新車販売シェアは6割強、首都クアラルンプールの街なかを走るクルマの大半は、この国民車ブランドモデルである。
とはいうものの、プロトンは2017年に中国・吉利(ジーリー)汽車傘下となり、そのラインアップの多くはジーリー車ベースとなっている。
もうひとつのプロドゥアはダイハツと提携しており、ラインアップされるモデルのうち、日本国内で販売されているモデルと共通なのは、現状ではロッキー(トヨタ・ライズ)をベースとするアティーバしかないものの、ほかのプロドゥア車は、周辺国ではダイハツ車もしくはトヨタブランド車として販売されているモデルがベースとなっている。そのプロドゥアのラインアップのなかに、「マイビィ」というコンパクトハッチバックモデルがある。
現行型は2017年にデビューした3代目となり、基本コンポーネントはダイハツのものを使っているが、内外装はプロドゥアオリジナルなものとなっている点が特徴だ。しかし、2005年にデビューした初代は、初代ダイハツ・ブーン(トヨタ・パッソ)を、2011年にデビューした2代目は2代目ブーン(パッソ)がベースとなっており、2代目はパッと見ではそのまま2代目ブーン&パッソに見えるのだが、細部でオリジナリティが加えられている。
ただ、初代は2代目に比べると見た目はより初代ブーン&パッソに近いものとなっている(内装はインパネまわりがかなり異なっているが、理由として初代マイビィは初代ブーン&パッソの一般グレードとは異なりMTがあったため)。

そんな初代及び2代目マイビィがマレーシアの首都クアラルンプール市内ではまだまだ走りまわっているので、路線バスやタクシーの車窓から見ていると、「ブーン(パッソ)だらけ」のような印象を受ける。そしてさらにそれを思わせてしまうのが、初代マイビィを「パッソ化」させて乗っている人が多い点だ。
トヨタパーツへのスワップが流行中!?
クアラルンプール市内を歩いていると、日本の車庫証明や燃費基準のステッカーがリヤガラスに貼ってある初代マイビィが路上駐車していた。ただ、全体はマイビィのままとなっているように見える。しばらくすると、我々の様子を車両窃盗グループと勘違いしたオーナーがやってきた。事情を話すと、リヤガラスは日本からパッソの実車についていたものを装着しているとのこと。また、インパネもマイビィのものから初代パッソのものへと変えてあると見せてくれた。

また、路線バスで移動しているときに沿線には初代マイビィベースで、リヤしか見えなかったのだが、バンパー、リヤゲートが異なり、パッソのネームプレートが貼ってあるものが確認できた(トヨタバッジもついていた)。

アメリカでは、アメリカ仕様の日本車を日本仕様にするJDM、そして日本では、日本で販売されている日本車をアメリカ仕様にするUSDMという改造がすっかり定着している。マレーシアに限らず、日本では嫌がる人もいるが、車庫証明の標章や燃費基準などのステッカーは模造品が出まわるほど東南アジアでは人気が高い。
自国で販売されている日本車を、より日本仕様に近い状態で乗るのがクールとされているようなのである。そしてマレーシアでは、そんな「JDM」化がお手軽にできるということで、初代マイビィが注目されているようだ。しかも「ダイハツ・ブーン」ではなく、「トヨタ・パッソ」にするところが、よりバリューを高めたいという気もちが筆者には伝わってきた。