この記事をまとめると
■中国の南西部に位置する重慶はSNS上で「魔幻都市」や「8D都市」などと呼ばれている



■2017年に開通した5層15線のジャンクションなどトリッキーな道が存在する



■ビルのなかを貫通するモノレールなどファンタジーな街になっている



世界でもっとも難解な立体交差がある中国・重慶

出口を間違えるといつまでも迷い続けるとか、1階だと思って扉を開けてみたら22階だったとか、まるでファンタジーなんですが、広い中国にはリアルでそんな都市があるのです。南西部に位置する重慶は、上海や北京をしのぐ面積をもち、また山と川に恵まれた土地柄で、それはもう特殊な発展をし続けているのです。



いつからか、重慶はSNS上で「魔幻都市」や「8D都市」などと呼ばれはじめ、中国きってのインフルエンサー都市となりました。

長江と嘉陵江というふたつの河川が交わるこの都市は、起伏の激しい独特な地形から住居や道路網が「映える」ものになっているのです。たとえば、2017年に開通した5層15線のジャンクションは、「出口をひとつでも間違えると丸1日重慶を観光する」すなわち、重慶からずっと出られなくなるといわれるほど(笑)。



5層15線JCTとか狂気の沙汰! 「魔幻都市」「8D都市」の...の画像はこちら >>



なるほど、優秀なナビに教えてもらっても、中国の苛烈な交通環境にあっては車線変更すらムズいわけですから、観光客などは頭を抱えてしまうに違いありません。3Dをはるかに越える8Dと呼ばれるのも大いに納得です。



そして、山なかにある都市といえば、勘のいい方ならおわかりのとおり、とにかくカーブの曲率がきつい(笑)。つまり、斜面を走る道路にありがちな「ヘアピンカーブばっかり」の九十九折(つづらおれ)ということ。しかも、中国四千年の歴史からなのか、どのカーブも個性的な曲線を描いており、典型的なヘアピンはひとつもありません。加えて、極端な高低差があるわけで、こりゃ豆腐屋でなくとも走りが上達すること請け合いです(笑)。



実際、重慶のタクシー運転手はこうしたトリッキーな道で腕を磨いているせいか、とにかく運転が荒いことで有名だそうです。いわば、職業「走り屋」みたいなドライバーですから、重慶を訪れた際はぜひ乗り合わせてみることオススメです。



5層15線JCTとか狂気の沙汰! 「魔幻都市」「8D都市」の呼び名に偽りなしの中国重慶がガチのファンタジー交通都市だった
重慶の街並み



ケーブルカーが通勤の足に

ところで、道路がファンタジーなら、生活環境もまたファンタジックな重慶。山を切り開いたような住宅地ですから、通勤路にケーブルカーがあり、高低差123mでしかも踊り場のないエスカレーターがあるなど、よそでは見られない光景のオンパレード。



5層15線JCTとか狂気の沙汰! 「魔幻都市」「8D都市」の呼び名に偽りなしの中国重慶がガチのファンタジー交通都市だった
重慶の夜景とケーブルカー



きわめつけは、高さ70mの位置にある歩道橋! これは「映える」だけでなくリアルなスリルが味わえるとして観光客からは人気のフォトスポットだそう。ですが、地元民にいわせると「怖くて使えない」とのことで、たしかに人が渡っているシーンはとんと見かけません(笑)。



また、住宅にしろ商業ビルにしろ山肌にへっぱりついているわけで、そこらを走るモノレールが「ビルを貫通」するのも当たり前! さらには人口運河まで「ビルを貫通」という徹底的なファンタジー! これまた観光スポットとなっているようですが、なんだか出来の悪いジブリアニメかのような光景です(笑)。



5層15線JCTとか狂気の沙汰! 「魔幻都市」「8D都市」の呼び名に偽りなしの中国重慶がガチのファンタジー交通都市だった
重慶モノレールがビル内を突っ切る様子



ともあれ、重慶は中国人にとって「ちょっとした憧れの都市」だそうですから、住んでみれば意外と楽しいのかもしれません。見ていて心配になる景色ではあるものの、実際にはファンタジックで住み心地だって悪くなさそうです。



ヘアピン地獄で運転も上達しそうですから、クルマ好き&ファンタジーマニアなら訪れてみることオススメですよ。

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