この記事をまとめると
■ルノーは現行型サンクE-TECHベースの「サンク・ターボ」を販売予定だ



■2000年にも「サンク・ターボの再来」として「クリオ・ルノースポールV6」を販売した



■クリオ・ルノースポールV6は楽しく走らせるにはなかなか手強いクルマだった



以前にもあったサンクターボの再来

2024年の終焉が差し迫ったころ、僕が何に興奮させられてたかといえば、ルノーがまったく新しい「サンク・ターボ」の計画を明らかにしたことだった。正式名称、ルノー・サンク・ターボ3E。そのクルマの存在そのものは2022年にコンセプトモデルが発表されたことで知ってはいたが、まさか本当に販売に向けて計画が着々と進んでいるとは思っていなかった。



サンク・ターボ復活にファン歓喜(ただしEV)! そういえば前...の画像はこちら >>



昔のサンク・ターボはその名のとおり1.4リッター4気筒ターボを搭載していたが、新しいサンク・ターボ3Eは時代を反映したバッテリーEV。後輪を駆動するインホイールモーター2基は500馬力を発揮し、静止状態から100km/hまでをわずか3.5秒未満で走り切る、というのが目標値だという。



それはそれは過激でエキサイティングなパフォーマンスを味わえる楽しいクルマになることだろう。



サンク・ターボ復活にファン歓喜(ただしEV)! そういえば前にもサンク・ターボの再来といわれた「クリオ・ルノースポールV6」があったけどどんなクルマだった?
ルノー・サンク・ターボ3Eのリヤまわり



現行のサンクE-TECHの面影を残してはいるが、ドカンと張り出した4つのオーバーフェンダーや前後の空力パーツで構成されるスタイリングは、まさに往年のサンク・ターボの再来。オリジンを知る世代には感涙モノ、である。



と同時に、もうひとつ「サンク・ターボの再来」と呼ばれたモデルが存在していたことを思い出した。ルノー創業100周年となる1998年にプロトタイプが発表され、2000年に発売開始となった「クリオ・ルノースポールV6」だ。



サンク・ターボ復活にファン歓喜(ただしEV)! そういえば前にもサンク・ターボの再来といわれた「クリオ・ルノースポールV6」があったけどどんなクルマだった?
ルノー・クリオ ルノースポールV6のフロントまわり



クリオ・ルノースポールV6は、車名からもわかるとおりサンクではなくその後継にあたるクリオ(=日本名:ルーテシア)をベースにしているのだが、何ゆえ「再来」と呼ばれたのかというと、その迫力たっぷりなルックスもさることながら、リヤシートを取っ払い、そこにエンジンをマウントしてミッドシップレイアウトにするという作りが共通していたからだ。



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ルノー・クリオ ルノースポールV6のV6エンジン



搭載されたのは「ラグナ」などに使われていた自然吸気の3リッターV6ユニットをチューンしたもので、最高出力は230馬力、最大トルクは300Nm。Hパターンの6速MTとの組み合わせで、0-100km/h(正確には0-60mph=97km/h)加速タイムは6.2秒、最高速度は235km/hのパフォーマンスを発揮した。



ヒストリックカーとしてのクリオ・ルノースポールV6の印象

そのレイアウト変更は、いうまでもないがさすがにポン付けみたいにはいかず、ホイールベース、前後のトレッドともに拡大されてるのだが、そのホイールベース・トレッド比は明らかなショートホイールベース化、つまりコーナーでより曲がりやすい方向へとチューニングされていて、そのうえV6ユニットの重心高が高く、さらにはリヤまわりの剛性が足りなかったせいか、攻め込んでいくとかなり手強いクルマだった。



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峠道を走るルノー・クリオ ルノースポールV6



ワインディングロードでは途中まではアンダーステア、限界を超えると一気にオーバーステアといった感じで、そのトリッキーさに何度かヒヤリとさせられたのをハッキリと覚えてる。

見た目が見た目で目立ったから、街なかなどで「すっごいクルマを転がしてる」感を楽しむのには最高だと思ったけど、僕には峠で完全に手懐けるのは無理だな、なんて感じていた。



2003年になるとフェイズ2へと進化して、ベースのクリオと同じくフロントとリヤのデザインが一新されたが、同時にエンジンのチューンアップもさらに進んで254馬力へとパワーアップ。0-100km/h(同様に正確には0-60mph=97km/h)加速タイムは5.8秒、最高速度は246km/hへとパフォーマンスも大きく引き上げられた。



サンク・ターボ復活にファン歓喜(ただしEV)! そういえば前にもサンク・ターボの再来といわれた「クリオ・ルノースポールV6」があったけどどんなクルマだった?
ルノー・クリオ ルノースポールV6(フェイズ2)のフロントまわり



さらには高剛性のサブフレームを追加し、ダンパーやスプリングだけじゃなく動作角まで変えるなど、シャシーにも手が入ってハンドリングの向上もしっかりと狙っていた。たしかにフェイズ1と比べればだいぶ扱いやすくなった気はしたものの、それはあくまでも「比べれば」の話であって、マイルドかピーキーかと問われればやっぱりピーキーな部類。ミッドシップスポーツカーとして飛び抜けて優れたモデルへと変貌したわけじゃなかった。



フェイズ1ほど怖い想いはさせられなかったけど、コーナリングが滅法楽しいかといえば、そういうわけでもなかった。フェイズ1のときの先入観が邪魔をしたところもあったかもしれないのだけど……。



でもまぁそんなのは昔の話だ。いまやクリオV6も立派にヒストリックカーの仲間入り。僕もジジイの仲間入り。そういうクルマとのつきあい方は理解してるし身に染みついてる。

刹那に100%を楽しもうとするのではなく、8割ぐらいで長く楽しむのが吉、なのだ。



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ルノー・クリオ ルノースポールV6のリヤまわり



そう考えると、クリオV6はかなり魅力的な存在だ。上までまわしたときの自然吸気V6エンジンの雄叫びが後ろから耳に入ってくるのに身震いしながら、強制的にすごいマシンを走らせてるような気分にさせられるシャシーとスパーリングするかのように戯れる。10分走っただけで素晴らしい気分転換になるはずだ。時間が解決してくれる問題というのは、たくさんある。



さて、2026年に販売されることになりそうな新しい「サンク・ターボの再来」は、いったいどんなフィーリングでもって僕たちを魅了してくれるのだろう? 待ち遠しくて仕方ない。

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