この記事をまとめると
■家の代わりにキャンピングカーに住むことはできるのかを考察



■衣食住やライフラインは工夫が必要だがなんとかなる



■手続きや費用、子どもの学校通いといった点が高いハードルだ



家の代わりにキャンピングカーに住むことは実際可能なのか?

キャンピングカーで車中泊していると、思いの外、快適で、ふと「このまま、思い切って家を売ってキャンピングカーに住んじゃってもよくね?」という考えが頭をよぎることがあります。実際、とくに若い夫婦のYouTuberが家を断捨離して「キャンピングカーに住み、日本中をクルマ旅する!」とかの動画も、そこそこ見受けられます。



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かくいう私も、余りに車中泊しすぎて、キャンピングカー暮らしを考えたこともありました。

そこで今回、思い切って家を売ってキャンピングカーに住むことは可能かどうか? マジメに考察してみました。



実際に暮らすための必要条件

自宅を拠点にクルマをサブとして車中泊するのと根本的に異なるのは、クルマがメインとなることです。つまり、いままで一般住居では当たり前となっていた、インフラ的な衣食住をクルマに置き換える必要があります。



・駐車場所

キャンピングカーは「走る家」です。が、夜は、寝るためにどこかに停まらないといけません。安心なのはRVパークやキャンプ場ですが、毎日、家賃がかかる覚悟が必要ですし、移動ルート上に、車中泊施設があるとは限りません。パーキングエリア、道の駅などは、基本的には仮眠・休息のみ許可されていて、車中泊は禁止というところが多いです。



キャンピングカー大好きオーナーがガチで考えた! 家を捨てて完全キャンピングカー暮らしは可能か?
キャンピングカーが駐車場に並ぶようす



有料駐車場は基本、車中泊はできず、騒いでいると周辺住民から通報されてしまう恐れもあります。確実に安心して車中泊できる駐車場の確保が必要です。



・電気・ガス・水道

使いたいときにほぼ無限に供給される電気やガス、水道は、キャンピングカーの場合は有限となります。電気は外部電源に接続するか、サブバッテリー、ポタ電に頼るしかありません。家にいるつもりで電子レンジ などを使えば、あっという間にバッテリーは枯渇してしまいます。



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キャンピングカーを外部電源に接続したようす



また、暑い夏には必須となるエアコンの消費電力は多く、毎晩の使用となると、とてもサブバッテリーでは支えきれませんので、外部電源のあるRVパークやキャンプ場利用が必須となります。



・食事

基本的にキャンピングカーにはキッチンがついているので、そこで簡単な調理はできますが、旅先での食事も楽しみなので、TPOでメリハリをつけることになります。朝は、軽食かコンビニ飯、昼とか夜は地元の美食などです。ゴージャスな食事もあり、貧乏人の食事もあり、これも意外と楽しいものです。



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キャンピングカーのキッチン



・トイレやお風呂

トイレ・シャワーがあるキャンピングカーは、トイレのタンクに溜まったお宝の処理や、水の確保などが問題になります。欧米のRVパークのように、給排水などが施設に直結され、ほぼ一般住宅並みに使えるような環境がない限り、ダンプステーションでの処理や、水の補給が必要になります。



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キャンピングカーに水を貯めた状態



「道の駅のトイレや旅先の入浴施設や、漫画喫茶、ネットカフェのシャワーを使えばいいや!」と割り切れば、キャンピングカーにシャワー・トイレがなくてもやっていけます。各地の温泉巡りが旅の目的になっているときは、一石二鳥。日帰り温泉やスーパー銭湯などを利用します。



・洗濯

洗濯機・乾燥機のあるRVパークやキャンプ場、コインランドリーを利用することになります。とくにコインランドリーは全国的にも増えているので、スマホのマップ検索ですぐに見つかります。その洗濯量にもよりますが、1週間に1度くらいを目途に洗濯します。



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キャンピングカーでコインランドリーに訪れる



・インターネット環境

現代人にとって不可欠なインターネット環境。ポケットWi-Fiや近年ではスターリンクなどもありますが、その通信スピード・安定性から、Wi-Fi設備のある施設、たとえばRVパークやキャンプ場、ホテルロビーなどの有無のチェックが必要です。



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Wi-Fiスポット



・もろもろ荷物の収納と不要ゴミの処理

所有する衣類や書籍、音楽や映像コレクションや、プラモデルやフィギュア、貴金属などがあったりします。その一部はキャンピングカーに積んでもいいですが、全部を積み込むことは不可能です。また、キャンプ用品も季節ごとに載せ替えが必要になるので、たとえば実家やレンタル倉庫などの保管場所の確保が必要になってきます。



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キャンピングカーの収納



もちろん、それらを思い切ってすべて断捨離! 着の身着のままクルマ旅に徹底するのもありです。また、生活していると出るのがゴミです。一般住居と違って、ゴミ出し先も考えないといけません。

RVパークやキャンプ場、クリーンセンターなど、行先でのゴミ捨てを考えないと、移動する「ゴミ屋敷」になってしまいます。



キャンピングカーで暮らすための諸費用・諸手続き

一般住居を購入した場合と異なり、キャンピングカーには固定資産税がかかりません。これは江戸時代の年貢並みに、増税で苦しむ日本国民には多少でもうれしいメリットです。



キャンピングカーで暮らすための主な税金は、住民税・自動車税・自動車重量税・ガソリン税があります。このうち住民税以外は、そもそも自動車を所有するのにかかる当然の税金なので、今回は割愛します。



・住民票と住民税

住民税は「住民票のある市区町村」に納めますが、そもそも住民票を移動するキャンピングカーに設定することはできません。そのために、実家などの家族や知人の「同居人」という扱いにしてもらう必要があります。



キャンピングカー大好きオーナーがガチで考えた! 家を捨てて完全キャンピングカー暮らしは可能か?
住民票のイメージ



・郵便・宅配便など

いまは全国、いろいろな所で受け取れます。コンビニや運送会社の支社・営業所などを指定することもできます。送って貰うモノがわかるとヤバイものや、人の手に渡ると困るモノ、生モノ急ぐモノでない限り、実家や知人宅宛でも良いでしょう。



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宅急便



・家族関連の手続き

じつは私はこれで、家の断捨離とキャンピングカー住まいを諦めました。それは子どもの教育です。子どものいない夫婦や、オヤジやオバンのひとり旅は、自由気ままなクルマ旅でキャンピングカー暮らしも可能ですが、子どもがいるとなると、その学校通いが問題となります。



キャンピングカー大好きオーナーがガチで考えた! 家を捨てて完全キャンピングカー暮らしは可能か?
家族のイメージ



ましてや受験生となると、ひとり置いていくわけにはいきません。

私の場合は、子どもが独り立ちするか、離婚されないかぎり、キャンピングカー暮らしは無理だと悟りました。



以上、ご紹介した条件が問題なくクリアになれば、家を断捨離してのキャンピングカー暮らしは可能です。私も完全に諦めたわけではありません。いまは、キャンピングカーを横付けできるウッドデッキと、必要最低限な掘っ立て小屋をベース基地とした、「ハイブリッド型キャンピングカー暮らし」を画策しています。

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