この記事をまとめると
■2022年にウィーンのスタートアップ企業「デウス」がEVハイパーカーのヴァイアンを発表■99台限定のヴァイアンは2025年2月に第一号のデリバリーがスタートする予定
■4モーター仕様の最高出力は2250馬力とされ価格は250万ドル前後(約3億9300万円)
EVハイパーカーに新たなる刺客「デウス・ヴァイアン」
スケジュールどおりに、その開発と生産のプログラムが進んでいると仮定するならば、その2000馬力以上の最高出力を誇る、オールエレクトリック4WDハイパーカーは、2025年2月には第一号車のデリバリーがスタートする。
その生産が行われているのはイタルデザインの、イタリア・トリノ工場だが、それに掲げられるエンブレムはイタルデザインのものではない。すでにそれを見たという人はごく限られた数にすぎないだろう。
ちなみにヴァイアンとは、ウィーンの街にちなんだ名前であるといい、またデウスはそれを「比類なきハイパーカーである」と表現している。
確かに世界のハイパーカーを見ても、2000馬力に迫る最高出力を実現したモデルは、2000馬力のロータス・エヴァイヤを筆頭に、1927馬力のピニンファリーナ・バッティスタ、1914馬力のリマック・ネヴェーラなど、ごく限られた例があるのみ。
デウスはこのヴァイアンを99台の限定で生産する計画を打ち出しているが、参考までに1台の価格はニューヨークオートショーの時点では250万ドル前後(現在のレートで約3億9300万円)とコメントされていた。

はたして、そのビジネスに勝機はあるのか。ニューヨークでのオフィシャル・デビューから、それが見る者の間で常に大きな話題となっていたことは確かだった。
だが、実際にヴェイアンのフィニッシュ、そしてメカニズムを見ると、それはEVハイパーカーの新興勢力として十分に魅力的な存在であることが分かる。
すでにヴァイアンに続くニューモデルも計画中
エクステリア、そしてインテリアのスタイリングを担当した、デザイン責任者のエイドリアン・フィリップ・ブトゥカ氏によれば、ヴェイアンのデザインは「シンメトリーとインフィニティ(対称と無限)」をコンセプトとしたもので、その結果、じつに滑らかな曲線によって描かれた魅力的な造形が生み出されているのがわかる。

リヤのテールライトは無限ループを表現したもので、ここにはデウスの未来にはまだまだ無限の進化の可能性があるという意味が込められている。事実、デウスにはこのヴェイアンに続くニューモデルのプロジェクトも存在しているようだ。

搭載されるEVパワートレインは、イギリスのウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングの開発した「ターンキー」パッケージを使用したものになる。エレクトリックモーターは2個、もしくは4個の搭載が可能で、例のオーバー2000馬力の最高出力、正確には2250馬力のパワーは、もちろん4モーター仕様で実現する。

例のターンキーパッケージには、駆動用のバッテリーやモーター、シャシーなど広範囲にわたるメカニズムがパッケージ化されており、それを搭載すればすぐに使用が可能なことから、こう呼ばれるようになった。
ちなみにヴェイアンの場合、リチウムイオンバッテリーの搭載量は85kWh。最大航続距離は約480kmという数字が発表されている。一方、350kWの充電システムを使用すれば、満充電までに必要な時間は約20分と、ユーザーの利便性も確実に考えられている。
最高速で399km/h、そして0-100km/h加速を1.99秒で走り抜く運動性能を誇るデウス・ヴァイアン。EVハイパーカーの世界に、またひとつ注目のブランドが誕生した。