この記事をまとめると
■MT車の運転が下手な人は今も昔も一定数存在していた



■得意げにならず愛車の癖や自らのテクニックを見直すことも重要だ



■日々の運転を見直し切磋琢磨することでテクニック向上に繋がる



恥ずかしすぎるMT車を操るダメテクニック

スマホしかいじったことのない子どもは、ダイヤル式の電話のかけ方がわからないのだそうです。AT免許も似たようなもので、世のなかからマニュアルミッションでクルマを運転できる方がどんどん減っているとか。



もっとも、昭和の昔からMT車は苦手というか、下手くそは少なくなかったわけで、そういう方々はAT大歓迎だったかと。

マニュアル運転手さんは、ATや電子デバイスを利用しているドライバーにドヤ顔をしがちなようですが、じつは下手くそじゃないかどうか、省みてもいいのではないでしょうか。



◆エンスト

ATが普及してもっとも喜ばれたのは、発進時にエンストしなくなったことではないでしょうか。つまり、MT下手がもっともミスしやすいのがゼロ発進でのペダルワークということにほかなりません。



ご承知のとおり、最低限の実効トルクを発生するエンジン回転に合わせ、クラッチをこれまた最低限の滑りでミートさせるという行為。ですが、下手くそはまず最適な回転にすることができず、高すぎたり低すぎたりするわけです。いうまでもなく、エンジン回転が高すぎればクラッチに悪影響を与え、低すぎればエンスト。



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また、クラッチワークが上手な方なら多少エンジン回転が最適値からズレていたとしても「なんとなく」「ニュルっと」ミート、ストールさせることなく発進できるかと。



難しいのは坂道発進といわれますが、アクセル開度とクラッチのミートポイントに慣れていればさほどのことはないでしょう。まして、MT全盛期=昭和のころは、ペダル式サイドブレーキがそれほど普及していなかったわけですから、普通の発進行為にサイドブレーキを足せばいいだけのこと。



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サイドブレーキをかけている様子



ですが、MT下手はどういうわけかアクセルをブンブン開けて、クラッチが悲鳴をあげるほど滑らせる(笑)。そのうえ、坂道ならばサイドブレーキのリリースが早すぎて後退。リリースが遅いと「ガックン」とばかりにエンスト、しかも後退してしまい、後続車をヒヤリとさせちゃうわけです。



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坂道の途中で停車しているスポーツカー



「オレはMT歴何十年だし!」なんて方にしても、いま一度エンジンが実効トルクを発生する最低回転数や、クラッチのミートポイントを確認なさってはいかがでしょう。

より滑らかな発進をきめられて、ATユーザーから羨望の眼差しを受けること間違いありません。



本人は大満足も周囲はドン引き……かも

◆シフトチェンジ

これは上手い下手の問題というよりドライバーのスタイル、趣味嗜好によるところも大きいかと。たとえば、街なかを流している際になかなかシフトアップせず、唸るエンジン音で車内が満たされるようなドライバー。当の本人にしてみれば、エンジンの最大出力ゾーンを駆使して、「いつでも加速態勢」あるいは「すぐさまエンジンブレーキ」みたいなつもりでしょうが、場面によってはギクシャクしてしまうはず。助手席に乗っていても「いつシフトチェンジするんだろ?」と余計な心配を抱えがち(笑)。



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シフトチェンジしているときの様子



また、省エネ運転を心がけるのは賛成ですが、トップギヤに入れるのがやけに早いと下手くそのレッテルを貼られることも。つまり、高すぎるギヤでアクセルを不用意に開けると、低回転でまわっているエンジンに余計な負荷をかける(昔風にいうと「しゃくる」「しゃくりあげる」)恐れがあるということ。まして、キャブ車であれば、さらにエンジンがギクシャクしてしまい(燃料が濃くなりすぎ=かぶる)いいことはひとつもありません。



ちなみに、これまた個人のクセによるところですが、シフトレバーを力任せに動かすのも決して上手には見えません。どんなクルマもエンジン回転とギヤスケジュールが合っていれば、「熱いナイフでバターをかきまわす」ほどでなくともサクサク吸い込まれるようにシフトがきまるはず。力を込めてシフトノブを握るのではなく、ノブのトップに軽く手を添えるだけの操作がスマート=MT上手に見えるのではないでしょうか。



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シフトチェンジしている手元の動き



◆エンジンブレーキ

これはトルコンATでは起こりづらいものですが、MTの場合は繰り返し書いてきたとおり、シフトダウンの際にエンジン回転とギヤが合っていないと「シフトロック」などと呼ばれる現象につながります。



例えば、コーナーの入口などでエンジンブレーキを使おうとする場面。

エンジン回転が高すぎたり、適切なギヤを選ばないと駆動輪にいきなり高負荷がかかることでタイヤが一瞬ロック、車体の向きによってはサイドスリップが起こるわけです。



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エンジン回転数が高い様子



むろん、意図的なドリフトを狙うのならカッコいいものの、たいていは意図しないシフトミス(笑)。アクセルを過度に開けなければグリップはすぐさま回復するはずですが、乱暴なペダルワークであればスピンモードに陥ることすらあるのです。



ちなみに、MT下手がときおりこうしたミスをするからかもしれませんが、後続車が下手くそドライバーだった場合、ブレーキランプが点灯しないエンジンブレーキのことを「ステルスブレーキ」などと誤解してSNSなどで非難轟々。「下手くそ同士がなにいってやがる」と一般的なドライバーから嘲笑の的になっているのも大いに納得です。



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前方車がブレーキランプを点灯させていない様子



と、偉そうに書き連ねてきましたが、じつはすべて筆者がしでかしてきた下手くそドライブにほかなりません。免許取得からウン十年が経ったいまでも、上記のミスをちょいちょいやらかしており、そのたびに反省&うなだれることしきり。



自戒の念を込めまくりではありますが、みなさまもMT下手呼ばわりされることのないよう、切磋琢磨することお忘れなきように!

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