この記事をまとめると
■ジムニー5ドアが「ジムニーノマド」として国内導入されることが決まった■インドの工場で生産して日本に輸入される
■モノグレード展開となり専用色が設定される
ついに出た! 念願のジムニー5ドア
スズキが世界に誇る小型本格オフローダー「ジムニー」。
2018年7月の現行4代目発売当時よりその存在がまことしやかに噂され、その後2023年1月にインドで発表されてからは日本導入も待望されていた「ジムニー5ドア」が「ジムニーノマド」として、ついに日本でも2025年4月3日に発売されることとなった!
日本では軽自動車サイズの3ドア車に「ジムニー」、小型車サイズの3ドア車に「ジムニーシエラ」の名が与えられており、両モデルの日本仕様は国内の湖西工場で生産されている。なお、海外では軽自動車サイズが展開されておらず、日本でいう「ジムニーシエラ」が「ジムニー」を名乗っている。
今回追加される「ジムニーノマド」は海外版「ジムニー5ドア」と同じく、日本名「ジムニーシエラ」をベースとしてホイールベースと全長を340mm延長し、5ドア化したモデル。生産を担当するのも同じく、インドにあるマルチ・スズキ社のグルガオン工場だ。

そして、「ノマド」のサブネームは、「ライトクロカンの祖」とされる初代「エスクード」の5ドア車にも与えられた、「遊牧民」を意味する名称。5ドア化により使い勝手のいい後席と荷室を得たことから、「ノマド」の名を継承したそうだ。

では、3ドアの「ジムニーシエラ」に対し、具体的に何が変わったのだろうか。
ホイールベースと全長の340mm延長(ホイールベース2590mm、全長3890mm)により、タンデムディスタンス(前席と後席との間隔)は50mm拡大し、後席の居住空間が大幅に拡大。身長174cm・座高90cmの筆者が座ると、ヘッドクリアランスこそ50mm程度とギリギリだが、膝まわりは約200mmの余裕があり、無理な姿勢を強いられることはなくなった。

ただし、シート自体は、「シエラ」より大型化されているものの、座面・背もたれとも小ぶり。大柄な男性が長時間乗り続けるには不向きといえそうだ。
一方で乗降性を改善すべく、300mmの開口幅を確保したほか、リヤドアトリム前端とBピラートリム後端を最大限面取りし、後席座面前端の角を大きくカット。ホイールハウス開口部も直線的な形状とすることで、足先や膝、ふくらはぎや腰まわりなどが各トリムに当たりにくく、出し入れがしやすいよう配慮している。

そして荷室は、後席使用時の奥行きが350mm(メーカー公表値)深い590mmにまで拡大。
なお、後席を倒せば1370mm(筆者実測)程度の奥行きが得られるものの、荷室フロアに対し135mm(同)ほどの段差が生じる。だがこの段差を埋められるディーラーオプションを発売予定とのことなので、大きな荷物を運ぶ機会が多いならばぜひ装着したいアイテムだ。

5ドア化で実用性は劇的に向上!
肝心の走りはどうか。
とくに気になるのはジムニー本来の悪路走破性だが、ホイールベースの340mm延長に伴い、ランプブレークオーバーアングルは「ジムニーシエラ」の28°から25°に減少している。だが、アプローチアングル36°、ディパーチャーアングル47°、最低地上高210mmは変わっておらず、依然として高い水準にあると見てよいだろう。

また、ホイールベース340mm延長のため、ラダーフレームのうちセンターフレームを延長のうえ、センタークロスメンバーを追加している。これらに伴い車重が約100kg増加したため、プロペラシャフトの長さおよび直径を拡大し、フロントブレーキローターをソリッドディスクからベンチレーテッドディスクに変更。スプリング・ダンパー・スタビライザーもセッティングを変更したほか、4速AT車ではパーキングロック機構の強度を高めている。

これらの変更により、とくに期待できるのは、高速域での直進安定性向上と、路面の凹凸に対するピッチングの減少だ。そのため、オンロードを走る機会が大半であれば「ジムニーノマド」のほうがオススメ……といいたところだが、最小回転半径は「ジムニーシエラ」の4.9mに対し0.8mも大きい5.7mとなっている。
つまり、狭い場所での車庫入れやUターンの難易度は、ボディサイズから想像するよりも遥かに高くなるため、可能な限り購入前に試乗して確かめたほうがよいだろう。

内外装も細部が異なる。まず外装は、Aピラー以降の側面とルーフの形状が、ドアハンドルを除いて全面的に変更。フロントグリルは「ジムニーシエラ」のマットブラックに対し、「ジムニーノマド」はガンメタリック塗装のうえ5スロットリングにメッキが施され、質感アップが図られている。

室内では、後席用パワーウィンドウスイッチがリヤドアのほかフロントコンソールにも設けられるほか、荷室左側面にラゲッジルームランプが追加されるのも見逃せない。

ボディカラーは「ジムニーシエラ」にはない「ジムニーノマド」専用色として、シズリングレッドメタリック/ブラックルーフと、インドでの上級グランド「ネクサ」のイメージカラーであるセレスティアルブルーメタリックを設定。そのほかジャングルグリーン2、シフォンアイボリーメタリック2/ブラックルーフ、アークティックホワイトパール、ブルーイッシュブラックパール4の、計6種類から選択可能だ。

ADAS(先進運転支援システム)は「ジムニー」シリーズとして初めて、ステレオカメラ式の「デュアルカメラブレーキサポート」を標準装備。そのほか、前方誤発進抑制機能や車線逸脱警報などを全車に、4速AT車にはさらに後退時ブレーキサポートや後方誤発進抑制機能、ACC(アダプティブクルーズコントロール)も標準で実装している。

そんな「ジムニーノマド」は、「FC」のみのモノグレード展開で、エンジンは「ジムニーシエラ」と共通のK15B型1.5リッター直列4気筒ガソリンNAエンジンのみ。トランスミッションは「ジムニー」「ジムニーシエラ」と同じく5速MTと4速ATから選択可能だ。

価格は5速MT車が265万1000円、4速AT車が275万円。「ジムニー」「ジムニーシエラ」に続いて大ブレイク必至の「ジムニーノマド」。