この記事をまとめると
■バンコク国際モーターショーを主催するグランプリインターナショナル社のピラポン・エイムラムナオCEOが大阪オートメッセ2025を視察■大阪オートメッセ2025と日本のカスタムシーンの印象を教えてくれた
■2025年3月に主催するバンコク国際モーターショーがどんなショーになるかも明かしてくれた
バンコク国際モーターショーCEOが大阪オートメッセ2025を視察
2月7日(金)より9日(日)までインテックス大阪で開催される、西のカスタムカーの祭典「第28回大阪オートメッセ2025」に、タイ・バンコク国際モーターショー(Bangkok International Motor Show。略称BIMS)を主催するグランプリインターナショナル社のピラポン・エイムラムナオ(Peeraphong Eamlumnow)CEOが、現地メディアとともに来場。オートメッセに対する率直な印象、そしてタイの最新自動車カスタマイズ事情について、直撃インタビューした!
──主催されているバンコクモーターショーの、とくに大きな特徴を教えていただけますか?
エイムラムナオCEO:ほかのモーターショーと違うのは、クルマを展示するだけではなく、会場内で販売をすることにも、開催初期から現在に至るまで重きを置いていることですね。
──大阪オートメッセをご覧になり、どんな印象を受けましたか?
エイムラムナオCEO:オートメッセは何回も訪問していますが、チューニングやドレスアップをはじめ、いろんな情報を入手できますね。カスタマイズの最新トレンドを一望できると思います。また、会場のインテックス大阪が、一個の大きなホールではなく、小さなホールで複数にわかれているので、展示内容も多彩です。地元・関西のチューニングショップも数多く出展しているので、それが大阪オートメッセのカラーにもなっていると思います。今年は「こどもビリティ」のようなイベントもありますので、家族連れでも楽しめるでしょうね。
そして、ほかのイベントではなかなか見られないカスタムカーも、大阪オートメッセで一日を過ごせば、じっくり見ることができます。
──最近のタイではどのようなカスタマイズが主流なのでしょうか?
エイムラムナオCEO:タイでもいろんなスタイルのカスタマイズがあり、その点では日本と変わりませんが、もっとも人気なのは、若者でも手に入りやすい、コンパクトカーのカスタマイズですね。スポーツカーはトヨタGR86でも新車は200万バーツほど(2025年2月8日時点で約900万円!)するので、若者は購入できません。日産GT-Rも人気ですが、財力のあるクルマ好きが中心ですね。

その一方で、1990年代などの旧車をカスタマイズするのが、今年からトレンドになっています。
モータースポーツの分野では「SOUPED UP Grandprix」というドラッグレースのイベントを、バンコク近郊のドラッグアベニューレースウェイで毎年開催しているのですが、日産GT-Rやスカイライン、トヨタ・スープラなど、6気筒エンジンを搭載したスポーツカーが、参戦車両としては多いですね。チームとしてはタイだけではなく、マレーシアやオーストラリア、中国、カンボジアからも参戦しています。

タイで市場規模の大きいピックアップトラックのカスタマイズも流行していますが、車高を上げるのではなく下げる方が多いですね。ドラッグレースに参戦しているクルマもありますよ。
バンコク国際モーターショーには新しいものをどんどん取り入れる
──タイでは近年、中国製BEV(バッテリー式電気自動車)の普及が急速に進んでいるようですが、それによってカスタマイズの世界にも影響は出ていますか?
エイムラムナオCEO:2024年のタイでの新車登録台数は60万台ほどだったんですが、以前は100万台規模だったので、経済事情は決してよくないですね。これは、自動車ローンの審査がとおりにくくなったことが大きな要因です。2024年の中国製BEVの新車販売台数はこのうち約7万台でしたが、2023年も約7万台でしたので、さほど増えてはいないですね。BEVに疑問をもつ人は多く、ハイブリッドカーに回帰していく傾向が出始めていますね。この流れを受けて、いくつかの中国車メーカーも、ハイブリッドカーの投入を予定しています。

タイには我々が開催しているものとは別のモーターショーがもうひとつあるんですが、そちらのショーでの新車販売台数ランキングを見ると、1位がトヨタで、2位がBYDでした。なぜそういう傾向になるかといえば、モーターショーの来場者は都会に住み、新しいイノベーションやテクノロジーに興味をもつ人が多いんですね。ですがタイの国内全体で見ると、BEVのメーカーは5位以下、それも1~4位のメーカーとは大きな差があります。
BEVは当初もっと伸びると思っていましたが、ローンの審査が厳しくなったのもあり、ほかのタイプを含めてさほど伸びていないですね。しかし将来的にはBEVが、急激ではないものの少しずつ増えてくると思います。
カスタマイズに関しては、BEVのオーナーもしたいようですが、まだまだエアロやホイールに限られていますね。とくに中国のBEVは内外装のデザインが凝っており、室内も画面ひとつでさまざまな機能をコントロールできるようになっているので、従来のエンジン車のように何かを追加するのは難しいですね。
──時間は限られていたと思いますが、今回の大阪オートメッセをご覧になり、とくに印象に残ったクルマはありますか?
エイムラムナオCEO:4・5・6号館を少しだけ見ましたが、トレーラーをけん引したフォルクワーゲン・ザ・ビートルが、迫力あるデザインでよかったですね。アメリカンスタイルのドレスアップをしたトヨタ・ハイエースも好きですね。タイでもこの市場は大きいです。

──3月26日から4月6日まで、46回目となるバンコクモーターショーが開催される予定ですが、今後のバンコクモーターショーをどのようにしていきたいとお考えですか? また、カスタムカーショーを別途開催されるご予定は?
エイムラムナオCEO:バンコクモーターショーは従来どおりのコンセプトを維持しつつも、消費者が求める新しいもの、新技術をどんどん取り入れていきたいですね。

カスタムカーショーは、以前検討したことがあるんですが、出展者の企業規模がさほど大きくなく、大規模にも成長しにくいので、イベントでの展示も大きくなりにくいのが実情です。タイには「バンコクオートサロン」というイベントがありますが、年々規模が小さくなり、次回は「BIG」(Big Motor Sales)という乗り物全般の展示・即売イベントとのコラボレーション開催になったようです。
タイでのカスタムカーイベントは、百貨店など大きな駐車場で開催される、オーナーズミーティング形式のものが多いですが、特定の車種だけが集まるのではなくバリエーションは多彩です。

近年は2年に1回開催される「バンコクホットロッドカスタムショー」(Bangkok Hot Rod Custom Show)というイベントに協力しています。
──どちらのイベントも盛大に開催されるのを楽しみにしています。ありがとうございました!