この記事をまとめると
■クルマの「ブレーキ」とひと口にいってもさまざまな種類がある



■ハイブリッド車やEVには回生ブレーキというシステムが存在する



■大型トラックにはエアブレーキやリターダーといった専用装備が用意される



「ブレーキ」と呼ばれる機能はたくさんある

乗用車を使う我々が知るブレーキは、油圧を使ったフットブレーキと、駐車したときに使うパーキングブレーキだ。パーキングブレーキは、かつてサイドブレーキといわれることもあった。



油圧ブレーキは、ブレーキペダルを踏むと、マスターシリンダー内のピストンが動いて、ブレーキフルードが押され、配管を伝って車輪側のピストンを動かし、パッド(ドラムブレーキならブレーキシュー)が押され、ローター(ドラムブレーキならドラム)に押し付けられ、摩擦によって熱が生じ、その熱を大気に放出して走行エネルギーを捨てていく。



足で踏むフットブレーキ以外にも沢山存在! この機会に覚えたい...の画像はこちら >>



パーキングブレーキは、駐車したときにクルマが勝手に動いてしまわないようにする機能で、かつては主たるフットブレーキと区別して、サイドブレーキといい、操作レバーを引いたり、パーキングブレーキ用のペダルを踏んだりすると、ワイヤーが引っ張られ、それによってパッドがローターに押し付けられて、クルマを固定していた。現在は姿勢制御などの導入により、ブレーキがバイワイヤー(電気配線)で機能しているため、電気信号で作動を促す車種もあり、サイドブレーキといういい方はされず、パーキングブレーキと一般にいわれる。



足で踏むフットブレーキ以外にも沢山存在! この機会に覚えたいクルマの「ブレーキ」の種類を一気に整理した
パーキングブレーキが作動している様子



これらのいわゆるブレーキ装置とは別に、エンジンブレーキや回生ブレーキという言葉もある。



エンジンブレーキは、アクセルを戻すことでエンジンの抵抗が働いて減速する機能をいう。ただし、変速機のギヤが1速とか2速などのように、ギヤ比の大きな組み合わせで効果を発揮し、ギヤ比の小さな上のギヤの組み合わせでは効果が薄れる。



回生ブレーキは、同じくアクセルペダルを戻した際に、駆動用モーターが発電機に機能を切り替え、その磁力が抵抗として働き、速度を落とすことをいう。アクセルペダルの戻し加減により、強弱をつけられる。



足で踏むフットブレーキ以外にも沢山存在! この機会に覚えたいクルマの「ブレーキ」の種類を一気に整理した
回生ブレーキが作動している様子



大型トラックには排気ブレーキという機能が存在する

商用車では、中型以上の大型トラックなどで採用されるエアブレーキがある。言葉どおり、空気の力で作動するものだ。ことに大型トラックは、荷物を満載したときと空荷のときで重量が何トンも違ってくるので、満載時のブレーキ性能を重視したのがエアブレーキだ。



空気をポンプで圧縮し、これを貯めておき、油圧ブレーキのブレーキフルードと同じように高圧空気を車輪側のブレーキ装置へ送って、パッドやブレーキシューを動かして制動する。



足で踏むフットブレーキ以外にも沢山存在! この機会に覚えたいクルマの「ブレーキ」の種類を一気に整理した
大型トラックのブレーキ



余談ではあるが、空気を使って減速し、止まるという意味では、車体の後端などに翼を設け、減速時にこれをもち上げて抵抗とし、速度を下げることに使う場合もある。

ただしこれは、市販車というより、レース車両や速度記録に挑戦するクルマの場合で、たとえば米国のドラッグレースでは、ゴール後にパラシュートを開く事例もある。



そのほか、商用車の減速機能として、大型トラックではリターダという仕組みがある。ブレーキの補助機能で、排気ブレーキとして知られる。これは、排気バルブを閉じることで生じるディーゼルエンジンの抵抗を使い、ガソリン車のようなエンジンブレーキを利かせる仕組みだ。あるいは磁石を使い、駆動輪に動力を伝えるプロペラシャフトに抵抗を与え、減速に利用する方式もある。これらにより、エアブレーキの効果を高めることができる。



足で踏むフットブレーキ以外にも沢山存在! この機会に覚えたいクルマの「ブレーキ」の種類を一気に整理した
リターダーのイメージ



大型トラックには、何十トンという総重量に耐えるブレーキ機能があるが、それでも停止するまでには余分の制動距離が必要になる。大型トラックやトレーラーが、高速道路などで車間距離を開けて走行するのはそのためだ。その直前に乗用車が車線変更で入り込むと、万一のときには止まり切れない可能性がある。



また、満載と空荷で重量差の大きい大型トラックは、ブレーキの利き方も変わるので、熟練した運転技量が求められる。

編集部おすすめ