この記事をまとめると
■クルマの車名とはマニアからすればそのキャラクターを表す重要な要素でもある■有名なモデルの車名を冠するも中身はまったく異なるクルマが存在する
■なかにはメーカーの事情で生まれたモデルもある
名前で期待して実物を見るとガッカリ……?
クルマの車名というのはタイプを識別するためのものだけというワケではなく、クルマ好きからしてみればそのキャラクターを1発で表してくれるものとなっている。
しかし、なかには付けられた名前と中身がまったく異なるモデルも存在しているのだ。今回はそんな名前と中身がアンバランスになっていたモデルたちをご紹介しよう。
日産 ローレルスピリット
ハイオーナーカーとして登場したローレルは、当時としては異例の商用モデルを持たない高級車となっていた。そんなローレルを取り扱っていた日産モーター店のラインアップを拡充するモデルとして、1982年に初代モデルがリリースされたのが「ローレルスピリット」だった。
4ドアセダンというボディタイプこそローレルと共通だったが、エンジンは4気筒のみ、駆動方式は前輪駆動とローレルとは別モノで、中身は当時のサニーと共通のものだったのだ。

ただツートンカラーや立派なグリル、サニーよりも豪華な内装などが意外にも受け入れられ、1986年には2代目モデルが登場するほどのスマッシュヒットを記録した。
トヨタ・マークIIクオリス
ローレルと同じくハイオーナーカーとして人気を博したマークII。そのステーションワゴンモデルとしてはマークIIワゴンが存在していたが、1990年代に入ってもなお、1984年に登場した70系をベースとしたものが継続販売されていた。

そこで1997年に新たにマークIIの名を冠したステーションワゴンとして登場したのがマークIIクオリスで、フロントマスクなどは当時の現行型であった100系に近いものとなっていた。
しかし、中身は前年に登場したカムリグラシアワゴンと共通の前輪駆動レイアウトで、エンジンも当然ながら横置きレイアウトで直列6気筒エンジンは搭載されていない。一応マークIIの名前を冠するということで、カムリグラシアワゴンには設定のない3リッターV6エンジンが用意され、マークIIらしさはアピールされていた。

販売チャンネルの都合で生まれたクルマも
トヨタ マークXジオ
マークIIの名前を冠しながらも前輪駆動レイアウトだったマークIIクオリスのあと、しっかりマークIIのメカニズムを流用した本家マークIIワゴンとしてマークIIブリットをリリースしていたトヨタだったが、マークIIがマークXとなったあとの2007年にリリースしたマークXジオは、再び前輪駆動レイアウトに戻ってしまっていた。

そもそもマークXジオのもととなったのは、2005年の東京モーターショーで発表された「フレキシブル・サルーン・コンセプト(FSC)」であり、3列シート仕様も用意されるなど、そのキャラクーがマークXとは異なっていたため、なぜマークXの名前を冠されたのか不思議なほど。

そのため、エクステリアのデザインもマークXらしさを与えようとしている感はあるものの、知らない人が見たら同じ名前を冠しているとは思えない個性的なスタイルとなっていた。
ホンダ・インテグラSJ
1990年代のインテグラというと、3ドアクーペと4ドアハードトップセダンのボディをもち、タイプRに代表されるスポーティな走りを楽しむことができるモデルというイメージが強いだろう。そんなインテグラの名前をもちながらもスポーティさとは無縁の、実用4ドアセダンとして1996年2月にリリースされたのが、インテグラSJというモデルだった。

当時のインテグラは1.6~1.8リッターエンジンを搭載していたため、それよりも小排気量な1.5リッターエンジンを搭載するモデルとして投入され、メカニズム的には6代目シビックのセダンモデルであるシビックフェリオのものを使用していた。
これは当時の販売店であるホンダベルノ店に1.5リッタークラスのセダンが存在しなかったことによる措置であったが、残念ながら人気車種の仲間入りを果たすことはできずに1世代のみで姿を消すこととなっている。