この記事をまとめると
■燃料タンクが大きければそのぶん航続可能距離は伸びる傾向にある



■計算上満タンで1000km以上走れるモデルが国産車には数モデル存在する



■スポーツカーは燃費がよくないのでランニングコストが高い傾向にある



燃料タンクは大きいほうがいい?

スバルが国内向けモデルとしてストロングハイブリッドを初搭載したクロストレックのワンタンク航続距離(燃料タンク容量×WLTCモード燃費値)が同社として初めて1000kmを超えたことが話題となりました。



燃費性能に優れたストロングハイブリッドと、63リットルへ容量アップした燃料タンクのコンビネーションが、この航続距離を実現しているわけですが、燃費改善はともかく、タンクを大きくして航続距離を伸ばすというのはあまりにも力技と感じた人もいるかもしれません。仮に燃費性能が変わらなくてもタンク容量を増やせば、ワンタンク航続距離が伸びるのは当たり前だからです。



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しかしながら、タンクを大きくするということは、給油の機会が少ないシチュエーションで運用するクルマにおいては生き残るために重要な性能ともいえます。その代表格といえるのが、トヨタ・ランドクルーザー70でしょう。



クロストレックS:HEVが「航続距離1000km超え」ってガソリンタンクがデカいからじゃん! それでも「航続距離が長い」は正義だった
トヨタ・ランドクルーザー70のフロントスタイリング



その燃料タンク容量は、なんと130リットル。国産乗用車では圧倒的なスペックを誇ります。ランドクルーザー70のパワートレインは2.8リッターディーゼルですから、使用燃料は比較的安価な軽油になりますが、軽油160円/Lで計算してもガス欠ギリギリから満タンへするのには2万円超のコストが必要になるという大食漢なのです。



ただし、ランドクルーザー70に求められる性能が、「どこへでも行けて、どこからでも帰ってこれる」ことだとすると、このタンク容量は理解できます。給油のできない環境でサバイブするには、大容量タンクは必須といえるからです。ランドクルーザー70のWLTCモード燃費は10.1km/Lでワンタンク航続距離は1313kmとなっているのも、そうしたサバイバル性能の高さを感じさせます。



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トヨタ・ランドクルーザー70が岩場を走行している様子



ちなみに、ランドクルーザーのフラッグシップである300系のタンク容量は、ガソリンターボ、ディーゼルエンジンとも80リットル。基本メカニズムを共通とするレクサスLX600も同じタンク容量となっています。



ガソリンターボはハイオク指定なので、ほとんど空の状態から満タンにすると1万5000円を超える(ハイオク192円/Lとして計算)ことになります。なお、ランドクルーザー300のガソリンターボはWLTCモード燃費で7.9km/Lですから、ワンタンク航続距離は630km程度。

一方、ディーゼルのWLTCモード燃費は9.7km/Lなのでワンタンク航続距離が770km超となります。



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トヨタ・ランドクルーザー300の2台並び



乗用車もハイブリッドと組み合わせればロングランOK

荒野を駆け抜けるという意味でランドクルーザー70のライバルといえる三菱トライトンの諸元をみると、タンク容量75リットル、WLTCモード燃費11.3km/Lなのでワンタンク航続距離は850km弱となります。この点に注目すると、トライトンのサバイバル性能はランドクルーザー300系を上まわっているといえるのかもしれません。



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三菱トライトン(3代目)の走行写真



ワンタンク航続距離でいえば、マツダのフラッグシップCX-80も見逃せません。タンク容量は74リットルながら、ディーゼルハイブリッドのWLTCモード燃費は19.1km/Lとなっていますから、計算上のワンタンク航続距離は1400kmを超えてくるのです。CX-80をガス欠ギリギリから満タンにすると1万円を超える支払いが必要になりますが、それで1000km以上走れるのであれば、コスパのいいSUVモデルと感じるのでは?



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マツダCX-80のフロントスタイリング



逆にランニングコストで厳しさを感じるのはタンクの大きなスポーツカーやクーペでしょう。レクサスLC500は5リッターV8エンジンでWLTCモード燃費は8.4km/L。タンク容量は82リットルですから、空っけつ状態から満タンにすると1万5000円以上かかりますし、しかもそれが700km足らずごとにやってくることになります。



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レクサスLC500コンバーチブルの走行写真



日本を代表するスーパースポーツ、日産GT-RのWLTCモード燃費は7.8km/Lで、燃料タンク容量は74リットル。タンクは大きめですが、ワンタンク航続距離は580km弱となりますので、平凡な航続性能といえますし、こまめに1万円以上を給油しているのでランニングコストに厳しい印象が強くなりそうです。



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日産GT-R(2025年モデル)のフロントスタイリング

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