東京オリンピックの開催が日本のモータリゼーションの発展に寄与
東京オリンピック・パラリンピックの開幕まで1年を切っている。1964年に開催された東京大会でもオリンピックとパラリンピックは併催され、理念の面で日本人の意識に影響した大会だった。
それだけではない。
さて、日本が初めて自国開催となるオリンピックに沸いた1964年に誕生した国産車とはどのようなモデルがあったのか。その中から代表的な5台をピックアップして、前回の東京オリンピック・パラリンピックが開催された時代を振り返ってみよう。
1)国産初のV8エンジンを搭載した「トヨタ・クラウンエイト」
トヨタのフラッグシップとして誕生した「クラウンエイト」はその名のとおり、V型8気筒エンジンを搭載したスペシャルなクラウン。センチュリーが誕生するのは1967年ゆえ、このクルマは国産乗用車初のV8エンジン搭載車でもあった。パワーウインドウやコンライト(オートライト)を標準装備、オプションとして国産初のクルーズコントロールとなる「オートドライブ」も用意された。
ちなみにV8エンジンの総排気量は2599cc、2019年の感覚では4気筒で実現しそうな排気量だった。このモデルが、のちにセンチュリーにつながったという見方もできるが、1964年にして1845mmという世界基準の車幅を有していたことを考えると、レクサスLSのルーツとして捉えることもできそうだ。
2)日本で初めてGTを名乗る「いすゞ・ベレット1600GT」
五輪の開催に合わせて高速道路が整備されたことにより、クルマはスピードを出せる乗り物となり、単なる移動の手段から趣味性のある乗り物というポジションになっていった。スポーティなクルマを求めるユーザーが増えてきたのが、この時代だ。そして日本車としては初めて車名に「GT」を使ったのが、1964年に誕生したベレット1600GT。
生産していたメーカーは、いすゞ。
もう二度と現れないであろう「日野」の美しい乗用車も誕生
3)伸ばしたノーズに6気筒を積む「日産スカイライン2000GT」
日本車を代表する伝統のモデル、スカイラインを生み出したのは「プリンス自動車」だった。のちにプリンス自動車が日産自動車に吸収されても、スカイラインという名前が残ったのは、消滅させるにはあまりにも惜しいだけのネームバリューがあったからだ。そして、その要因となったのが、1964年に追加されたスカイライン2000GTだ。
当時は1.5リッター4気筒エンジンを積んでいたスカイラインのホイールベースを伸ばし、2リッターの直列6気筒を強引に載せたのはレースに勝つため。ターゲットである日本グランプリでの結果は勝利ではなかったが、わずかな時間ながらポルシェの前を走ったということが伝説を生み出した。1964年に6気筒エンジンを積んだスカイライン2000GTが生まれたことは、いまにつながるスカイライン伝説の始まりになったのだ。
4)チェーン駆動により独立懸架を実現「ホンダS600」
軽自動車で四輪の生産を始めたホンダが、初めて市販した登録車はオープンカーの「S500」だったが、そのデビューから半年足らずで排気量アップした「S600」を登場させている。名前のとおり、エンジン総排気量は606ccへとスープアップされた。もちろんヘッドはDOHCで、当時としては精密機械が載っているようなものだった。しかも最高出力は8500rpmで発生するというのだから、驚異的なエンジンだった。
駆動レイアウトはFR(フロントエンジン・リヤドライブ)。
5)流麗なボディのリヤにエンジンを積む「日野コンテッサクーペ」
いまでは商用車専業となったいすゞのベレット1600GTも紹介したが、やはりバスやトラック専業メーカーとなっている日野自動車も、この当時は乗用車を生産していた。そのなかで、いまも語り継がれる名車が1964年に誕生した2代目の「コンテッサ」だ。
イタリアのミケロッティがデザインした美しいボディのセダン(9月発売)とクーペ(12月発売)を用意したが、リヤがスーッと伸びやかなスタイルのクーペの評価はいまも高い。
エンジンは、そのリヤエンドに搭載したRR(リヤエンジン・リヤドライブ)レイアウトだったのもコンテッサの特徴。そのエンジンは総排気量1251ccの直列4気筒OHV、リヤエンド全面をグリル形状としてそこから風をファンで吸い込むことでラジエターを冷却した。

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