国産車では具体的な数字の表記がないものも多い
ほとんどのクルマについている水温計。国産車の場合、「C」(クール)と「H」(ホット)の表記はあるが、具体的な温度は示されず、適温(70度~90度ぐらい)までは、水温計の針は真ん中ぐらいで動かない……。
昭和50年代ぐらいまで、オーバーヒートはわりと身近なトラブルだったので、水温計を注視している人も多かっただろうが、いまのクルマでオーバーヒートの症状が出るのはかなりなレアケース。
しかし、警告灯が点いたときには、「即座に停車せよ」というレベルなので、その予兆を知るためにも、水温計はやはりあった方がいい。後付けのきちんと水温が数字で表示される水温計をつけている人ならわかると思うが、走行中のクルマの水温はけっこう変わる。

エンジンにとって、最適な水温は65度~85度ぐらいだが、それ以上になると、エンジンを守るためにリタード(点火時期の遅角)が入り、パワーとトルクをセーブし、エンジンの負荷を減らす制御が入る。それでも通常走行には大きな支障はなく、夏場の渋滞などに巻き込まれると、100度ぐらいになることも珍しくない。
100度を超えても冷却水はすぐに沸騰しない
100度といえば、水の沸点なので、オーバーヒートが始まっているようにも思えるが、クルマの冷却水はエチレングリコールが主成分のLLCが入っているので、真水よりは沸点が高くなっている。ラジエターキャップで圧力もかかっているので、短時間なら105度ぐらいまでは問題ない。

JAFのテストでは110~115度ぐらいで、LLCがリザーバータンク内に吹き出し始めたというデータがあるので、115度を越えたらオーバーヒートと考えていい。そういう意味で、ワーニングの目安は105度ぐらい。
もし100度を越えたら、前走車と距離を開けて、ラジエターに風が当たるようにするか、クルマを安全な場所に止めて、ボンネットを開け、ヒーターを全開にするなどの対策が必要だ。

このときもし冷却ファンが回っていなかったら、すぐにJAFなどを手配すること(電動ファンの故障や、ファンベルトのトラブルの可能性がある)。また、最近のクルマの水温の警告灯には、オーバーヒートを知らせる赤の表示と、水温が低い状態を知らせる青の表示もついている。

この青の表示、あるいは水温が40度以下のときは、まだ暖機が終わっていないので、エンジンを高回転まで回したりしないよう気をつけよう。さらに余談だが、EVにもモーターやインバーターを冷やすためにラジエターはついているので、どのクルマも水温の管理は重要だ。
