最低速度が指定される区間も存在!

2019年はあおり運転がずいぶんと話題になった。周囲に危険を感じさせるような「あおり運転」を批判しつつも、その原因となる無理な割り込みや極端な低速走行についても厳しく検挙すべき、という声もあがっている。では、一般道において制限速度・指定速度以下で走行した際の罰則はあるのだろうか?



道路交通法では一般道に法定最低速度を定めていない。

どんなにゆっくり走っても構わないというのが道路交通法の基本だ。ただし、一般道であっても道路標識によって最低速度が指定されている区間においては、標識を下回る速度で走ることは違反となる。なお、最低速度の標識は、速度の数字にアンダーバーが付いているもので、見慣れていないと制限速度の標識と見間違えてしまうかもしれない。



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言うまでもなく、一般道というのはさまざまな車両が走行している。50cc以下のエンジンを積む原付バイクは最高速度が30km/hに制限されているし、農耕用などの小型特殊自動車は最高速度が15km/hとなっている。こうした車両も走行するのが一般道であり、さらに、自転車も基本的には道路を走るべき車両だ。自転車といってもさまざまでスピードの出せるロードバイクもあるが、電動アシストタイプでは24km/hを境にアシストがなくなるようになっている。現実的には小型特殊自動車と同じ程度の速度といえる。



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つまり、仮にすべての一般道で最低速度を設定するとしたら、小型特殊自動車やシティサイクル(いわゆるママチャリ)などを基準とすることになるだろう。つまり、四輪車からするとほとんど意味のない制限になる。



また、クレーン車などの大型特殊自動車については自主規制で最高速度が49km/hとなっている(後述する高速道路の最低速度を満たせないという意味)。このように最高速度が制限されている車両も混在している中で、安易に最低速度の設定を主張するのは非現実的だということが理解できよう。



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他人に危害を及ぼさない速度での走行が義務付けられている

なお、対面通行でない高速道路については法定最低速度が50km/hと定められている。50km/h以下で走行することは危険というわけだが、もちろん渋滞時に50km/hを下まわっているからといって違法状態というわけではない。なお、首都高などの都市高速や対面通行の高速道路区間においては最低速度が定められていないため、クレーン車のような大型特殊自動車が走行することは可能だ。



というわけで「一般道を遅すぎる速度で走っても良いのか」というクエスチョンに対する回答は、最低速度が指定されていない道においては何km/hで走っても違反ではない、というのが答えになりそうだ。ただし、すべての運転手には「安全運転の義務」が課されている。



該当する道路交通法の文言を抜き出せば以下の通りだ。



(安全運転の義務)



車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。



他人に危害を及ぼさない速度というのは、スピードの出し過ぎを戒める文言と理解できるが、遅すぎて危害を及ぼすような速度で走ることもNGと読み取れる。交通の流れを妨げ、なんらかの危険につながることは、ドライバーの義務に反するといえる。



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スムースな交通の流れこそアクシデントが少なく、燃費にもいい走行環境である。真に安全意識の高いドライバーであれば、最低速度の指定がなくとも交通の流れを妨げないような走り方をすべきだ。それが「安全運転の義務」を果たすことにもつながるといえる。

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