ライバル同士であるからこそ価格は割安に設定されている
最近はSUVの人気が高まっているが、ファミリーカーの代表はミニバンだ。今は大半の車種の全高が1700mmを上まわり、後席側のドアはスライド式だから乗り降りもしやすい。
とくに全長が4700mm前後のミドルサイズミニバンは、3列目シートにも余裕があり、多人数乗車も快適だ。
2019年にミドルサイズミニバンの販売1位となった日産セレナは、1カ月平均で7746台を登録している。トヨタ・ヴォクシー/ノア/エスクァイアの3姉妹車は、全車を合計すると、1カ月平均で1万5265台を売った。小型/普通車で車名別販売1位のトヨタ・プリウスが、1カ月平均で1万466台だから、ヴォクシー系3姉妹車の売れ行きは凄い。
そしてセレナ、ヴォクシー系3姉妹車、ステップワゴンは、激しい販売合戦を展開するライバル同士だから、価格を競うように割安に抑えている。この3モデル間で、値引き額や下取り車の査定額などを競争させ、購入条件を好転させると良い。
1年間の走行距離が1.5万km以下ならハイブリッドはNG?
ライバル同士だからグレード構成も似ている。3モデルのすべてに、ノーマルエンジンとハイブリッド、5ナンバーサイズの標準ボディと3ナンバーサイズのエアロパーツ装着車がある(エスクァイアは標準ボディのみ)。
そこで推奨されるグレードはエアロ仕様だ。
セレナの場合はエアロパーツを装着したハイウェイスターに複数のグレードを用意するが、装備の充実度と価格を考えると、ノーマルエンジンのハイウェイスターV(298万6500円)かハイブリッドのe-POWERハイウェイスターV(349万9100円)になる。価格はe-POWERが51万2600円高いが、購入時に納める税金は4万7300円安く、実質差額は46万5300円に縮まる。
そこで実用燃費をJC08モードの85%、レギュラーガソリン価格を1リッター当たり150円で計算すると、1km当たりの走行コストはハイウェイスターVが10.6円、e-POWERハイウェイスターVは6.7円だ。
ヴォクシー系3姉妹車(買い得グレードはヴォクシーの場合でノーマルエンジンのZSとハイブリッドZS)、ステップワゴン(買い得グレードはスパーダホンダセンシングとe:HEVスパーダGホンダセンシング)についても、同様のことが当てはまる。
従って純粋に損得勘定で決めるなら、ハイブリッドは1年間に1万5000km以上を走るユーザーに推奨される。そうなればハイブリッドの価格上昇分を8年程度で取り戻せるから現実的だ。逆に1万km以内の場合は、ハイブリッドの価格上昇分を燃料代の差額で取り戻せず、ハイブリッドは割高でノーマルエンジンが割安になる。
ただしハイブリッドはモーター駆動を併用するから、加速が滑らかになったり、ノイズも抑えられる。