構造上安全面でスライドドアのほうが有利
不思議に思うのが、ヒンジドア、つまり横に開くドアにはなぜ電動がないのかということ。スライドドアはいまや軽自動車でも電動だ。さらにクルマはドア以外でも快適装備のアイディア出しにしのぎを削り、過剰ともいえるおもてなしに邁進しているのに、ヒンジドアだけは電動化されない。
じつはサプライヤーレベルではかなり完成されていて、もしかしたら国産車でも2020年中に採用されるかもしれない状況まできているようだが、それでも確実ではなく、やはりハードルは大きいようだ。
まず問題なのが、安全性。スライドドアで電動化が進んでいるのは安全だから。厳密に言えば、路肩でキワキワに止めて開けるとスライドドアを開けたときにガードレールにガリガリと当たることはあるが、基本的には安全だ。開けたところで、自転車やバイクをひっかける可能性はかなり低い。逆にヒンジドアだと横に開いてしまうので危険。
構造的な難点としてはスペースが限られてしまうこと。スライドドアはもともとレールの部分が大きいのでモーターなどを組み込みやすいが、ヒンジドアはピラーに付けられているのでスペースが少ない。ドア側に入れるとしても空間的に厳しい。
乗用車への採用も見えてきている
さらに細かいところでは、ただ電動で開いたり、閉まったりするのではダメ。ヒンジドアの場合、少しだけ開けたい、もうちょっと開けたいなど、細かい位置での停止が重要になったりする。
ちなみにタクシーにはすでに採用されているのはご存じのとおりだが、構造的にはアナログで、操作もドライバーが安全確認をしたうえで行なう。
以上のデメリットを、センサー技術やユニットの小型化などでクリアしているというのが現状で、そのため乗用車への採用も見えてきたという。とくに360度監視する最近の安全装備とリンクさせればなおさら実現度も高い。
そもそもヒンジドアは、各車どれぐらい大きく開くかを競争してきた面もあり、なかには90度近く開く場合もある。そうなると乗り込んでからドアを閉めるのはひと苦労。高級車でのおもてなし装備としてだけでなく、実用面でも電動化というのは意義があることになる。アイディアが出尽くした感もある快適装備のなかで、ヒンジドアの電動化は残された大きな分野なのかもしれない。

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