100年前のクルマに乗ることも不可能ではない
クラシックカー、ネオクラシック、旧車……カテゴリーも細分化され、さまざまな呼び名もある旧車の世界。古いモデルに魅力を感じ、旧車を愛車としてカーライフのパートナーにしたいと考えているならば「どの程度、日常使いに対応できるのだろうか」ということを考えるだろう。はたして、日常使いに耐えられるのはどの程度の年式が限界だろうか?
結論からいえば100年前のクルマ、たとえばフォード・モデルTであっても日常使いは可能だ。
こうしたモデルにナンバーをつけて公道を走ることは可能なのだ。もちろん、しっかりと整備されて車検をクリアすることは条件となるが、車検の基準というのは古いモデルについては当時の基準(100年前には保安基準はなかった)を適用するため、現在の基準に合わないクルマでもナンバーを取ることができる。シートベルトがなくても、排ガスが駄々洩れでも公道走行可能である。
その意味では日常使いは不可能ではない。ただし、これだけのクラシックカーを毎日のように乗っていることがストレスにならないかといえば疑問もある。キャビンはほぼむき出しで空調は当然ながらないため夏の暑さは厳しいだろうし、雨の日の視界にも不安はある。
30年前のモデルあたりが現実的といえる!
国産車でいえばトヨタ2000GTや初代日産スカイラインGT-Rといったモデルは、まさに旧車として人気が高い。こうした50年以上前のモデルも、しっかりとメンテナンスを施しておけば日常的に使用することは可能といえる。
エアコンを装備したクルマがいいとなれば、バブル期のヴィンテージイヤーと呼ばれた1989年生まれのモデルならば余裕で街乗り可能。具体的にいえばR32・GT-R、初代ユーノス・ロードスターあたりは誕生から30年以上を経ても街なかで見かけることは珍しくない。

ただし、いずれのケースでもしっかりとメンテナンスできていることが日常使いを可能とするための条件となる。
また、毎日のように乗るということは部品の交換サイクルも早くなる。補修部品の入手が容易なクルマでなければ、日常的に乗ることは難しいだろう。ちなみに、T型フォードくらいになるとファンも多く、逆に部品の入手性には有利だという。とはいえ、旧車に通じたメカニックの存在は欠かせない。ただ、クルマを持っているのではなく、腕利きメカニックや信頼できるショップ、メンテナンスガレージとのコネクションもなければ維持は難しい。

こうしたことは50年前のクルマ、30年前のクルマでも同様。メジャーなモデルであれば、メーカー自身が補修パーツを再生産してくれるようになっているが、逆にマイナーモデルでは補修部品がほとんど手に入らないというケースもある。メンテナンス環境を考えると、ある程度はメジャーなモデルでなければ厳しいといえる。
このように適切な環境を用意できれば100年前のクルマを毎日のように乗ることはできるだろう。

そう考えると、実際に日常使いをしようと思ったら、30年前のモデルあたりにとどめておくのが現実的といえる。それでも古いクルマということで車両保険に入れなかったり、もし交通事故の被害者となっても十分な補償が得られないケースもある。そうしたネガをカバーするクラシックカー専用の自動車保険(https://www.chubb.com/jp-jp/individuals-families/classic-car.aspx)もあるので、旧車を日常使いしようというのであれば、そうした部分も考慮することをおすすめしたい。