電気式4WDシステムやEVとHVの機能を持ち合わせたものも
今、世界的にブレークし、大人気なのがSUVやクロスオーバーSUV。しかし、SUVは大きく重く、燃費が悪い。悪路走破性に優れてはいるのだろうけど、オンロードでの走行性能に不満がある……という先入観を持っていないだろうか。
1)トヨタRAV4
その筆頭が、2019-2020年日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝いたトヨタRAV4だ。そのハイブリッド版の4WD機構は、ガソリンエンジン車のアドベンチャーグレードに採用された新型RAV4のために新開発された世界初の「ダイナミックトルクベクタリングコントロール」ではなく、トヨタHVのお約束ともいえる、前輪駆動状態と4駆駆動状態を自動的に電子制御するおなじみのE-FOUR(電気式4WDシステム)。しかし、最低地上高190mmの余裕もあり、極悪路走行の経験からも、一般的なアウトドア派には十分すぎるオフロード性能の持ち主だ。
アドベンチャーグレードに対する優位性もある。まずは小回り性の目安になる最小回転半径が、19インチタイヤを履くアドベンチャーグレードの5.7mに対して、17/18インチタイヤを装着するHVモデルは5.5mに。Uターンや狭い道の右左折はもちろん、幅寄せを含む駐車もよりしやすくなるというわけだ。
オンロードの走行性能も文句なし。2.5リッターエンジン+2モーターのハイブリッドは、出足やクルージング時のモーター走行による一段と静かでスムースな走行感覚加速性能が魅力。SUVというより高級サルーンに乗っているかのような錯覚を覚えるほど。
しかも、HVモデルにはガソリン車にないAC100V/1500Wコンセントがラゲッジルームに用意され、1500Wまでの家電品を車内外で使えるあたりも、アウトドア派にはたまらない魅力・便利さになる。また、災害時の電源供給車としても活躍してくれること間違いなしである。
そして極めつけが、実燃費。
2)三菱アウトランダーPHEV
世界でもっとも売れているPHEVでもあるアウトランダーPHEVも、全方位に優れたミッドサイズのSUVだ。PHEVとはプラグイン・ハイブリッド・エレクトリック・ビークル(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)の略で、EV、つまり三菱自動車の十八番のモータードライブの電気自動車を基本に、外部電源からの充電に対応したEVとHV(ハイブリッド)の両方の機能を持ち合わせる次世代自動車。
基本はモーターで静かに滑らかに走る電気自動車であり、大容量バッテリーによってモーターだけで走れるEV走行距離が長い。ピュアEVと違ってエンジンを搭載しているため、外部充電ができるだけでなく、走行中に2.4リッターアトキンソンサイクルのエンジンで電気を発電することも可能。つまり、電欠の心配なし。ガソリンが入っている限り、どこまでもモーターで走ることができるメリットは絶大だ。EV航続距離は最新モデルの場合、65.0km(JC08モード)に達している。
もちろん、パジェロなどで悪路走破性に定評ある三菱のSUVであるため、オフロード性能もばっちり。三菱自動車自慢の悪路や雪道で絶大なる威力を発揮するS-AWC=本格4WD機能を備え、4輪をモーターで駆動する。しかもPHEVだけに、車載の100V/1500Wコンセントから電気を取り出し、車内外で家電品が使えるとともに、家庭への給電も可能。その給電はV2Hという機器でクルマに蓄えた電気を家で使う仕組みのことで、満充電のバッテリーのみで一般家庭の約1日分、バッテリーと満タンのガソリンがあれば最大約10日分の電気がまかなえるから超便利・超安心である。
そんなアウトランダーPHEVは、オンロードでの走行性能も素晴らしい。高速道路の安定感はばっちりで、矢のように直進してくれることはもちろん、山道ではハイレベルなシャシー性能、クイックなステアリングの操作性、キビキビしながらもウルトラスムースに曲がる操縦性の良さが際立ち、カーブを意のままに走れるトレース性能、しなやかなフットワークテイスト、4輪をモーターで駆動する安定性を発揮してくれるのである。
前後ツインモーター4WDの車両運動統合制御システム「S-AWC(SUPER ALL WHEEL CONTROL)」には、ふたつのドライブモード=「SNOW」モード、「SPORT」モードもあるから、走り方は自在。地震・災害大国の日本でもっとも頼りになる1台と言っていい。燃費性能がズバ抜けていいことは、もちろんだ。
オールラウンダーなコンパクト&ミニマムSUVも存在!
3)ダイハツ・ロッキー/トヨタ・ライズ
RAV4やアウトランダーPHEVほどのサイズはいらないけれど、オールラウンダーなコンパクトSUVがほしい、というなら、今、売れすぎのトヨタ・ライズ、そしてダイハツ・ロッキーという兄弟コンパクトSUVがイチ押しだ。5ナンバーサイズかつ高めの視界、小まわり性の良さで、日常から狭い悪路まで走りやすさ抜群で、4WDを選べば、最低地上高185mmの余裕で、オフロードも安心して走破できるのだ。4WD機構はRAV4のガソリン車のベースとなるダイナミックトルクコントロール4WDなのだから頼りになる。
そんなロッキー&ライズは、オンロードでの走りやすさが際立つ。ステアリング、ペダル類などの操作性が軽く、トルキーな1リッターターボエンジンと出来のいい最新のCVTによって、日常域、アクセルペダルをゆっくりと踏んだ場面では、想定外のスムースさやトルク感を伴い、スルスルとスペック以上に力強く加速。SUVを始めて経験するユーザー、老若男女問わず、誰もが走りやすいと感じるはずだ。
乗り心地に関しては、ここだけの話4WDが優れている。
4)スズキ・ハスラー
オフロード性能はもちろん燃費やオンロード性能も兼ね備えた、カンペキなミニマムサイズのSUVと言えば、新型ハスラーが挙げられる。個性的で遊び心満点のデザイン、カラフルなボディカラーによって、毎日の生活を楽しくわくわくさせてくれる軽自動車、というイメージが強い。だがじつは初代ハスラーが登場したきっかけは雪国のユーザーの要望からだ。
そう、ハスラーは2WD/4WDともに最低地上高180mmを確保し、お薦めの4WDモデルには先代からある滑りやすい路面や悪路、急な下り坂で威力を発揮するグリップコントロール、ヒルディセントコントロールに加え、新たにスノーモードを追加。オフロード性能は、ジムニーなど特殊なクロカンモデルを除けば、軽自動車トップレベル、本格的なオールラウンダーなのである。
しかも、前後席のシートのかけ心地の良さ、路面を問わない乗り心地の良さは軽自動車最上級、どころか下手な上級車をしのぐほど。ターボモデルには渋滞追従機能付きのACCまで備わり、片道200キロぐらいのロングドライブも快適にこなしてくれるから最高だ。もちろん、実燃費も文句なしのレベルにあり、4WDでも20km/L以上はいく実力だ(筆者の3名乗車時の最高値は一般道、高速道路、山道を含む約350キロ走行で21.6km/L)。このサイズでいいなら、まさにカンペキなSUVとして使えるだろう。

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