近い将来ETCゲートの無人化が実施される可能性は高い

なぜ、ETCのバーはなくならないのか?



ETCとは、エレクトロニック・トール・コレクションシステム。自動料金徴収システムのことだ。この「トール」とは英語で、通行料金を意味する。



日本でETCが本格導入されたのは、いま(2020年9月)から約19年前の2001年だ。一般財団法人 ITSサービス高度化機構によると、直近の2020年8月でETC・およびETC2.0の全セットアップ件数の累計は、9966万9029台。自動車保有台数は約8200万台なので、ETCの普及はかなり進んでいることが分かる。



ETCが当たり前の世のなかになり、大きく変わったこと。それは、料金所での渋滞が大幅に緩和されたことだ。



とはいえ、いまだにETCゲートにはバーがあるため、時速20km以下に減速する必要があり、またETCゲート設置場所の前後で道路幅が大きく変わることもあり、交通量が増えると慢性的な渋滞を引き起こす場合がある。



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ETCゲートのバーは、ETCカードの期限切れや、ETCカードの入れ忘れ、または故意に無賃通過しようとする場合を考慮して、装着されている。



また、現金やクレジットカードで支払う場合、有人ゲートでは当然、支払いが完了するまでETCバーは開かない。



国は2020年7月に、ETCゲートの完全無人化に関する有識者会議を始めており、近い将来にはまず、ETCゲートの無人化が実施される可能性が高まっている。



シンガポールにはバーどころかゲート自体もない

海外に目を向けると、ETCのようなシステムでバーどころか、ゲート自体もないケースもある。代表的な例は、シンガポールだ。



これは、高速道路ではなく、市街地での時間・曜日のよる通行課金システム。

いわゆる、渋滞税と呼ばれる都心部への事実上の流入制限だ。



日本の大手電機メーカーがシステム開発を行っているため、使用している周波数帯域も日本と同じ5.9GHzである。道路をまたぐような形で機器設置用の囲いがあるだけで、車線別のゲートやバーは存在しない。



ETCが普及しても起こる「料金所渋滞」! 海外のようなゲート撤廃は可能か?



また、アメリカの一部トールウエイ(有料道路)では当初、有人だったゲートが無人化されたことで、バーを撤去しているケースもある。



2020年9月16日に発足した、菅政権ではデジタル担当相が任命され、さまざまな分野でのデジタル化を加速させる構えだ。そうしたなかで、運転免許証のデジタル化を推進することが決まった。



交通政策としても改めて、ITS(高度交通システム)における国民(ユーザー)目線での改革を推し進めて頂きたい。



ただし、ETCゲートが完全無人化され、バーが撤去された場合でも、既存のETCゲートを通過する場合は、十分に減速する必要はあると思う。



ゲート自体が撤去されるまで、ゲート通過の実勢速度をどのように考えるのか? 渋滞緩和と事故軽減の両面から、適切な判断がなされることを期待したい。