モーターなどの搭載位置によって変わってくる
電気自動車(EV)の充電口は、日産リーフがボンネットフード側にあり、ホンダeも同様だ。BMWi3もそうだ。一方で、三菱自動車のi-MiEVやテスラはリヤフェンダーに設けている。
日本の交通事情からすると、後者のように車体の後ろ側に充電口があったほうが、後ろから駐車する習慣からすれば、充電ケーブルを車体の前側まで引っ張らずに済んで便利に思える。充電口をどこに設けるかは、まだ決まった形態がない状況だ。そしてそれぞれに、取り付け位置には理由があるはずだ。
車体の前側に充電口がある場合は、前から駐車することを視野に入れながら、同時に充電の制御機能が前側にあるせいといえる。フロントエンジンの代わりにモーターと制御機能を搭載するためだ。制御機能を車体の前側に設置しながら、充電口を車体後ろ側へ配置すれば、その間の配線が車内に必要だ。

また国内だけでなく海外へも販売することを視野に入れると、左側通行と右側通行では使い勝手が変わるので、車体の前側の中央に充電口があるほうが、どちらへも対処しやすい面もある。グローバルEVとするか、国内向けEVとするかも、充電口の設定位置を左右するのではないか。
国ごとに違う駐車事情も大きく関わっている
一方で、たとえばi-MiEVの場合は、もともとガソリンエンジン車のi(アイ)が客室の後ろにあるリヤエンジン車かつ後輪駆動だったので、その替わりにモーターなどの駆動系と制御機能を配置したことから、リヤフェンダーに充電口を設けたほうが合理的であった。またそうすれば、ガソリンの給油口を充電口に利用でき、車体外板を特注する必要もない。

前からの駐車か、後ろからの駐車かは、クルマを使う地域の習慣によって異なり、それは単に人間の行動様式だけでなく、土地の広さなど道路事情も関わる。
欧州では路上駐車が認められているので、車庫というより路上駐車で便利な位置に充電口を設けることになるはずだ。車道側に充電口があると危険で、不都合でもある。

EV自体がまだ導入されて間もなく、なおかつ充電設備の設置の仕方も模索しながらの展開で、急速充電器も施設の空いた場所になんとか設けるといった事情もあるだろう。EV専用車が増え、充電の社会基盤が整備されていくうちに、EVに最適な充電口の設け方が定まっていくのではないか。また非接触式の充電が実現しても、非接触式充電の受け口を、車体床下の前へ設けるか、後ろに設けるか、議論の的になるはずだ。
