商用車は高い耐荷重が求められるため専用タイヤが存在する
ホンダのNシリーズ初の商用車(軽貨物)、N-VANがヒットしたこともあり、軽ワンボックスタイプの商用車、いわゆる軽バンの人気が高まっている。
N-VANのほかに、ダイハツ・ハイゼットカーゴ(OEMでスバル・サンバー)や、スズキ・エブリイ(OEMで、日産NV100クリッパー、マツダ・スクラムバン、三菱ミニキャブバン)などがあり、こうした軽バンや軽トラをドレスアップしている人も見かけるようになってきた。
しかし、こうした商用車でタイヤ・ホイールを交換するときは注意が必要。商用車には乗用車と違うルールがあるからだ。
まずタイヤから見ていこう。
軽自動車の商用車=軽貨物の標準的なタイヤサイズは、
145R12 6PR LT
もしくは
145/80R12 80/78N LT
この「LT」は「ライトトラック」という意味で、小型トラック用タイヤであることを表している。
荷物をたくさん載せられる商用車は、タイヤにも高い耐荷重が求められているので、この「LTタイヤ」を装着するのが前提だ。

かつては、この「LTタイヤ」以外を履くと、軽貨物は保安基準違反になってしまったが、現在は法改正により、乗用車用のタイヤの装着も合法となった。
ただし、そのクルマの最大積載量や、軸重に見合ったタイヤの負荷能力は必要で、標準タイヤよりもロードインデックス(LI)が低いタイヤはNG。
N-VANの場合、標準タイヤのLIが「80」なので、最大負荷能力は450kg(単輪)。LTタイヤでは、タイヤの強度を「PR」(プライ・レーティング)で表すことが一般的で、上記の「6PR」のタイヤの最大負荷能力は450kg(単輪)となる。
したがって、標準タイヤのLIが80もしくは6PRのタイヤなら、またはLI80以上か6PR以上のタイヤなら、インチアップなど別のタイヤに履き替えたり、乗用車用のタイヤに履き替えてもOK(もちろん、外径が変わらず、フェンダーからはみ出したりせず、ボディと干渉しないなどの一般的な条件をクリアするのは必須)。

また、ホイールもかつては国土交通省が定めたアルミホイールの技術基準をクリアした、「JWL-T」(商用車)の刻印の入ったホイールしか保安基準に合致することがなかったのだが、2014年の法改正によって商用車でも「最大積載量500kg以下、かつ車両総重量3.5t以下」の貨物自動車(及び全ての軽貨物自動車)は、「JWL-T」の刻印ではなく、乗用車用の「JWL」の刻印が入ったホイールでも合法となった。
そういうわけで、いまでは軽バン・軽トラでも、タイヤ・ホイールの選択肢は、かなり広がったわけだが、車検場によっては、標準サイズのLTタイヤ&ホイールでないと厳しくチェックされるたり不合格になるケースも……。
面倒ではあるが、軽バン・軽トラに乗用車用のタイヤを履かせたり、サイズの変更を考えている人は、あらかじめ地元の軽自動車検査協会などにそのタイヤ・ホイールで車検に通るかどうか問い合わせてみるといいだろう。