同じ「ミニバン」でも一概にライバルとはいえない

たった5時間半で完売。



シトロエンのミニバン、ベルランゴが2019年10月、日本導入初期モデルのネット予約販売で大きな話題となったことは、記憶に新しい。



人気のワケは、アーバン(都会派)とクラシカルが混在したようなシトロエン独特のデザインテイストや、パノラミックガラスルーフと収納部分を融合させたモデュトップ、さらに1.5リッターディーゼルエンジン搭載など、同クラスのミニバンとしては日本では唯一無二の存在だからだ。



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フランスのミニバンといえば、ルノー・カングーの人気は根強く、ユーザー間のコミュニティが確立されていることでも知られている。カングーも日本ミニバンにはないデザインテイストをベースとした、独自の世界感が日本ミニバンとの差別化要因となっている。



日本と海外で違う「ミニバン」の捉え方! 日本独特の文化とは



見方を変えると、こうしたフランスミニバンは商用車の乗用化というテイストが強く、単純に日本ミニバンとライバル関係にあるとは言えない。



実際、欧州でのライバルとなる日系モデルは、日産「NV200」や、トヨタがPSA(現在のステランティス)からOEM供給を受けている「プロエース」などが該当する。



ギャップが一部のユーザーの需要を生んでいる

つまり、ベルランゴやカングーはミニバンというよりは、端的にバンなのである。



そのため、フランスのバンと日本ミニバンを、価格帯だけでトヨタ・シエンタ、ホンダ・フリードから、トヨタ・ノア/ヴォクシー、日産セレナ、ホンダ・ステップワゴンなどと単純比較することは、商品企画の観点からはあまり意味がない。



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だが、ユーザーからしてみると、フランスの商用車ベースのバンと、日本市場に特化して多彩な装備を持つ日本ミニバンを、セダンやSUVにはない広い空間を楽しむという点では、同じテーブルでクルマ選びをすることになる。



結果的に、日本ミニバンにはない魅力を、フランスのバンに感じることになる。



さらに価格帯を上げて考えると、欧州系ではメルセデス・ベンツVクラスがあるが、ここでもライバルをトヨタ・アルファード/ヴェルファイアや日産エルグランドとするべきではなく、実質的なライバルは商用寄りのトヨタ・グランエースとなる。



日本と海外で違う「ミニバン」の捉え方! 日本独特の文化とは



その他、アメリカにも、トヨタ・シエナなど大柄なミニバンが存在するが、一般家庭での多人数乗車や大きな荷物への対応としては、ミッドサイズSUVやフルサイズSUV、さらにはミッドサイズピックアップトラックやフルサイズピックアップトラックが好まれる傾向が強いため、相対的にアメリカ市場でのミニバンの存在感は薄い。



このように、欧米でのバンやミニバンと日本ミニバンは違うカテゴリーに属しており、乗り味、ハンドリング、居住性、燃費などを、欧米vs日本で比較することは、メーカー側の感覚ではとても難しく、逆にそうしたギャップを一部の日本ユーザーが楽しんでいるのだと思う。

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