フォーミュラEでチャンピオンになったDSの市販電気自動車

フランス車の特徴でもあるスタイリッシュさが人気のDSブランド。2020年に登場し、優れたデザイン性でも人気を博しているコンパクトカーの「DS 3 CROSSBACK」に同社として初の量産BEV(バッテリー電気自動車)モデルが投入された。その名を「E-TENSE」とし、ICE(内燃機関)モデルと差別化している。



DS 3 CROSSBACKに採用されているプラットフォームはCMP(Common Modular Platform)でPSA(プジョーシトロエンオートモービルズ)グループのB、Cセグメント車両全てをカバーする新世代プラットフォームだ。CMPの特徴は単に多車種へ拡大採用されるだけではなく、ICEからBEVまで幅広いパワートレインに対応可能な「マルチエナジープラットフォーム」としていることだ。今回のE—TENSEはCMPを採用した初のBEV車ということでも注目を集めているわけだ。



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E-TENSEは「ELECTRIC(エレクトリック)」と「ELEGANCE(エレガンス)」を組み合わせた造語で、DS車の電動化モデル化を表すワードとして広報されている。DS車の電動モデルというと日本ではあまりニュースになっていないが、2017-2018/2019-2020フォーミュラEでシリーズチャンピオン(ドライバー&チーム優勝)を獲得しており、電動化技術の高さは実証されている。



【試乗】DS 3 CROSSBACK E-TENSEはエレガンスで高級! EVの制御も納得のデキ



E-CMPと呼ばれることになった今回のDS 3 CROSSBACK E-TENSEに採用されたプラットフォームではフロントに最高出力136馬力/5500rpm、最大トルク260N・m/300~3674rpmを発生する電動モーターを搭載し、前輪を駆動するFFレイアウトを採用している。

駆動用のバッテリーは前後アクスル間のフロア下に納められ、定格電圧400Vで総電力量は50kwとなっている。



車両重量は1580kg。電力消費率はJC08モードで1充電当たり398kmを誇っている。



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今回の試乗は一般道の市街地で行った。DSのお洒落な外見的特徴はそのままで、スタイリングからはBEVであるとは思えない。運転席に乗り込むとインテリアがまたスタイリッシュで、ダイヤの菱形をモチーフにしたダッシュボードの中央部が個性的だ。

センターコンソールに配されたドライブセレクトシフトレバーやドライブモード選択スイッチなども「クル・ド・パリ」と呼ばれる「魅せる」デザインを採用。操作性とテクノロジーを両立し質感をも高めることに成功している。



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室内のどこをみてもコンパクトカークラスと思わせるような安っぽさがなく、むしろエレガンスなスペシャルティカーとしての高級感が感じられるほどだ。



低重心でコーナリングにも優れる

ドライブモードはECO(エコ)、NORMAL(ノーマル)、SPORT(スポーツ)の3モードが選択でき、シフトレバーを操作すればDモードとBモードの二通りのブレーキモードを使い分けることができる。DモードはICE(内燃機関)車のアクセルオフ/エンジンブレーキによる減速感をシミュレートして設定されており、違和感のない減速感が得られる。Bモードではより積極的な回生ブレーキ制御が行われエネルギー効率を最大化させている。



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ノーマルモードで走り始めると、アクセル操作にリニアな反応を示し、低速からも扱いやすい。BEV車にありがちな過剰なトルクピックアップを抑え、通常のクルマから乗り替えても違和感のないまま走り始めることができる。エコモードではスロットルペダル操作に対する反応がさらにマイルドになり、電費の節約もイージーに行える。スポーツモードではトルクピックアップが増すが、力強さとシャシーのマッチングが良く、丁寧にセットアップされていることがわかった。高速道路の流路での加速や追い越し時などには頼もしい加速フォールが得られ、僕なら日常走行でもスポーツを選択したいところだ。



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サスペンションはフロント・ストラット、リヤ・トーションビーム方式で、ICE車と同形式を採用している。

ただ車重はやや重く、フランス車特有のしなやかでストローク感のあるサスペンションの動きではなく、やや固めでロールを抑えた乗り味だ。バッテリー搭載位置が床下なので重心は低く、こう見えてコーナリングの旋回限界は高そうだった。



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BEVとなると充電機能も気になるところだが、E-TENSEではコンセント型(普通充電)、CHAdeMO(チャデモ・急速充電)、ウォールボックス型(普通充電)の3方式に対応している。コンセント型では3kW/200Vで100%充電まで18時間(50km分充電は約3時間)。チャデモでは50kWで80%充電に約50分。ウォールボックス型は6kW/200Vで100%充電に9時間(50kW分充電は約1.5時間)だという。

いずれにしても購入時には駐車スペースにコンセントの設置が必要となるだろう。



【試乗】DS 3 CROSSBACK E-TENSEはエレガンスで高級! EVの制御も納得のデキ



価格は534万円とリーズナブルに設定されている。