移動展示会に力を入れるディーラーが増えている
新車販売ディーラーの営業活動のひとつに、“移動展示会”といものがある。いまは新型コロナウイルス感染拡大により、開催自粛となるケースがほとんどだと思うが、たとえば地域の商工会などで、“産業まつり”といった、ひとの集まるイベントを開催すれば、そこへ試乗車1台と折り畳みの机と椅子を持って行き、ブースを構えて販売促進活動を行うといったことである。
バブル経済のころまでは結構行われていたのだが、ここ最近は新車販売現場も“ひと不足”が深刻で、人員を割く余裕がなくなり、あまり行われなくなっていた。
※写真はイメージ
地方では、前述したような地域イベントや、地域の新車ディーラーが集まって“にわかモーターショー^”のようなものを共催する動きは今も目立っているのだが、そのような動きとは少々異なる動きが目立ってきているのである。
それは、地元のショッピングモールへの出店である。たとえば1階のイベントスペースに簡易的に展示するケースもあるが、ショッピングモールのテナントスペースを短期間借用し、展示車を常備した、常設店舗のようなものもあるとのこと。
新人セールスマンがベテラン並みの売り上げを誇る!
2008年に東京隣接県にかなり大規模なショッピングモールがオープンした。そして、そこにトヨタ系4チャンネルのディーラーが店舗を構えた。事情通は「出店したディーラーも最初は半信半疑のようでしたが、その店舗での売り上げはハンパではありませんでした。ショッピングモール内なので、大晦日も元旦も関係なく営業しているのですが、元旦から新車がガンガン売れたとのことです。モール内店舗の新人セールスマンの販売実績は、ほかの一般的な店舗のベテランレベルだとも聞いています」とのこと。
かつては、日本でも新車ディーラーへ行き、ショールームで商談をするのはある意味ステイタスでもあったが、いまでは商談に長時間を要することもあり、面倒で出かけたくないというひとも多い。出かけても新車しか売っていないというのも、いまどきは“非効率”と思われているようである。ましてや、いまは新型コロナウイルス感染拡大が続いており、不要不急の外出を控えるようにといわれているので、新車は欲しくても、ディーラーへ出かけ、しかも“いま”新車を買っていいものなのかと悩むひとも多い事だろう。

そのようななかで、ショッピングモールは生活必需品を購入するため、多くのひとがいまも足を運んでいる。そのような場所に移動展示していれば、「新車が置いてある」ということで注目を浴びるのは間違いない。しかも、新車ディーラーのショールームとは異なり、セールスマンも何が何でもその場で契約を取ろうという気持ちも薄く、“きっかけ作り”を強く意識して、肩にもそれほど力は入っていない。そのため、新車に興味のあるお客も気軽に立ち寄ることができる雰囲気ができている。
カタログと名刺ぐらいもらっておき、後日「先日ショッピングモールでお話さてもらったのですが」と名刺をもらったセールスマンに連絡すれば、値引き交渉も含め、商談も効率よく進むはずである。
非常時ともいっていい現状でも、新車は小売りレベルではよく売れている。しかし、さらに潜在的に「新車購入に興味がある」というひとが多くいると考え、ひとの多くいる場所へ積極的に出かけようというディーラーがここのところは増えているようである。